2016年2月19日金曜日

マイナス金利導入で新車販売台数は増加する?

つい先日マイナス金利が導入されました。

通常 銀行などの金融機関は日本銀行にお金を預けて利息を得てるんですが、マイナス金利とは逆にお金を預けられた日本銀行が金融機関側から利息を頂こうというもの。例えると「手数料」みたいなもの。

一応「これから預けるお金」ですので影響は微々たるものと言われてますが、金融機関は数百億円数千億円という単位で日本銀行に預けてる以上は決して無視できないでしょう。少なくとも金融機関が日本銀行にお金を預けたら預けただけ損をするのが、マイナス金利という仕組み。

だから銀行など金融機関は日銀に預けて利息を得る以外の運用方法で利益を出さなければいけない。要はマイナス金利には「金融機関による民間企業への貸し出し」を促す狙いがあって、結果的に景気が良くなるのでは?という理屈。

でも銀行からしてみたら困った話。もちろん倒産することはないと思いますが、収益が一方的に悪化していくわけで銀行株も絶賛暴落中。安倍政権の打つ手がことごとく裏目裏目に出てますが、そこで気になるのが自動車の新車販売台数。自動車ローン金利が下がれば、それだけ新車を購入したくなる人も増える可能性があります。




そもそもローン金利が低下するのか?

でも結論から書くと「新車販売台数はさして伸びない」と考えられます。何故なら、そもそもローン金利が低下する可能性はあるのか?という疑問。

スイスなどマイナス金利先進国のヨーロッパでは、実は住宅ローンなどのローン金利がそこまで下がってないそう。むしろローン金利が上昇している国もあるとか。結果的に全てではないにしろ中央銀行に収益が奪われるので、金融機関はどこかで帳尻を合わせる必要がある。

ただマイナス金利導入でいくらお金を貸し出す状況に追い込まれたとしても、自動車ローンや住宅ローンの金利を下げたら、更に金融機関の利益や利ザヤが悪化するだけ。例えばモノを売るために販売価格をめちゃめちゃ安くしてるようなもん。まさにTHEデフレ

ましてや安倍政権の経済政策の最終的な狙いは「物価や金利を上げていく」ことにある。つまり、マイナス金利ほど矛盾した政策もない。つまりマイナス金利政策の成功はマイナス金利を止めることと、実は二律背反。だから自動車ローンや住宅ローンの金利が下がったとしても、少なくとも「一時的」な現象に過ぎないだろうと推察できます。


ローン審査はゆるくなる?

一般的に金利が下がって返済総額が減れば、借り手側に求められる収入基準・年収基準も下がります。

でも「自動車ローン審査が厳しくなってる?」という記事を少し前に書きましたが、いまいちローンの審査基準ってよく分からない。もし最初のところで門前払いされちゃったらローン金利が高いとか低いとか以前の話。

バブル景気のような状況とは違うので、金融機関は更に少ない利幅で儲けなければいけなくなるので、むしろこれまで以上に融資が焦げ付く事態は避けたいはず。だからむしろ審査がますます厳しくなる可能性もありそう?


新車販売台数は伸びない

だから改めての結論としては「マイナス金利導入後も新車販売台数は増えない」と考えられます。もちろん消費税増税が行われるはずですので、2016年の新車販売はその駆け込み需要で増えるでしょうが、少なくともマイナス金利の好影響はない気がします。

既に自動車には超低金利ローンの「残価設定型クレジット」などがあったり、最近は原油安でガソリン価格が下落してたりします。消費税増税も既に2年が経とうとしてる中、それでも自動車を誰も買おうとしない。その冷えきった消費マインドを変える力はマイナス金利にはない。

やはり経済が良くなかったら、そもそも誰も無理してまでお金を借りない。お金を借りようとしない人に、お金を貸すことはできない。

実際 安倍政権になって以降、日本の実体経済は悪化・鈍化してる。2013年のGDP成長率が1.59%、2014年のGDP成長率がマイナス0.10%。最近もGDPがマイナスでした。安倍政権下では民主党政権を超える「低成長」が続いてる。

消費税増税の先延ばしも考えられますが、既に2014年12月に延期済み。それでも相変わらず不景気が続いてる。むしろ増税を先延ばしにしたところで今年2016年度の駆け込み需要を奪うだけですので、安倍政権にとっては却って致命的になりそう。まさに四面楚歌。

もはや安倍政権が存在していること自体が「日本の大きな経済的リスク」と言えましょう。

【スポンサーリンク】