2016年4月21日木曜日

三菱自 燃費不正の何が問題?日産に責任はないか?

三菱自動車が自社が開発した軽自動車のカタログ燃費を5~10%ほど偽っていたらしい。三菱自動車の社長辞任も不可避だとか。「3気筒と4気筒の違い」で日本の軽自動車をホメたばかりですが残念です。



後出しジャンケン的に振り返る

個人的には三菱自や日産の軽自動車のカタログ燃費は胡散臭いと思ってました。

後出しジャンケン的に何言ってんだこいつとツッコまれそうですが、やはり日産と共同会社・NMKVを設立したところで、所詮は三菱自動車が開発してる。長年軽自動車の開発を続けてきたスズキやダイハツに簡単に追い付けるのが不思議だった。

また日産デイズルークスの試乗動画などを見ても、車重の割に加速感があった。尚更スズキやダイハツに肉薄できるほどのカタログ燃費を達成できる?と内心ずっと疑問でした。まあフタを開けてみたら、結果的には案の定といったところ。


RDEモード導入は待ったなし?

ちなみに自動車の燃費測定を管轄する国土交通省は今回の件で「ふ、ふ、不正なんて見抜けねーし」とか言ってるようです。近々日本ではJC08モードに代わって…というか世界でもWLTPモード(日本ではWLTCモードという名前になる?)が新しく導入されます。

ただ室内で台上試験で計測する仕組みはWLTPモードになっても変わらず。今回の三菱自動車は、台とタイヤの転がり性能を誤魔化していたとか。今後も似たような不正に対して国土交通省はどう対応するんでしょうか。

そこで気になるのが、このWLTPモードより厳しい燃費規制に「RDEモード」。既にヨーロッパでは導入されることが決定してるそう。

このRDEは「リアルドライビングエミッション」の略なんですが、その名の通り、走行中の二酸化炭素などの排ガスを計測して、逆算的にカタログ燃費を算出するというもの。しかもテストされる速度はランダムで決まるので、あらかじめ対策が打てずドライバーの腕も無効化される。

日本ではRDEモード導入の予定はありませんが、監督官庁の国土交通省が白旗を揚げているようではいずれ導入される日も近いか。


日産自動車に責任はないのか?

今回の燃費不正の件で、新聞やテレビは「ブランドイメージ失墜」と三菱自動車だけをことさら槍玉に挙げてます。ただ三菱自動車の販売台数は知れていますので、これ以上落ちようがないのも実際でしょう。

もちろんアウトランダーPHEVで不正を働いてたら致命的でしたが、どちらかと言えば今回の件でダメージを食らうのは日産自動車。両者の軽自動車の販売台数は一桁ばかし違うので影響の度合いが全然異なる。

じゃあ三菱自動車も日産自動車も同じ軽自動車を販売してるのに、何故マスコミは日産自動車を批判しないのか?

前述のように三菱自動車は日産と一緒に設立した合弁会社「NMKV」がekやデイズをまとめて製造してる。ただ共同会社とはいえ主体的に開発・製造してるのはほぼ三菱自動車。だから…ってことだと思うんですが、責任を取るべきとしたらまずはNMKVの社長のはず。

消費者からしたら、どこが製造したとかは関係ない。日産の軽自動車を購入した消費者は、日産自動車が販売しているから購入してるワケです。もし三菱自動車の社長が責任をとって辞任せざるを得ないのであれば、日産のカルロス・ゴーンも辞任するのが筋でしょう。

ましてやNMKVは「Nissan Mitsubishi Kei Vehicle」の略で、むしろ日産自動車の方が前面に出てる会社名。もし雲隠れを目論んでいるとしたら残念です。

一応、今回の件は日産自動車の指摘で発覚した模様。今までスズキからOEM供給を受けていたものの、最近販売停止した「モコの次期型」を日産自動車も加わって開発してるらしい。その延長線上にあった事件。ただ日産はこれまで開発や製造に関与してなかったから…というのはやはり単なる言い訳でしかありません。

マスコミが何故日産自動車だけスルーしてるかは知りませんが、日産が大口の広告スポンサーだからでしょうか。逆に三菱自動車の立場が弱いから、またぞろマスコミが叩いてるような気がします。

NHKや産経新聞は「三菱自また不正」とか喜々として煽ってましたが、「安倍政権また不祥事・失言」とは煽らない現実。権力者にケツを振るしか能がないのが、日本のジャーナリズム。なんとも悲しい限りです。


問題はエコカー減税の不正にある

そもそもカタログ燃費と実燃費に乖離があるのは周知の事実。だから、こういったブログでもネタにできるワケですが、言っちゃ悪いですがカタログ燃費が数km/L誤魔化されていたとしても実燃費にほとんど影響は出ない。つまり実際問題として、今回の件で消費者やユーザーがどこまで怒ってるかは不明。

むしろ日産も開発に主体的に参加したことで、今後は不正防止の観点からもNMKVの相乗効果がきっと顕著に現れてくると期待感は持てます。じゃあ何が問題かって考えると、個人的には今回の三菱自動車の燃費不正の件は「エコカー減税」にあると思います。

何故なら、カタログ燃費が数km/Lも落ちると重量税や取得税が減免されなくなる可能性は高く、本来収めるべき税金が収められなかった可能性がある。実質的には税金をボラれてたとも言えるので、コチラに関しては具体的な損害が間違いなく出ています。

ましてやNMKVが自らの技術力のなさを隠してという動機に同情の余地はなく、三菱自動車も日産自動車も道義的に国へお金を返還せざるを得ないでしょう。そういった負担を強いられる影響はメーカーとして決して小さくない気がします。

…とはいえ、安倍政権下で燃費基準がまた厳しくなったのも事実。当然、その低燃費車優遇が新車の販売促進に一役買っているのも事実。つまり低燃費車優遇を拡充するならまだしも、これじゃあ日本で新車が売れなくて当然。

前に「ヨーロッパと日本の新車販売台数の比較記事」を書きましたが、日本はお通夜状態に対してヨーロッパは絶好調。日銀がマイナス金利を導入しましたが、不動産販売も落ち込んでる現実。円高もかなり進んだ中、日本政府として安倍政権として一体どういう経済対策を打つのかは見えてこない。

言ってしまえば、安倍政権の経済政策のお粗末さは三菱自動車どころの比ではない。熊本の地震が現在進行形で発生してますが、支援物資もろくに届かない。大雨も降る中、車中泊や外で寝泊まりを強いられている被災者が多い。既にエコノミー症候群で亡くなっている方も多数。それでも未だに仮設住宅は一件も建ってない現実。

テレビでろくに記者会見すら行われるワケでもなく、安倍総理は今頃ゴルフで呑気に遊んでいるんでしょうか。別に政権交代しろとまでは言いませんが、自民党や公明党は「使えない総理大臣」はさっさと引きずり下ろすべきでありましょう。

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