2015年2月2日月曜日

アベノミクス失敗?円安で結局 輸出が全然伸びてなかった件

円安の追い風があるにもかかわらず、自動車輸出の回復が遅れている。大手8社が28日発表した平成26年の輸出は前年比4・9%減で2年連続のマイナスだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150129-00000093-san-bus_all
先月末に2014年の自動車8社の新車・生産輸出販売実績のデータが公開。それを見ると、アベノミクスによる円安効果で新車輸出が伸びると噂されてましたが、それが全くのデタラメだったことが発覚。


輸出全体ではマイナス5%の減少!


トヨタ…178万9337台(▼5.8%)
日産…47万2638台(▼12.9%)
ホンダ…3万1301台(▼75.1%)
スズキ…14万7933台(▼7.1%)
ダイハツ…0万7855台(0.8%)
マツダ…76万1185台(▼3.4%)
スバル…54万1586台(15.0%)
三菱…37万0710台(8.0%)
◆全社合計…412万2545台(▼4.9%)

2014年の自動車8社の海外輸出台数を見てみると、輸出が増えてないどころか軒並み減少

自動車8社全体では輸出がマイナス約5%の減少。ホンダに至っては、新車輸出がマイナス75.1%減少。いや、どんだけ。確かに一部の車種を海外へ移管させたんだっけか。あとはリコールの影響も大きそう。

安倍晋三さんが総理大臣になったのが、ちょうど2013年初頭からだったので、その当時より更に輸出が減少してる計算。しかも総理に就任する前から円安が進んでたのに、あれ?民主党の円高時代が製造業不況の原因だったんじゃ?実は円高不況は間違い?

円安は追い風と言われますが、これでは単なる逆風。新車輸出を伸ばすどころか、アベノミクスが現状維持すらできてないのは結構衝撃的

新車の海外生産は一方で過去最高!

でも確かトヨタは、2014年の新車生産販売台数は1000万台を超えたはず。じゃあ日本から輸出されなくなった新車たちは、一体どこに消えてしまったのか?

それは言うまでもなく、海外生産。

トヨタ…573万8020台(3.7%)
日産…421万6885台(5.8%)
ホンダ…355万5590台(2.8%)
スズキ…195万7381台(4.6%)
ダイハツ…51万2472台(7.0%)
マツダ…39万4126台(32.2%)
スバル…19万3022台(14.1%)
三菱…62万1452台(▼4.0%)
◆全社合計…1718万8948台(4.5%)

詳しくデータを見てみると、マツダと三菱を除いた自動車6社が過去最高の海外生産台数を更新。

円安で新車輸出を増やすどころか、むしろ海外生産に拍車がかかってる。輸出がメインだったマツダやスバルですら海外生産を二桁%以上増やしてる。
一体どうしちまったんだ!?アベノミクス!!

円安でも輸出が伸びない2つのワケ

じゃあ何故円安が進んでも海外への輸出が伸びないのか?それには二つの理由がある。

まず各自動車メーカーが「現地生産、現地販売」を徹底してるから。各国によって賃金は変わってくるので、現地の人が作って現地の人が買うのがベター。東南アジアの労働者とアメリカの労働者、もちろん日本の労働者は違う。

また大震災で一部の工場が被災したことで、製造全体に大きく影響を与えたことは記憶に新しい。海外への輸出どころか国内向けの生産すら不可能だった。小さい車体の部品なども含めて、製造工場は各地に分散させておく方が、いざという時のためのリスクを回避できる。

二番目は、そもそも円安の効果がどこまであるのか?ということ。何故なら為替は日本国内だけではなく、海外の通貨の動向も関わってくるから。

例えば、2015年1月だとロシアの「ルーブル」という通貨が暴落。日本の「円」以上に、通貨としての価値がどんどん下がった。だからロシアに日本から自動車を輸出しようと思うと、むしろコストが大幅にアップして日本車の価格が比例して値上がりしてる。

つまり海外輸出を増やすには、日本の為替をどうこうすればいいんや!とアベノミクスが意気込んだところで、相手国の為替がどうなってるかも考える必要がある。それを「円安ガー」「円高ガー」と国内だけの一辺倒な議論を進めても、あまり輸出を伸ばす効果に意味があるとは言えない。

日本国内では軽自動車が好調!

最後に国内の新車販売を見ると、こちらは結構明暗が分かれてる。

トヨタ…155万4318台(▼1.9%)
日産…67万0263台(▼1.3%)
ホンダ…84万8753台(11.2%)
スズキ…78万7370台(12.2%)
ダイハツ…70万8207台(6.9%)
マツダ…22万4372台(▼1.7%)
スバル…16万9553台(▼6.2%)
三菱…12万5077台(▼10.0%)
◆全社合計…508万7913台(3.0%)

軽自動車が好調だったスズキとダイハツとホンダだけ、新車販売がプラス。それら以外のメーカーは減少。トヨタもデミオが好調なマツダも、レヴォーグやレガシィが好調なスバルも同様。それだけ消費増税の悪影響が顕著に出たことが伺える。

ただ新車販売全体ではプラスだったことから、いかに軽自動車が国内市場では好調だったかが伺える。

トヨタ…326万6805台(▼2.7%)
日産…88万0887台(▼8.7%)
ホンダ…95万8179台(14.0%)
スズキ…105万9329台(8.6%)
ダイハツ…78万2195台(0.9%)
マツダ…93万4300台(▼3.3%)
スバル…69万5790台(8.8%)
三菱…64万0890台(8.3%)
◆全社合計…921万8375台(1.2%)

そこで面白いのが国内生産を見てみると、見事に新車販売台数と比例してる。新車販売がプラスだったメーカーは、生産でもプラスになってる。唯一海外輸出を伸ばしてるスバルや三菱だけは別ですが。

円安頼みによる輸出限界とアベノミクスまとめ

つまりこれらのデータからは、日本国内での新車生産が「軽自動車頼み」に移行しつつあるか読み取れる。

ただ今年の4月以降は、その軽自動車に対して増税することが決定済み。消費税こそ先送りにしたものの、自動車の国内生産を支える軽自動車が狙い撃ち。2015年は海外輸出だけではなく、国内生産もヤバい?正直、安部総理の経済的センスを疑ってしまう。

もちろん超円高から超円安に進んで、輸出一台あたりの利益は増えたことは確か。タイトルの「アベノミクス失敗」はやや誇張気味。ただ海外への輸出台数を維持すらできてない現状、国内の製造業の雇用拡大という点ではアベノミクスは失敗してると表現しても間違いではない。

もし国内の自動車産業の雇用を維持・拡大してるとすれば、それはアベノミクスや円安のおかげではなく「軽自動車が貢献」してるだけ。一部の新聞では呪文のように「円安で輸出ガー」と唱えてますが、これ以上円安政策をいくら進めてもあまり意味はない。

ここまで安倍総理はイケイケドンドンで円安を進めたわけですが、輸入品が多い食料品や光熱費の値上がりで、むしろ生活実感は結構厳しいぐらい。とりあえずいい加減、体育会系的なノリで経済政策を進めるのは脱却したら?と言いたくなる。

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