2015年4月25日土曜日

世界新車販売 VWが世界一でトヨタが2位だった理由

フォルクスワーゲングループが世界一の新車販売 2014年度
http://www.audi.com/index.html
トヨタ自動車が23日発表した2014年度のグループ世界販売台数(ダイハツ工業と日野自動車を含む)は、前年度比0.3%増の1016万8000台となり、3年連続で過去最高を更新した。中国で販売を伸ばしたライバルの独フォルクスワーゲン(VW)グループは約1018万5000台(速報値)に増やし、トヨタを上回った。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150423-00000125-jij-eurp
トヨタ自動車が世界新車販売台数でフォルクスワーゲンに抜かれたらしい。ただし2014年度(2014年4月~2015年3月)の話。2014年ではトヨタが辛くも勝利してた。トヨタが1023万台に対して、フォルクスワーゲンが1014万台。

一応その記事でも少し言及しましたが、何故2014年度ではトヨタが後塵を拝したのか考えてみた。

中国市場で不調だったトヨタ

まずは世界一の自動車市場である中国市場での伸び率の問題。記事にも書かれてますが、フォルクスワーゲングループは中国市場で好調だったので、世界全体の販売が3%台の伸び率を確保。一方トヨタはほぼ横ばい。一見大したことがなさそうな数%ですが、1000万台前後の規模での数%は相当デカい。

アメリカが15.3% 日本が13.9% 欧州が29.2% 韓国が8.8%
(参照http://japanese.joins.com/article/295/197295.html)
そこで中国市場での外国メーカーの販売割合を見てみると、欧州勢…というよりドイツ勢が圧倒的な占有率。中国の新車販売台数は2000万台ですから、およそ600台近い台数。

一方、我が国日本はわずか14%。ここにはトヨタ自動車だけではなく、ホンダ、日産、スバル、マツダやスズキも含まれてる。韓国メーカーは約9%ですが、メーカーの数自体は日本ほど多くない。それらを考慮すると、トヨタ自動車だけではなく日系メーカーの不甲斐なさが際立つ。

特にVW傘下のアウディに至っては、前年比11%増の世界販売で174万台。おそらく2014年度では更に県鳥な数字を出してるはずで、これは中国市場での販売が大きい。

トヨタ自動車に限らず、日系メーカーは韓国車のように価格が安いラインナップも少ないし、アウディやアメ車のような高価格路線のラインナップも少ない。中途半端な大衆車は中国人にはウケないのかも。

中国での主流はCVTじゃない?

あと中国市場で主流の自動変速機が、実は日本車に多く採用されているCVTではないそう。

特に欧州と中国では半数前後がDCTなのに対して、米州地域やASEAN/インドではAT/ CVTが主流と見込む。
http://response.jp/article/2015/03/06/245930.html
じゃあ何が主流なのかというと、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)と呼ばれる自動変速機。その名の通り、クラッチが二個ある自動変速機で、日本車だとホンダ自動車が採用してるやつ。

加速性能に優れてるのが特徴らしく、高速道路が多いヨーロッパでは人気。ただCVTと比較すると変速ショックも多いから日本では不人気だとか。だったら同じく信号機が多くてストップアンドゴーも多そうな中国国内で何故人気なのかは不明ですが(;´Д`)

おそらく「卵が先か鶏が先か」ではないですが、ドイツ車が売れたから結果的にDCTが伸びたのか、DCTが中国人ドライバーに好まれるからドイツ車の人気が出たのかは分かりませんが、きっと前者っぽい気もしますがトヨタとしてはやはり不利なことは間違いない。

工場を新設していなかったトヨタ

トヨタ自動車は、これまで新しい工場を作ってなかった。

その理由は、2008年のリーマン・ショック。それまでトヨタ自動車は毎年50万台増のペースで、新工場や新しい生産ラインを作ってたそう。あまりに急拡大しすぎたせいで、いざという時の生産調整が困難になって大赤字になったことは記憶に新しい。

でも、今後はその方針を転換して新しい工場と生産ラインを作っていく。ただ日本国内ではなく、中国(広州)とメキシコ。それでも年間の新車生産台数の増加は最大30万台増(それぞれ10万台と20万台)。リーマン・ショックと同じ轍を踏まないという、トヨタの強い意志が読み取れます。

また新型プリウスにも導入されるTNGAと呼ばれる新型プラットフォームに対応できない古い生産ラインは徐々に潰していくそうだから、これからも新しい工場を作っていく方向なんだと思います。

消費増税によって冷えた国内市場

あとは国内市場。昨年2014年4月に消費増税されて、トヨタの新車販売台数は前年比7.8%も減少(221万3351台)。200万台以上も販売してる中、やはりその約8%という数字は大きい。

もちろんダイハツの販売台数も含まれてるトヨタ。3月の新車販売台数を見ると、ダイハツは過去最高に迫る販売台数。およそ8.9万台。結果的に2014年度ではスズキの新車販売台数で上回った。

でも正直、ダイハツもかなり無理に自社登録を頑張った気配もする。何故なら、そのダイハツの過去最高(約9万台)がいつ叩き出したかというと、ちょうど消費増税前の2014年3月。つまり駆け込み需要もあっての数字。それが消費増税から1年後経って、ほぼ同水準を維持できるものなのか?

冒頭にも書きましたが、トヨタとフォルクスワーゲンの2014年度のグループ世界販売台数の差は、たった2万台。ダイハツがスズキだけではなく、フォルクスワーゲンを意識した自社登録をしてなかったかと言ったら、さすがにウソになると思う。

ただ国内新車販売の低迷は消費増税だけではなく、他にもカーリースの普及も影響してるのかも。コスモ石油といったガソリンスタンドだけじゃなく、最近はオートバックスのようなカー用品店でもやってるぐらいですから。

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