2014年8月1日金曜日

自動車8社の14年上半期生産販売輸出データから見える、アベノミクスの限界

主要自動車8社の2014年上半期における生産・国内販売・輸出の実績データが発表。4月の消費増税前の駆け込み需要も手伝って、全体的に悪い数字は出ていない。

そういえばダイハツを含む、トヨタグループが同じく2014年の上半期で販売台数が世界一。しかも三年連続。そして上半期では世界初の500万台を突破したらしい。

じゃあ、そこで日本からどれだけ自動車が輸出されたのか気になる所。同時にアベノミクスの評価も含めて見ていきたい。


2014年上半期、国内・海外生産台数

まずは生産台数を見ていきたいと思う。どれだけ販売されたか、輸出されたのかは、そもそもどれだけ生産されたか分からないとダメですから。☆過去最高、★は上半期過去最高。

まずはTOP3であろうトヨタ・日産・ホンダから。ちなみに左が国内で、右が海外生産になります。
トヨタ…168万7201台 281万3574台☆
日産…… 45万7571台 216万5648台★
ホンダ… 52万4003台 176万3365台☆

やはりトヨタが群を抜いてる。国内・海外共に桁が違う。日産もホンダも国内生産はあまり大したことないですが、隣の海外生産を見てみると相当な数。むしろトヨタに迫るぐらいの勢い。

それだけ自動車メーカーは、海外生産台数に軸足を置いてる証拠。実際、トヨタもホンダも共に過去最高。日産だって上半期過去最高。国内生産台数は前年比ではそこまで減ってない(ホンダの国内生産台数は前年比で49.4%増)が、やはり「空洞化」の兆しは少し見て取れる。

続いて、軽自動車メーカーの2TOP・スズキとダイハツ。
スズキ……54万3855台 100万4839台★
ダイハツ…42万3420台★ 26万7719台★

スズキの国内生産台数が、地味に日産とホンダを抜いてる。海外生産でも100万台の大台を突破。上半期では過去最高だそう。

ダイハツも地味に海外生産が多くて、およそ26万台強。トヨタの子会社ってことでコンパクトカーの生産を請け負ってるのかも。そのダイハツは海外生産だけではなく、国内生産台数も上半期過去最高。消費増税による駆け込み需要が追い風になったと推測。

最後は残り三社。
マツダ……48万7862台 15万4385台
スバル……33万6651台☆ 8万5665台
三菱自……33万3598台 30万8166台

マツダやスバルこと富士重工は輸出メーカーだけあって、海外生産は大人しめ。

マツダは前年比8.7%増ですが、スバルは前年比8.7%減とやや減らしてる模様。ただその分、国内生産台数が同じだけ増加してるので『スバルは国内回帰』ってやつだろうか。あまり印象に乏しい三菱自動車ですが、何気に国内でも海外でも生産台数が多いことが見て取れる。

ちなみに全体では国内生産479万4161台(前年比8.7%増)、海外生産856万3361台(前年比4.9%増)。国内生産は好調だったと言えますが、ただ消費増税による駆け込み需要の色合いが強く、これをアベノミクスの功績と考えるのは難しい。

2014年上半期、輸出台数

じゃあ、どれだけ自動車主要8社は海外へ輸出したのか、具体的な数字を見ていきたい。☆過去最高、★は上半期過去最高。

トヨタ…85万8750台
日産……21万8554台
ホンダ……1万6646台

TOP3ですが、ホンダの輸出台数の少なさが際立つ。前年比74.5%減。小型車の生産を海外へ移管したのが響いたらしいが、それでもこんな減る?という驚き。ホンダは国内で52万台も生産してますからね。

トヨタも日産も「国内生産台数の約半分」を輸出に回してるものの、やはり前年比12~5%減。それだけ海外で生産をするようになってる証拠。ホンダは小型車でしたが、実際トヨタなどもSUVの生産を海外へ移してる。「過去最高」という言葉がそれを如実に表してる。

スズキ… 7万1618台
ダイハツ……3753台

軽TOP2ですが、ダイハツは論外。言うまでもなく、軽自動車メーカーということが大きい。国内での生産台数42万台を、そのまま国内販売に繋げてると考えられる。

スズキは54万台という国内生産台数も考慮すると、そこそこ輸出してる方だと言える。

マツダ…39万5231台
スバル…25万8685台☆
三菱自…17万1916台

マツダとスバルの輸出台数がえげつない。ホンダの1万台ちょっととは、天と地の差。

これは国内での生産台数の、ほぼ70~80%近くを輸出に回してる計算。スバルに至っては、過去最高の輸出台数。価格帯も考慮すると、驚異的。それだけ海外でも支持されてる高価なクルマを作れてる証拠。つまりホンダは…。三菱自もかなり健闘してる。

ただTOP3の影響が大きく、全体では200万2853台と前年比から5.4%減。やはりトヨタ・日産・ホンダの面々に頑張ってもらわないと、なかなか厳しい。残念ながらアベノミクスによる円安誘導が自動車の輸出に繋がってないことが分かる。

2014年上半期、国内販売台数

トヨタ…83万6624台
日産…38万7143台
ホンダ…48万0244台☆
スズキ…40万4037台★
ダイハツ…38万3502台★
マツダ…12万1499台
スバル…8万7548台
三菱自…7万3214台

国内での販売台数を見ると、こんな感じ。全体では277万3811台と前年比より10.6%増。

やはり消費増税前の『駆け込み需要』が顕著に現れてる。人気の軽自動車をしっかり販売してるメーカーほど強い。ホンダに至っては、フィットやヴェゼルのおかげもありますが過去最高。

ただ、ここでも特にアベノミクスの功績と言えるものは少ない。

総括

全体的に言えるのは、円安で輸出が伸びてない…つまり自動車メーカーによる海外生産の流れは止められてない。国内では軽自動車が断然売れてるなど、生産も販売も「偏在」が顕著

じゃあアベノミクスによって具体的にどう変わったのか、それを発見するのは以上のデータからは難しい。むしろ「成果はない」と断言してもいいぐらいかも。実際、どういう政策が取られたかを思い出しても思い出せないのが現実。

来年には消費税だけではなく、軽自動車税もアップする予定。安倍さんにはもっと自動車の需要を喚起するような政策を打ち出して欲しいところ。

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