「トヨタ・GRブランドとは何か?」も参照してもらうとして、ざっくり簡単に解説するとトヨタの市販車をスポーティーにチューンドして売り出すというもの。日産で言えばNISMO、メルセデスベンツでいえばAMGみたいな感じか。
このGRブランドで特に優遇されている車種が「ヴィッツ」。
人気コンパクトカーのヴィッツは「ヴィッツGRスポーツ」と「ヴィッツGR」と立て続けに販売。そして最上位ブランドであるGRMNに関しても、ヴィッツが2018年に最初のGRMNブランドとして発売される模様。
そこで今回は既に発売中の「ヴィッツGR」と「ヴィッツGRスポーツ」の違いを比較してみました。ブランドの立ち位置的には「GR >>> GRスポーツ」という位置付けになります。
果たして見た目や内装、走り(試乗)に違いはあるのか?
ヴィッツGRとヴィッツGR sportの見た目を比較
まずはヴィッツGRとヴィッツGRスポーツの「見た目」を比較。
(上:ヴィッツGR、下:ヴィッツGRスポーツ) |
上がヴィッツGR、下がヴィッツGRスポーツですが、どちらもノーマルヴィッツと異なり大型の直線的なグリルを採用してるものの、そこ以外は大きな違いは見られません。
ただ強いて言えば、タイヤホイールなど若干の違いもチラホラ。GRスポーツも決してダサくはありませんが、ヴィッツGRの方がホイールが黒色に若干加飾されるなどデザインが洗練されてる印象を与えます。
またGRとGRスポーツとではタイヤサイズも異なっており、ヴィッツGRは17インチに対してヴィッツGR sportは16インチ。乗り心地だけではなく、タイヤのインチサイズの違いがパット見の印象に多少は影響を与えてそう。
○ヴィッツGRの方が装備面は充実してる
だから、全体的にヴィッツGRの方が装備面で充実しております。他にもヴィッツGRには新たにLEDライトも採用されているのに対して、ヴィッツGRスポーツにLEDはなし。
ヴィッツGRにはローダウンサスペンションやカラードキャリパーブレーキなども追加で装備されているため、ヴィッツGRの方がGR sportよりも全高が10mmほど低いです。画像だと分かりづらいですが、実車同士を見比べると割りと気付ける人は気付けるレベルか。
(上:ヴィッツGR、下:ヴィッツGRスポーツ) |
ヴィッツGRとヴィッツGR sportの内装インパネを比較
(上:ヴィッツGR、下:ヴィッツGRスポーツ) |
上がヴィッツGR、下がヴィッツGR sportですが、ベース車両はそのままノーマルヴィッツだけあって、やはり大きな違いはパッと見は感じさせません。
ただ内装面での違いは外観デザインより少なくない。
例えば、ステアリング。
ヴィッツGRにはGR専用のハンドルが採用されており、見えづらいですが下の部分に「GR」というロゴが打ち込まれております。目印として運転しやすくなる点でも地味に良い。
またヴィッツGRスポーツよりも小径に設計されており、残念ながらD型ステアリングではないものの、ヴィッツGRにはアルミペダルもGR専用のものが装備されるなど、やはりヴィッツGRスポーツよりも装備面で充実しているらしい。
他にもメーターパネルに関してもヴィッツGRスポーツとの違いがあるんですが、実はGRの立ち位置は旧G's。そのためメータパネルに関してはG's時代のものがそのまま流用されているらしい。
逆に、それら以外はほぼ同じ。
シートやインパネ周りの赤い加飾などはヴィッツGRもヴィッツGR sportも同じ。これらは86やハリアーなどGR系でも同様の措置が取られていると考えられるため、GRとGRスポーツのどっちを購入するかの判断になりそう。
ちなみに、ヴィッツGRとヴィッツGRスポーツの価格差が約30万円程度。色々と一長一短ではあるものの、ヴィッツGRは価格差並のお買い得な仕上がりにはなってると言えそうです。
結局走りに違いが現れるのか?試乗比較
ということで、ラストはヴィッツGRとヴィッツGRスポーツの「走りの違い」を比較。
まずヴィッツGR sportの走りはノーマルヴィッツから専用サスペンションを採用したことで、足回りが激変。
フラットな乗り味になり、明らかにロールも抑制されている。ステアリング操作も如実に改善され、コーナリング時ではノーマルヴィッツとの違いを特に体感できる。
