水素を燃料にしたトヨタのFCV(燃料電池車)が来年、日本、北米、ヨーロッパなどで発売される。欧米のメディアも今から高い関心を寄せている。数日前の新聞を読むと、自動車メーカー7社の来年度の業績見通しが発表。それによると日産とホンダを除く5社は構造改革のおかげで、営業利益が過去最高益になる見込みらしい。
http://newsphere.jp/business/20140418-10/
スバルの富士重工業は、売上高は2兆7200億円とスズキの3兆円に負けてますが、営業利益は3400億円とスズキの1880億円に対して、ほぼ倍。利益率が高いSUVなどに絞ってるだけあって、上手い経営戦略。
一方、トヨタは言うまでもなくダントツ。来年度の営業利益は2兆3000億円を見込んでるそう。これは三菱自動車の売上高と、ほぼ同じ額。思わず日本の借金返してくれ!と言いたくなる。
そんな中、トヨタは来年度の設備投資額が1兆200億円、研究開発費は9600億円ぐらいの勢いだそう。そしてその大半が、上述のニュースにあるように、「燃料電池自動車(FCV)」の開発に注ぎ込まれる模様。
ただこの燃料電池自動車に対して、なかなか米メディアでは賛否両論がある模様。
トヨタの燃料電池車(FCV)とは一体どんなクルマか?
そもそもトヨタが開発しようとしてる、燃料電池車とは一体どういうクルマなのか?簡単に言っちゃえば、電気自動車の一種。水素と酸素を組み合わせて、電力を発生させてタイヤを回す自動車。排出されるのは水蒸気のみで、そのクリーンさにトヨタは着目してる模様。また外部から充電する必要ないので、ガソリン車と同じような感覚で走行できるのもウリ。
だから、「トヨタは初期のプリウス同様、長期的な赤字も覚悟で市場の開拓に挑む」と推測してる専門家もいるんだとか。こういう専門家は、大体匿名だったりするのが気になりますが。
燃料補給が難しいらしい、燃料電池車
ただ、水素や酸素などの燃料を補給するのが、なかなか大変だそう。ガソリンと同様、水素を供給するためには「水素スタンド」なるものを新設する必要がある。その設置費用が、およそ一つ50万ドルから100万ドルかかるそう。日本円に換算すると、5000万円から1億円。だからガソリンスタンドとほぼ変わらない。
でもガソリンスタンドですら、ハイブリッドカーなど低燃費車の普及でどんどん潰れていってる。そんな現状で、新たに水素スタンドをどこまで普及させることができるのか。
それが、なかなか疑問視されてるそう。そりゃビジネスとして成立しないなら何千万円も出して新設できんよな~と。
トヨタ、テスラ・モーターズと契約解消
そういえばトヨタといえば、電気自動車を生産販売してるテスラ・モーターズと業務提携してたんじゃなかったのか…と思ってたら、近々契約満了だとかで提携を打ち切るんだそう。そのテスラ・モーターズの代表(イーロン・マスク)は、「水素は非常に危険なガスだ。高性能ロケットにはふさわしいだろうが、車には向いていない」と酷評。もはやただのこき下ろしに近いことも発言してて、両社には感情的な対立があったんだろうと容易に推測。
だからテスラ・モーターズを切ったことは、トヨタは本格的に燃料電池車(FCV)の開発に着手していくのは目に見えていて、何よりの裏返し。ハイブリッドカーの次を見据えてた研究開発・設備投資をしていくことは、果たして功を奏すのかどうかってこと。
アメリカ燃料電池企業の株価はダダ下がり
少なくとも、現状では燃料電池自動車はかなり厳しそう。アメリカには既に燃料電池を作ってる企業が、主に三社あるらしい。それがバラード・パワー(BLDP)、フュエルセル・エナジー(FCEL)、プラグパワー(PLUG)の三社。特に名前は覚えなくてもいいです。http://blogos.com/article/86343/
ただ、その株価を見てみるとずっとダダ下がり状態。バラード・パワー以外の二社でも、同じような傾向。2000年代に入ってから、株価が上がった試しがほとんどない。
要するに、それだけ燃料電池に需要がないということだと思う。たまにマスコミから持て囃される燃料電池自動車ですが、なかなか売り上げなどには結びついてないのが現実。そりゃ街中で走ってる場面なんて、まず見かけたことがないですからね。
でも正直これからどうなるかは分からないですが、ハイブリッドカーをここまで成長・普及させたトヨタですから、この現状を打破してくれると個人的には信じたい。
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