でも特によく耳にするのが「非関税障壁(ひかんぜいしょうへき)」という言葉。よく分かるようで分からないワード。そこで自分なりに簡単に噛み砕いて「非関税障壁」とは何かを解説してみました。
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そもそも関税障壁とは?
結論から書いてしまうと、非関税障壁とは「関税以外に関する障壁」のこと。THEその名の通り。つまり逆に言うと「関税障壁」と呼ばれるものも存在します。
普通は自国の産業を守るため + 税収を増やすために、外国から自国になにかを輸入する場合(また自国から外国へ輸出する場合も同様)、その商品には殆どの場合で「関税」という税金がかけられる。
だから国内で流通する商品よりも、一般的に外国から輸入された商品は割高な価格になりがち。ある国がある国に経済制裁を科すために、関税をべらぼうに引き上げるなんてことも。
もちろん商品価格には為替の動向も大きく関係してくるわけですが、まさにコチラもその名の通り「関税という名の障壁(障害)」になります。冒頭で触れたTPPの目的はこの「締約国域内では関税をなるべきゼロにしよう」という決め事でした。
ただ日本の自動車産業は、こと関税に関してはかなり開放的。開放的という表現が正しいかはさておき、実は日本は外国から輸入される自動車には一切関税をかけてない。アメリカ車も本来は日本で販売しても高額にはならない(もちろん円安が進んだ現在はやや割高傾向)。
つまり、日本には「関税障壁」と呼ばれるものは少なくとも存在しません。だからアメリカ政府的にはそこは攻めどころではない。むしろアメリカが日本車に関税をかけているぐらい。
非関税障壁とは自動車に関する「法的な規制」のこと
そして、いよいよ本題。そこで問題になってくるのが「非関税障壁」と呼ばれるもの。出し惜しみしても仕方ないので、先に結論から書いてしまうと非関税障壁とは「自動車に関する様々な法律」のこと。大雑把に言ってしまえば「規制」のこと。
例えばかつて日本の存在した非関税障壁の代表例には、「速度警告音の設置義務化」「ドアミラーの不認可」「リアフォグランプの不認可」といった法律の規制がありました。当時海外では合法だったので日本へクルマを輸出する場合は、わざわざ新たな装備を設置したり、逆に外す必要があった。確かに誰が見ても障害でしょう。
じゃあ何故過去形なのかというと、これらの非関税障壁は既にアメリカ政府の圧力に負けて、自民党が何度も規制緩和を行っているから。確かにいつの間にかフェンダーミラーは消え去って、時速100km/hを超えてもピコンピコンという警告音も鳴らなくなりました。
自動車に関する非関税障壁ではないものの個人的に衝撃的だったのが、「大型バイクの高速道路2人乗りの解禁」なんてのがありました。さすがに少し危険なようにも感じましたが、今振り返る限りはそこまで大きな事故は起きてないようなので結果的には杞憂に終わったのか。
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やはり非関税障壁の親玉は軽自動車の規格
特に非関税障壁の中で常にやり玉にあがっているのが、やはり我ら日本人が愛する軽自動車。安倍政権は2016年に軽自動車税を増税したものの、他の普通車やコンパクトカーと比較しても、やはり軽自動車にかかる税負担は一番小さい。
前述の通り、非関税障壁と呼ばれる法規制には自動車の整備に関する法律が多かったわけですが、この軽自動車は日本以外の外国ではまず作ってない。日本市場だけを相手にして軽自動車を製造できるかというと、やはり経営的にはリスキー。アメリカに限らず、海外の自動車メーカーが軽自動車を非関税障壁として批判するのもうなずけます。
ただ言うまでもなく、世界の法律はみんなバラバラ。死刑がある国もあれば、死刑もない国も多い。アメリカだって死刑が廃止してる州も多い。自動車に関しても、道路事情は各国さまざま。日本以上に安全や燃費に関する規制が厳しい国だってある。
そもそもアメリカ自身にも非関税障壁が存在する。日産のスカイラインだったか、一部の日本車は何十年か経過しないと輸入できなかったはず。だから「非関税障壁」という言葉で全てを画一化するのは無理があり、まさにアメリカ政府やトランプ大統領の主張は基本的にはイチャモンだと思います。
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非関税障壁は基本的に自主的に無くすべき
ただ、だからといって自民党や政府が日本の非関税障壁を改善しなくていいかと言えば、答えとしてはノーでありましょう。アメリカ政府の圧力を一先ず横に置いておいて、実は非関税障壁の問題は日本政府自身が解決すべき話。
何故なら前述の一例を考えても分かるように、これらの非関税障壁は日本の自動車メーカーにとっても大きな負担。現実として非関税障壁の中には「こんな法律必要なん?」と日本人自身が考えてるムダな規制も多く存在する。速度警告音なんて音で教えてくれなくても普通は分かりますし、ドアミラーの不認可などはデザインといった選択肢の幅を奪うことにも繋がってた。
また日本で軽自動車が人気だとしても、逆に考えると軽自動車を海外に輸出できてもいない(実際には一部新興国市場に中古車として輸出してるようですが…)。もし660ccの排気量や車格をもう少し拡大させることで、海外へも打って出やすくなる。
つまり基本的には海外の法律と日本の法律をすりあわせて、そこに違い(非関税障壁)を作らないようにすることが日本の自動車メーカーにとっても利益につながるはずなんです。
更に言うのであれば、クルマに関する税金を安くしろよ安倍晋三、って話です。
決して軽自動車が特別優遇されてるわけではなく、そもそも日本は自動車全体の負担感が強すぎるからこういう話が起きる。あくまで日本の消費者は少しでも損をしないように「逃げの選択」を強いられてるだけ。もし負担感が気にならなければ、本来は日本人も大きいクルマは欲しいはずなんです。実際ミニバン車など室内が広いクルマは未だに人気。
結論をまとめると、税体制を含めた非関税障壁が日本の歪な自動車産業を生んでることは間違いないはず。
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