ヴィッツGRスポーツはスポット溶接が増し打ちされ、ノーマルヴィッツよりもボディー剛性がアップ。ノーマルヴィッツの低燃費タイヤからスポーツタイヤに履き替えたことで、タイヤのグリップ力も向上。
ヴィッツGRスポーツは車体の操縦安定性も高まり、旋回速度も高まったことでヴィッツGRスポーツは直線でも時速130km/hも余裕で難なく走行してくれる。
「標準車がこのGRスポーツのレベルからスタートすべき」とヴィッツGRスポーツを評価するのはカートップの比較記事。あくまでヴィッツGR sportはライトチューンではあるものの、数十万円分の割高価格分以上の走りは向上してる模様。
○ヴィッツGRの走りは車体全体で剛性感が強化されてる
一方、更にチューンナップされてるヴィッツGRの試乗はどんな評価なのか。
ヴィッツGR sportより更にバネレートアップされたザックス製ダンパーを採用したことで、更に硬くなったものの、同時に柔らかい懐の深い乗り味に深化。リアスポイラーでタイヤの接地感を高め、サイズアップした17インチタイヤで操縦安定性もアップに寄与。
LSDを新たに搭載したことでハンドリングのレスポンスは早まり、トヨタが販売してる高級車で見られる10速シーケンシャルシフトマチックが更なる伸びやかで谷間のない加速感を生む。ドライバビリティー全体が更にスポーティーに改善。
ヴィッツGRは更にシャシー前後中央に補強材が追加され、ヴィッツGRスポーツよりもネジレ剛性が強化。つまり、ヴィッツGRはボディー全体の運動性能が向上しており、CVTモデルで135km/h、MTで140km/hまで時速を引き出すことが容易に可能。
まさにレーシングカーに一歩近付いた仕上がりで、サーキット走行でも十分耐えうる代物に仕上がってるか。
ということで、ヴィッツGRとヴィッツGRスポーツの走りの違いを一言でまとめるなら、ヴィッツGR sportは「足回りが主に強化」されているのに対して、ヴィッツGRは「車体全体で走りが改善」されてるといったところか。
良くも悪くも、どちらも価格相応のチューンナップがされていると結論付けられます。
ただし、どちらもエンジンはノーマルヴィッツと同じものを採用してるため、加速性能などに違いは現れません。でもヴィッツGRスポーツにはハイブリッドエンジンモデルも販売されているので、電気モーターの加速感がプラスされる分だけGRスポーツよりも優秀か。
トヨタ・ヴィッツGR vs ヴィッツGR sportの比較と試乗評価まとめ
以上、トヨタ・ヴィッツGRとGRスポーツの比較記事でした。
どちらも両者ともトヨタが製造工程の途中でカスタマイズしてるため、後付け設定のチューンナップではない。ヴィッツGRやヴィッツGRスポーツは、根本的にクルマとしての運動性能が改善されてる。
ただ個人的に敢えて購入するのであれば、より高性能なヴィッツGR。何故なら200万円という金額を払うのであれば、自分ならヴィッツGRスポーツとほぼ同じ価格帯の新型スイフトスポーツをおすすめしたいから。
この新型スイスポはエンジンは2300cc並のトルクを発生する1.4L直4ターボを搭載。また優秀な足回りと車体の軽量さ(ヴィッツGRなどよりも軽量)が組み合わされると、その爆発的な加速感の組み合わせはまさに反則。
当然ノーマルスイフトからスポット溶接が増し打ちされ剛性感がアップするなど、輸入車を含めても新型スイフトスポーツの走る曲がる止まるの運動性能の高さはトップクラスそれでいてスイスポの価格は100万円台後半。
だからヴィッツGRスポーツよりも、スズキ・スイフトスポーツはコスパという点でもよりも明確に優れてる。そのためヴィッツGRですら新型スイフトスポーツと比較すると、そこまで商品全体の魅力がどこまであるのかはやや微妙な気も。
良くも悪くも、めちゃくちゃ価格が割高になってるわけでもないため、ヴィッツGRもヴィッツGRもスポーツも「あくまでノーマルヴィッツの延長線上」に過ぎないとも解釈可能。
以上、トヨタ・ヴィッツGRとヴィッツGR sportの比較&試乗まとめでした。
ちなみに【比較】ヴィッツハイブリッド vs アクアや【比較】ヴィッツ vs スイフト、【評価】トヨタ新型ハリアーターボ 試乗感想、【人気】国産コンパクトカーおすすめランキングなども良かったらご覧ください。
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