S660は少量生産ということもあってか、今現在では注文することすらままならない状況だそう。ディーラーさんでもおそらく試乗車すら用意できていない状況。
そこでホンダ・S660を試乗された感想をまとめてみました。
【評判】ニューモデルマガジンXのS660の試乗評価
まずはマガジンX9月号の試乗評価。松下宏、西川淳、高平高輝のお三方のS660試乗インプレッション。松下宏さんの評価は「S660の足回りはしっかり」「リアウィンドウが工夫されていてエンジン音が聞こえる」とのこと。西川淳さんは「エンジンはつまらない。コペンの方が良いかも。ただミッドシップエンジンだから速い。6速MTも良い」と評価。
高平高輝さんは「重心だったりスムーズにストロークさせることを設計されており、乗り心地が良く、スタビリティも高い。ロータス(イギリスのスポーツカーメーカー)みたい」とのこと。
ただ逆にS660は立派すぎる仕上がりなので、もっとチープで良いというへそ曲がりな意見も。
○S660はエンジン音が響く演出がたまらない
続いてマガジンX7月号の試乗評価。
「α」グレードのCVTに試乗したよこ山昌一さんのS660試乗評価は、「ホンダが妥協なく面白いだろうと感じたクルマを仕上げた。250万円の価値はアリ」とのこと。松下宏さんも書いてますが、エンジン音が車内に響く演出が素敵だそう。
S660はリアフードにスリットの切れ込みがあるので、後ろの窓(自動タイプ)を開けるとエンジン音が聞こえる。S660はMR車なのでエンジンが後方にあるため、エンジンの熱量や振動が伝わる。他にもロールバーなどにエンジン音が聞こえる工夫がなされているそう。
S660の動力性能に関しては「100kg近い同乗者(ホンダの店長)がいても快適な加速」という評価。後述しますがS660のエンジンは平凡という評価もありますが、しっかり走る模様。
またS660はボディ剛性が高く、ドアの開閉時に響くようなエコーがかからないことからも明らかだそう。だから「路面からのショックが丸く収まり、コーナリングでの車体のヨレもない」とのこと。
○ダイレクトな操作感は走る楽しみを体現
特にS660のハンドリング性能に関してはべた褒め。「操舵時、鼻先が軽すぎることもなく鈍重でもない。マツダのRX-8に感覚が近い。ブレーキも良質のスポーツカー並で絶品」とのこと。
またS660の6速MTモデルに関しては「四肢を駆使した操作とダイレクトな操作感には強烈な説得力」と賞賛。「アクセルオフと同時に過給圧開放のブローオフバルブ音がしっかり聞こえる」らしい。
他のS660の有用な情報としては、「シートは分厚く長距離ドライブでも疲れない」。屋根を開けていても風で髪が乱れることはない。身長制限がある(身長185cmだと頭がぶつかる)らしい。日本人だとそこまで気にすることでもないんでしょうが、高身長な方は少し注意。
【評判】カートップのS660の試乗評価
カートップ10月号。国沢光宏という自動車ジャーナリストさん。関係ないけど、見た目がチャラいwCVTと6速MTではどっちが良いか?という記事の中で、「道具として評価するのであればCVTに高い点数をつける」と意外な評価。自動車評論家さんはMTマンセー主義者が多いイメージですが、最近はCVTの出来も仕上がってきてるのも影響したのか。
ただ「絶対的な楽しさでいえばマニュアルを薦めたい」とのこと。ゲームでも上手な人ほどマニュアルを選ぶ人が多いのと同じで、それだけS660の6速MTには奥行きがあるらしい。
ここらへんは前述の試乗評価とも重なりますが、S660の「四肢を駆使した操作感が楽しい」という意見に近い。MTモデルが用意されてるクルマでも5速までしかないのも多いですからね。
○実際のS660オーナーが語る走る楽しさ
そして運良く購入できたS660オーナーさんを20人集めた生の声では、やはり全員が走ってて楽しいという答え。
エンジンのトルク感は意外に…という感想もやはりあるようですが、「ボディ剛性や操舵性の高さ」が口をそろえて高評価。その中には高性能輸入車オーナーさんもいるらしく、S660のボディ剛性の高さは本物っぽい。
S660と旧ビートとの比較では「ビートに比べればまさに強靭といえるボディや足まわり」とやはりS660のボディ剛性を評価。昔のビートの方が速いのかと思ったら、むしろS660は「即座にスピード超過になってしまうので今度は街中でアクセル全開にはできない」らしい。
特にコーナリング性能を高く評価されていて、「S660は究極のコーナリングマシンといっていい」と絶賛。「市販のアドバンネオバよりも遥かにグリップする専用タイヤは、路面を最後まで離さず、他のどのスポーツカーよりも高いコーナリング性能を実現」らしい。
ただ「エンジンパワーに対してシャーシが勝ちすぎている感がある」という批判も。やはりS660でも64馬力規制を守っているせいで、「5000rpm以上になるとターボのブースト圧をどんどん絞り、結果的に高回転でパンチ力のない仕上がり」でバランスが悪いとのこと。
○S660はやはりエンジンの加速感が物足りない?
