それがクロネコヤマトで有名な『ヤマト運輸』と、Welqやpuulといったパクリサイトで有名な『DeNA』が共同開発して自動運転で荷物を運ぶサービス、その名も「ロボネコヤマト」なるもの。e-NV200という車両が使われてることからも分かりますが、日産自動車も一枚絡んでいます。
だから自動運転システムの部分に関与はしていないものの、「初めて自動運転技術を商用利用」しようとしている、ヤマト運輸の大いなる決断に対して大いなる意義がありそうです。
特にクロネコヤマトはAmazonといった通販サイトの荷物が増えすぎて、現場の労働環境は過酷。最近になって未払い賃金をボーナスとして支払ったそうですが、サービス残業も当たり前だったことが問題となっていました。
やはり一般的な社会人であれば昼間は働いてるので、普通は家にいない。そうすると荷物を届けようにも再配達が常態化してしまう。そういった問題を解消しようというのが今回の「ロボネコヤマト」。自動運転技術を応用して荷物を無人で消費者まで配送できるとしたら、現場の配達員の方の仕事量は減少しそうです。
そこでこの記事では「ロボネコヤマト」が成功するのかしないのかをお節介にも簡単に考察してみました。ロボネコヤマトが成功するか否かで日産自動車の未来も決まってきそうです。
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ロボネコヤマトが人手不足解消には至らない理由
結論から書くと、ロボネコヤマトが成功するかは微妙。何故なら一度に配送できる荷物の数やサイズが限られてしまうから。
ロボネコヤマトの動画を確認すると、画像のようにボックスに自分が購入した商品が入れられており、スライドドア付近でスマホや暗証番号を入力することでボックスが自動的に開く仕組みらしい。まさに先進的と言えば先進的。
ただ荷物をラゲッジスペースに雑多に積み込むわけではないので、どうしても盗難被害などを防止するためにボックス自体がかなりガッチリしてる印象。とはいえ見る限りは、一方でボックス容量はそこまで大きくはない。
先程も書いたように、このロボネコヤマトの車両は改造したミニバン車(日産・e-NV200)。もちろんミニバン車はファミリーカーとして使う分には十分室内は広いとしても、やはり配送車としてはそこまで広くはない。
ましてや自動運転技術をたくさん搭載してる以上、ロボネコヤマトの室内空間は一般的なミニバン車より狭い可能性が高い。画像を見ても分かるように、その分だけ荷物を収納できるボックスの数が知れてる。
つまりロボネコヤマトが一度に配送できる荷物の種類やサイズや個数には制限があるはずなんです。少し大きめの商品だけではなく、Amazonでまとめ買いした場合はダンボールが巨大化しがち。そういった商品もロボネコヤマトに積載するのは厳しそう。
じゃあクロネコヤマトの配達員の方の負担を減らせるかというと、かなり状況は限られるだろうと予想されます。もっと言うなら、ロボネコヤマトは効率が悪すぎる。
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ロボネコヤマトが生む諸問題
そこで他にもロボネコヤマトが抱える問題を考えてみた。
まずは路上駐車の問題。
ロボネコヤマトが自動的に配達してくれるのは、当たり前ですが無人運転だから家の前までに限られます。逆に言うと、消費者は家の前まで出ていかなければいけない。多少の面倒はあるものの、配送員に家の中を見られたくない人にとってはメリット。
ただ、どうしても荷物を受け取るまでの時間差やタイムラグが発生する。いくらロボネコヤマトが直前に電話やメールで教えてくれるとはいえ、何かしらの都合が発生してロボネコヤマトをそのまま数分程度そこで待たせることもある。
実際クロネコヤマトのドライバーの方もどこに停車すればいいか四苦八苦されていますが、例えば救急車がその道を通ろうとした場合はどうするのか。ロボネコヤマトは無人であるがゆえに急に動かせない。そんな時に消費者はどうすればいいのか。
まだ届け先が一軒家や一戸建ての方だったら良い。基本的に玄関を出たら、目の前にロボネコヤマトが待っているわけですから。ただ、もし届け先が高層マンションやアパートの住人だった場合はどうなるのか。
外で待ってくれているロボネコヤマトまで足を運ぶまでに、何段もの階段を降りなきゃいけない。当然ロボネコヤマトがどこに停車するかにも関係してくる。場所によってはマンションの前に確実に停まってくれるとは限らない。
つまり届け先がマンションの住人だった場合、一戸建て以上に確実にタイムラグは発生する。他にもロボネコヤマトは無人であるがゆえに、車内に変なモノをイタズラ目的で置かれないかも心配。
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Amazon流通問題を解決するのは宅配ボックス
だから、やっぱり本質的な解決は「宅配ボックス」しかないと思います。
何故ならドライバーの方が荷物を直接手渡す以上、どうやってもお互いの時間を合わせなきゃいけない。でも、それが難しいから問題。ロボネコヤマトも結局はその概念にとらわれてる以上、何も根本的な解決には至らない。
極論すると、玄関前に荷物を置いてくれてたらいい。
ネット通販の良さは時間にとらわれず、自分の好きなタイミングで好きな商品を購入できるのがメリット。それにも関わらず、その商品を受け取るためには自分の時間とクロネコヤマトといった配送業者に合わせなきゃいけない。せっかくのメリットが台無しではないか。
だから日本政府は新規のマンションや公営住宅には宅配ボックスの義務化は早期に行うべきでしょう。
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ロボネコヤマトが活躍するジャンルと未来
ただロボネコヤマトの未来がないかと言えば、もちろんNO。配送できる荷物のサイズや個数が限られてるとは言っても、この試みそのものは有用。
例えばロボネコヤマトのネット動画にも紹介されていますが、高齢者向けのサービスへの活路は開けてると思います。
最近は大規模なスーパーが台頭したことで、意外と近くに手軽に買い物ができるお店が少ない。だから都会や田舎に限らず、クルマを所有してない高齢者は生鮮食品や食料品を買うのにも一苦労。まさに陸の孤島。
ただロボネコヤマトがあれば買い物の手間が省ける。高齢者であれば、そこまで大量に食料品を買うこともない以上、ロボネコヤマトの車内スペースでも十分事足りる。病人や介護を必要とする高齢者であれば、介護士さんが代わりに受け取ることも可能。宅食や過疎地への展開も十分考えられます。
そういった定期的に利用する消費者を対象にすれば、クロネコヤマトに限らず、配送業者や宅配業者サイドにとっても自動運転配送サービス(ロボネコヤマト)を安心して導入展開しやすいはず。決められたコースの家庭にロボネコヤマトが周回するだけなので交通事故の心配も減るでしょう。
他にもピザといったデリバリーサービスも、ロボネコヤマトは有用だと考えられます。
何故なら確実に消費者が在宅してるわけですから、商品の取り忘れがない。また商品のサイズも大きすぎないのでボックスに確実に収納できるのもメリット。特定の商品しか扱っていない業者であれば、場合によってはその商品にのみ合わせたボックスを作ってもいいでしょう。
ロボネコヤマトの考察まとめ
以上、パクリのDeNAはさっさと倒産してほしいと思ってますが、日産自動車やヤマト運輸には是非成功してほしいと思ってる何とも複雑な心情の自分なりの考察でした。
ロボネコヤマトが成功するかどうかは分かりませんが、少なくとも自動運転配送サービスの未来は、一部の業界において確実に定着していくだろうとは推察されます。例えば配送に限らず、ロボネコヤマトを「集荷」に用途を広げてみても面白いはずです。
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