2014年4月10日木曜日

トヨタ639万台リコールから見る「カイゼン」の功罪

トヨタ自動車は9日、運転席などに不具合があったとして、乗用車のヴィッツなど13車種計約108万5000台のリコールを国土交通省に届けた。輸出や海外生産分を含めた対象車は27車種約639万台に上る。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140409-00000078-mai-bus_all
トヨタが再び大規模なリコール。その台数が、なんと世界で639万台。なにやらバネに問題があるらしく、走行中にシートがボーンと飛び出る恐れがあるんだとか。対象車種は、ヴィッツやポルテ。

ただ、何故ここまで大規模なリコールが頻発してしまうのか。その背景には、トヨタが推し進める『カイゼン』がそこにはあった。

ちなみに「再び」と表現したのは、2012年10月のリコールでは743万台だから。今回は、その規模に次ぐリコール。最近はGMの不手際などもあって、不具合が見つかれば積極的にリコールをする傾向が強い。

トヨタは前科があるのも大きいが、基本的には歓迎すべき話。ここでメーカーを叩いても、ドライバーの命に関わることなので企業をあまり萎縮させたくないところ。


徹底した「部品の共通化」

結論から言えば、『部品の共通化』が元凶。

今回不具合が起きたバネにしたってシートにしたって、大きい部分から小さい部分まで実は中身が同じ。Aという新車種が発売されても、そのベースがBという車種ということもザラ。この部品の共通化は、本当多岐にわたる。

つまり一つの部品で不具合が起きれば、ありとあらゆる車種でリコールをしなければいけなくなる。

また部品が統一されてるだけではなく、調達先も限定されてることが多い。どこどこの国の某工場だけが、その部品の生産を請け負ってる。だから、そこで不具合が起きれば、全部ダメになる。2012年に起きた大規模リコールでは、まさにそれ。

それはリコールに限らず、東日本大震災のような場合でも影響が及ぶことを示してる。実際東北のあるメーカーが被災したことで、全世界に向けたトヨタ車の供給が止まった。平時のときにはメリットしかないが、いざ問題が起きると強烈なカウンターパンチを食らってしまう。

カイゼンが却ってコスト高を生む?

ここまでリコールの範囲が広範で、深刻化してしまうことは、却って修理費用などがかさんでしまう。その修理費用がどこから捻出されるかと言えば、利益。消費者が支払ったお金から出る。

つまり結果、巡り巡って消費者がツケを支払うことになる。そのツケは車体価格に反映される。これじゃあカイゼンの意味はない、とすら言える。

トヨタに限らず、最近の自動車メーカーは「部品の共通化」を推し進めてる。それのおかげで、価格面での競争力を高めてる。ただいざ不具合が起きると、さすがに今回のトヨタ並の規模にはならないだろうが、他のメーカーでも最低でも数十万単位のリコールは起きるはず。

カイゼンをカイゼンすべき?

行き過ぎた…と言えば語弊が生まれそうですが、コストダウン・コストカットのやり方は再考すべき時期が来てるのかも知れない。さすがにリコールの規模が大きく株価が下がったらしいので、そういう面でもリスクの分散は必至だろう。

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