他の記事でも「残念なのは完全に足がエンジンに勝っている」と評価。S660では足回りが良すぎる分だけに、どうしてもエンジンの物足りなさが際立つ模様。マガジンXでは「64馬力規制を破ってくれると期待してた」という感想もありました。
基本的に「軽自動車=64馬力」というルールは自主規制に過ぎなず、車格とは違ってゼッタイに守らなきゃいけないルールではない。今後はどこのメーカーがファーストペンギンになるのかが求められていそうか。
いくら馬力を上げたとしても制限速度を守らなきゃいけないのは変わらないわけだから。制限速度60キロが無意味だと警察庁が認めてた件という記事でも触れましたが、そもそも速度超過で起きている交通事故は意外に少ない。
【評判】ベストカーのS660の試乗評価
ベストカー8月10日号。清水草一という自動車ジャーナリストさんの試乗。MJブロンディという別名も?「恐るべきスタビリティ。レベルの高いコーナリング性能。本質がスーパーカー。ターンインの速さがハンパない」と、S660のコーナリング性能を高く評価。
またS660は最近では珍しいMR車(後輪駆動車)。ただリアは滑らないらしいんですが、それでも走ってて「気持ち良い」とのこと。どうしても足回りの良さが勝ってしまうので、エンジン自体には魅力がないという評価も。
ベストカー7月26日号。ピストン西沢という方。試乗したグレードは「β」の6速MT車。走り屋さんらしく、筑波サーキットでバリバリ走行。
S660で筑波サーキットの一周2045Mのコースを走ったタイムが1分18秒937。ABSを勝手に切ったタイムは1分18秒278。ちなみにマツダ・ロードスターが1分10秒ちょい。排気量660ccターボと1500ccの差を考えると速い?
○S660はさながらレーシングカーか?
「圧巻なのは最終コーナー。6000回転で64馬力の最高出力が出る。レブリミット(回転限界)が7700回転だけど5000回転より上でもビンビン」と、まさに腰をピストンしてるかのような興奮っぷり。「4000~5000回転のパワーが違う。回転が落ちても速度が垂れていかない」とのこと。
「FFと違ってガーッと止まる。そしてブレーキングからの立ち上がり加速が速い」「NSXと同じミッドシップエンジンと改めて思った」とMR車というだけでもS660には価値があるのかもと思わせます。
「とにかく車がいうことを聞いてくれて楽しいってこと」らしい。6速MTというグレードは昔ながらの車好きを唸らせる模様。
ベストカー8月26日号。テリー伊藤が試乗。「S660はレッドブル。コペンはお~いお茶」と何故か飲み物で例える。それだけS660はビンビンになるということか。
個人的にしっくり来たのが、S660は「バイク感覚」「セカンドカーというよりサードカー」という表現。価格の高さや趣味性の強さ、実用面での乏しさを考えると、確かに「S660はサードカー」という表現が一番言い得て妙。逆にコペンは収納性の高さを考えるとセカンドカーに近そう。
批判的な意見としては、巻取り式の屋根がシートに座ったまま車内から操作できないのが残念だったそう。ただS660は身長185cmで頭がぶつかる狭さなので、相当身長が小さくないと車内で作業するのは大変そう。
ホンダ新型S660の試乗まとめ
以上、ホンダ新型S660の試乗評価でした。S660を試乗したジャーナリストさんたちの評価としては、とにかく走りをべた褒めという状態。エンジンが平凡という感想もありますが、それだけS660の足回りの剛性感が素晴らしいってだけ。
CX-3の試乗まとめでは「価格が高すぎる」という批判もありましたが、S660の価格はそのCX-3とさほど変わらない。ましてや軽自動車というジャンルを考えると割高といった批判があっても良さそう。
それでもS660の試乗評判では価格に対するネガティブな意見はなく、それだけホンダの割りきった勝ちと言えそう。S660は「燃費や室内空間以外での追求」という点では非常に参考になりそうなクルマだと思いました。
ちなみに【車種比較】S660 vs コペンや【車種比較】S660 vs アルトターボRS、【ホンダ】新型S660 フルモデルチェンジ最新情報などもご参照。
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