2016年11月23日水曜日

トランプ大統領「TPP脱退しまーすwww」の影響

トランプ次期米大統領は21日、動画メッセージを発表し、環太平洋連携協定(TPP)の枠組みから離脱する意向を、来年1月20日の就任初日にも議会や協定参加国に通告すると宣言した。大統領選の公約に掲げていたTPP離脱に言及したのは、選挙後では初めて。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112200141&g=int
先だってのアメリカ大統領選挙でクリントンおばあちゃんに勝利したのが、ドナルド・トランプおじいちゃん。このトランプ勝利に貢献したと言われるのが「TPPからの離脱」。反グローバリズムと呼ぶべきか、外国からの安い商品や労働力に対する危機感は世界的に強いことが伺えます。

日本の泡沫政党・維新のなんちゃらやマスコミは「ビジネスマンだから現実路線を取る」とか妄想をたれながしてましたが、何と2017年1月20日にアメリカ大統領に就任した当日に「TPP脱退」を日本を含めた各国へ通達することを動画サイトで高らかに宣言。やはりトランプは有言実行の男だったようです。

この件で一番の涙目は、真っ先にトランプに尻尾フリフリ会いに行った安倍総理。てっきりクリントン政権が樹立されると思ってただけに、自民党もてんやわんや。改めて自民党の収集能力のなさも際立ちますが、ただただ安倍総理はトランプと談笑しただけというオチでした(笑)

…と政治的な発言をすると怒られるので本題に入ると、果たしてアメリカがTPPから脱退してどうなるのか。日本へどういう影響を与えるのか「自動車産業目線」で考察してみました。



基本的にクルマに関して影響は出ない

昨年の今頃か今年初め頃かに「TPP批准で自動車輸出は増えるか?」という記事も書きましたが、基本的に自動車に関しては大して影響は出ないと考えられます。

何故なら、既にアメリカ向けの自動車の関税はたった数%程度。その程度の関税が0%に引き下げられた所ですぐに輸出が増えるわけではありません。しかも何十年をかけて段階的に廃止するというものですから、日本にとってのメリットは少なくとも大きくはありません。一方、日本がアメリカ車にかけてる関税は0%(笑)


トランプは自動車の関税を上げてくる?

ただ気にかかるのがトランプの「日本が豚肉に30%以上の関税をかけるなら、アメリカは自動車に30%の関税をかけたらいい」といった発言。

和訳に多少間違いがあるかも知れませんが、少なくともトランプは日本の自動車を敵視してて、日本車の関税が逆に引き上げられる可能性もなくはないという点。トランプという人物の性格を考えると、ジョークで終わる可能性は0%じゃないのが怖いところ。

要は「アメリカがTPPを離脱します」だけで話は終わらない。トランプはTPPの代わりに、二国間同士の自由貿易協定(FTA)を結ぼうと主張してる。もしTPPが瓦解した場合、日米間でFTAが結び直される可能性があるわけです。

じゃあ日米FTAで何が変わるのか?


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安倍政権はトランプとの交渉に絶対「負け」る

もちろん「自由貿易協定」を謳ってるわけですから、さすがにアメリカが日本に対して自動車の関税を引き上げてくることはしないでしょう。

そこでキーポイントになってくるのが「農産物」。言うまでもなく、日本はお米や小麦、豚肉といった農産物にものすごい高い関税をかけてる。高関税にすることで日本国内に外国産の農産物の流入を防いでる。でもトランプは自動車をダシに日本の農産物の関税を大幅に引き下げるように迫ってくる・揺さぶってくると考えられます。

トランプ氏の考えに沿う形で、日本と米国が2国間の自由貿易協定(FTA)を結び直す必要が出てくれば、TPP交渉以上に農産物などの市場開放を求めてくる懸念がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161122-00000059-jij-int
実際既にこういった声もあって、マスコミの中では「さあ大変だ」と主張する勢力もいます。ただ「待ってくれ」と言いたい。

日本は日本で、安倍政権や自民党はTPPを強行採決するぐらい自由貿易を推進してる。TPPが瓦解したところで「自由貿易を推進していく姿勢」に今後も変わりはないと推察されます。だったらもしトランプの保護主義を批判するのであれば、日本の…いや「自民党の農家に対する保護主義」は問題ではないのか。

結局、日本の自動車に関する関税を0%に引き下げるように相手に求めるのであれば、アメリカの農産物に対する関税も0%に引き下げるのが筋。そうすればきっとトランプも「ぐぬぬ」と押し黙るはず。

安倍総理や自民党はTPPやFTAを推進しつつ、一方で「聖域を守る」と主張してる。言っちゃえば虚言。逆に考えると、トランプは自民党をわざわざ延命させるために安倍総理のウソや建て前に付き合うことはしないはず。だからTPPも安倍総理を無視して脱退しちゃうわけです。

つまり安倍政権に実行力や交渉力があろうとなかろうと(数々の外国との交渉で負け続けてる安倍政権に期待する方が馬鹿ですが)、自由貿易を推進する以上は農産物の関税に関して大幅な譲歩をしなきゃいけない状況が生まれつつある。

実はTPP以上に「自由貿易を実現できる可能性が生まれた」と言い換えることも可能ですが、農家さんや農協目線で考えると「どうやっても惨敗する」とも言えます。

じゃあその時に自民党は農家を裏切ってでも自動車を選択できるのか?その他の産業に有利な条件を引き出せるのか?トランプ相手に自由貿易を訴えることができるのか?その覚悟が問われつつある。

安倍総理や自民党さんに対しては是非「くるまファースト」で頑張っていただきたいと思います。もし安倍政権が「真の自由貿易」を謳うのであれば、自民党を支援している農協や農家の人々を裏切る以外に道はないってことです。

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