日産のSUVに排ガス不正、韓国政府が告発…販売停止やリコール求める日産のSUV・キャシュカイの排ガス不正疑惑が持ち上がって早2週間ほど経ちますが、あまり続報が出てきません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160516-00000041-rps-bus_all
そこで問題のおさらいも兼ねて、韓国の環境省が正しいのか?日産自動車が正しいのか?を自分なりに考えてみました。
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基準値を超えるNOxを放出していたことは間違いない
5月18日 |
まず日産自動車の主張をまとめると、ヨーロッパの厳しい排ガス規制「ユーロ6」に適合済み。韓国国内の規制はそのユーロ6に準じたものであり問題ない。
一方、韓国環境省の主張をまとめると、キャシュカイの排ガスから基準値の20倍を超える窒素酸化物(NOx)が検出された。理由はエンジンが一定温度になると排ガス浄化装置が止まるからである。これは意図的にやっていたに違いない。
議論がかみ合ってるようでかみ合ってない感じがしますが、実際問題としてキャシュカイからは基準値を超えるNOxが検出されてたのか?その答えを先に書いておくと、残念ながら「YES(イエス)」ということ。
3月14日 |
でも、これを「意図的な不正」とまで断定できるかは微妙。何故なら、韓国環境省は日産自動車から昨年11月頃に「吸気温度が35度以上になれば低減装置が不活性化する」という報告を受けていた模様。
少なくとも日産自動車が意図的に不正を働いた事実はなさそうですが、だからといって韓国環境省の主張が間違いであるとも言い切れないのが現状ということ。
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排ガス浄化装置の一時停止は是か非か?
つまり問題をまとめるとしたら、「(エンジンを守るために)排ガス浄化装置を一時停止させる方法は違法か合法か」という点に尽きると思います。
だからキャシュカイという一車種の問題ではなく、ディーゼル自動車全般の問題と置き換えても構いません。実際キャッシュカイに搭載しているディーゼルエンジンはルノー製ですが、ルノーサムスン・QM3という車種もやはり基準値を超えるNOxを排出済み。
じゃあ、この方法が是か非かってことですが、イギリスの運輸省が2016年4月にまとめた報告書では、キャシュカイなどに不正は認められてなかったと結論付けてるらしい。日本の国交省もウヤムヤな態度ですが、そこまで問題視してない雰囲気。
結論をまとめると、どうやら現状としては日産自動車側に分があるのではないか?とは言えそうです。
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日産がなぜ必死になるのか?
そもそも日産自動車がなぜこんなに必死になるのか?が気になる所。
何故なら、今回キャッシュカイが韓国環境省から販売停止を受けた台数はたった814台。韓国で人気の外車・輸入車を見ると、日本と同じようにBMWやメルセデスベンツといったドイツ勢が人気。逆に日本車は人気がありません。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_korea_2016 |
「日本車はヨーロッパで悲惨なぐらい売れてない」という記事でも触れましたが、それはひとえにキャシュカイがヨーロッパで爆売れしてるSUV車だから。もっと言えば、キャッシュカイは日本車で一番売れてるから。
つまり、ここに問題が飛び火すると日産自動車的にはかなり痛い。三菱自動車を傘下におさめて年間1000万台も夢ではなくりましたが、このキャシュカイが撃墜されてしまうと100%達成できません。相当の懸念と危惧を持って、この問題に臨んでると考えられます。
先程は「韓国環境省の方がどうなん?」と書いたばかりですが、少なくともキャッシュカイに限らず、ディーゼル自動車の多くが温度を理由にして排ガス浄化装置を止めてるのは事実。つまりはどの車種も基準値を超えるNOxを多かれ少なかれ排出してる可能性が高い。
じゃあ今後もずっとそこにメスが入らない保障はない。今回の韓国環境省の告発をキッカケに、なにかディーゼルエンジンに関する世界的な規制が始まったとしてもおかしくない状況。だから日産自動車以外のメーカーさんも戦々恐々としながら、実は注視している事案なのかも知れません。
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