2017年5月21日日曜日

【自動車】歴代燃費モードの違いを比較してみた【カタログ燃費】

自動車を所有しているとイヤになるのが維持費。自動車税や自動車重量税など様々な課税が課されているなど、日本は特に重税感が強い国。そんなこともあって今現在の日本は新車販売が全く伸びていないのは公然たる事実であります。

ただ自動車に関する税金は年に一度ぐらいの話。でも自動車に毎日乗っていると気になる維持費や負担といえば、やはりガソリン代・燃料代。だから新車や中古車を購入する時に、ついに自動車の「カタログ燃費」を確認するのは欠かせません。とはいえ、最近の自動車はどれも燃費性能に優れているのでそこまでカタログ燃費が気になる人も少ないのか。

でも数十年前からずっと同じ計測方法でカタログ燃費が計測されていたわけではありません。いわゆる「燃費モード」と呼ばれるものは時代に合わせて変化してる。もっと言うと燃費の計測方法が厳しくなり、より実燃費に近づいてる。

そこで前置きが少し長くなりましたが、今回は日本に導入されてきた「歴代の燃費モードの変遷や歴史」を確認したいと思います。新しい燃費モードと古い燃費モードの違いも比較したりしているので、自動車雑学を増やすがてらテキトーに流し読み推奨。




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60km/h定地走行の意味


まず最初の燃費モードは「60km/h定地走行」。1970年以前の日本で初めて導入された燃費モード。その名の通り、直線道をそのまま時速60km/hを維持した状態で測定した燃費値が表記されていた。

別にそこまで悪くない燃費モードかなーと一瞬思っちゃうんですが、言うまでもなく運転中はブレーキを踏むことも多い。アメリカのように大きな国であれば良いんでしょうが、信号、渋滞など様々な要因が絡んで時速60km/Lを走行し続けることは困難。

だから「60km/h定地走行」は実燃費とかけ離れた燃費モードと言えると思います。最近のプリクラ画像みたいなもんでしょうか。

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10モード燃費の意味(1973年~1990年)


続いて日本に導入された燃費モードが「10モード燃費」。この「10モード燃費は」1973年から導入されて1990年まで使われていました。トータルすると27年間。きっと「10モード燃費」を覚えている人も世の中には多そう。

「10モード燃費」はその名の通り、10の走行パターンが新たに導入されたことから命名が由来しています。先程の燃費モードは一定の速度で走行し続けるだけでしたが、この「10モード燃費」は停止状態からの加減速やアイドリング状態も含めて燃費を測定してる。ただし最初の燃費モードとは異なり、最高速度は時速40km/hまで低下します。

この「10モード燃費」は東京都に実際に存在する甲州街道を想定した燃費モードだったらしい。だから割りと現実に即した実燃費を測定しようという、少なくとも意気込みは感じさせるモードとは言えるのか。

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10・15モードの意味(1991年~2011年)


そして続いて導入された燃費モードが「10・15モード」になります。

先程の燃費モードから新たに15パターンの走行パターンが追加されたことから、「10・15モード」という名前の燃費モードに命名された模様。だから「10と15の走行パターン」というシンプルな意味。最初は「10.15」と勘違いしてたこともありますが、安直と言えば安直ですが、覚えやすいと言えば覚えやすい。ただ「25モード」ではダメだったのかは不明。

この「10・15モード」は甲州街道だけではなく首都高速も想定されたらしく、この燃費モードから最高速度が70km/hまで引き上げられました。高速燃費は逆に実燃費が伸びやすいと思うんですが、この「10・15モード」では全体的に10%ほどカタログ燃費が下がったらしい。

この「10・15モード」は1991年から導入されて、2011年まで使用されていました。割りと最近まで使われていた燃費モードということで、むしろ覚えてないドライバーさんが少ないぐらいか。

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JC08モードの意味(2011年~2022年)


そして2011年から導入されて、2017年現在も採用されている燃費モードがご存知の「JC08モード」。ただし、この「JC08モード」は2022年で完全に消滅します。この次に使われる燃費モードについては後述。

この「JC08モード」の特徴は何と言っても冷間スタートか。それまでの燃費モードはエンジンを温めた状態でスタートしてたんですが、このJC08モードからはエンジンが温まらない状態で実燃費を測定する機会(全体の25%)を増やした。

一般的にエンジンが温まった状態で発進した方が実燃費に良い影響を与える。でも普通のドライバーは実際にエンジンが温まるまで発進を待たない。その現実との乖離を無くそうとしたのが、この燃費モード。

また「JC08モード」では先程の「10・15モード」より試験時間が二倍に増加してる。走行時間や走行距離が伸びるほど、極端に優れた実燃費が出る機会はかなり減る。また急加速の走行パターンも増え、更に最高速度も10km/h高められたことも特徴。

だからカタログ燃費と実燃費に乖離があると批判されつつも、やはり燃費モードそのものは現実の燃費に近づけようという努力は垣間見えます。ちなみにJC08モードの導入で前の燃費モードよりカタログ燃費が20%ほど落ちた車種もあります。

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アメリカ・ヨーロッパ・インドなどと燃費モードが国際的に統合へ


そして最後は…というより最新の燃費モードは「WLTPモード」。既に随分前にWLTPモードとJC08モードの違いも自分は比較してますが、来年の2018年度から日本に導入される燃費モードになります。

「WLTP」の正式名称は「ワールドハーモナイズド・ライトビークル・テスト・プロシージャ(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedures)」。パット見は一瞬なんのこっちゃか分かりませんが、要するに直訳すると国際基準に合わせた燃費モードみたいな意味。

だからその名の通り、このWLTPモードは日本以外の諸外国にも適用されていく燃費モードになります。

先程紹介した燃費モードは全て「日本国内のみ」で通じる燃費モードだったので、アメリカやヨーロッパ、またインドでは「JC08モード」などは当然採用されていなませんでした。ただこの「WLTPモード」はアメリカやヨーロッパ、インドなどでも採用されていく…いや既に採用されている燃費モード。

詳しくは先程の比較記事を参考にしてほしいんですが、この「WLTPモード」の特徴は100%冷間スタート。最高速度も100km/h近い。ただし「海外のWLTPモード」では最高速度120km/hが適用される。法律が国によって異なるので、100%同じ国際基準の燃費モードではありませんが…。

「WLTPモード」では特にハイブリッド車や軽自動車といった、カタログ燃費が極端に優れている車種のカタログ燃費がかなり下がる模様。プリウスやアクアのカタログ燃費は40km/L近いですが、実際には頑張って頑張って30km/L前後。

今後WLTPモードが導入されることで、そういった車種のカタログ燃費は現実的な数字に落ち着いていく予定。ちょうど2018年頃にアクアのフルモデルチェンジが予定されていますが、極端な燃費値がアピールされる可能性は低いでしょう。

以上、歴代燃費モードの違いや歴史に関する比較記事でした。テキトーに参考に使ってください(何の?)。

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