ただムーヴキャンバスはコンテ後継車ではあるものの、実はヒンジドアではなくまさかのスライドドアを採用。ダイハツは既にウェイクも投入されており、絶賛スライド軽自動車が増殖中。いずれミラもスライドドアになりそう(笑)
ベストカー11月10日号 |
そこで今回はダイハツ新型ムーヴキャンバスとタントを徹底的に比較してみようと思います。購入時の参考にしてください。
【キャンバス】車体サイズの違いを比較してみる【タント】
まずは「車体サイズ」の比較。ムーヴキャンバスはタントをベース車両にしているものの、両者に大きな違いはあるのか?
ムーヴキャンバスは3395×1475×1655mm(全長×全幅×全高)。タントは3395×1475×1750mm(全長×全幅×全高)。どちらもホイールベースは同じく2455mm。それもそのはずキャンバスはタントのプラットフォームを流用しているから。
とはいえ全高はキャンバスとタントで95mm(9.5cm)も違っています。最近どんどん吸う人の肩身が狭くなっているらしいタバコ一個分以上。また最新スマホ一個分ぐらい。やはりタントの方がキャンバスより圧倒的に大きそうです。
ベストカー11月10日号 |
室内の広さやシートアレンジ性はタントがおすすめ
エクステリアをチェックしたので続いて「室内の広さ」を見ていきたいと思います。結論から書くと、タントの方が室内は広いです。同じプラットフォームを共有してるとはいえ、やはり車体が大きい分だけあります。
ムーヴキャンバスが2115×1345×1285mm(室内長×室内幅×室内高)に対して、タントは220×1350×1365mm(室内長×室内幅×室内高)。全長や全幅は同じにも関わらず、タントの方が広め。室内高に至ってはタントの方が80mmも高い。まさに圧勝。
続いてシートアレンジは同じプラットフォームを採用してるだけあって、ムーヴキャンバスもタントも同じ。リアシートスライド量はどちらも240mmで違いは生まれません。ちなみにエヌボックスのリアシートスライド量は190mm、スペーシアは170mm。
ただ室内が狭いなら狭いなりに、ムーヴキャンバスには実用的なメリットはありそうです。
例えば全高(天井)が低いからこそ、特に身体が小さい女性ドライバーはサンバイザーなどを肘を張らずに修整することが可能。またシートスライド量に関しても、室内長がタントの方が圧倒的に広いということはそれだけ後席に座ったお子さんとのやり取りは不便になりがち。
正直ムダに広いってのもそれはそれで考えものです。
内装の質感はムーヴキャンバスがおすすめ
室内の広さを比較したので、次は室内の質感の高さを見ていきたいと思います。
上がムーヴキャンバス、下がタント |
茶色以外にもピンク色の差し色が細かくあしらわれているなど、全体的にタントよりも目が引く印象。キャンバスの見た目はややオモチャ感もありますが、内装はしっかりオシャレに仕上がってます。後述する静粛性についても、目には見えない部分にもキャンバスは力を入れているっぽい。
収納性はムーヴキャンバスがややおすすめ?
収納性。結論から書くと、基本的にキャンバスもタントも収納性に違いはありません。
画像はムーヴキャンバスの収納一覧ですが、タントもほぼ似たような収納力です。一応細かく比較してみると運転席サイドトレイなどはタントにないっぽいですが、それでも大差が付くほどのレベルではないはず。
もしムーブキャンバスの注目点があるとしたら「置きラクボックス」という収納ボックス。画像のようにリアシート下にケースが隠されていて、普段は「机」のような感じで使える模様。中敷きを立ち上げると卵などが入った袋を入れておけば、急にブレーキを踏んでも倒れたり動いたりする心配がないとか。
ただダイハツ的には「足元に直接置きたくない」といったことを想定しているらしく、どうしても底に深さがあるようには見えないので用途はやや限られそう。車検証といった書類を隠しておく延長線上程度か。また大きい荷物を置いておく場合は座るスペースが犠牲になってしまうのもやや難。
まあ、それでもムーブキャンバスがタントよりも収納性が優れているのは確かか。
走行性や走りはムーヴキャンバスがおすすめだが…
見た目や内装を比較したので、次は走りや走行面での違いを比較してみたいと思います。
まずエンジンはどちらも同じ。最高出力が52PS/6800rpm、最大トルクが同6.1kgm/5200rpmを発生するものを搭載。だからキャンバスもタントも走りの面では大きな違いは出ないと思われます。
ただ前述のようにムーヴキャンバスはタントより全高が9cm以上も低い。それだけキャンバスが受ける空気抵抗(Cd値)が少ない。そしてプラットフォームこそタントですが、キャンバスはムーヴ譲りの「Dサスペンション」でアンダーボディを補強することで剛性感がタントより上。
またタントよりも車重が10kg近く軽量化されているなど、そういった諸々を考慮するとムーヴキャンバスの方が走りでは勝っていると言えるでしょう。ベストカーさんの記事では「高速道路の合流などでは多少物足りなさは感じるものの、タントよりも少し軽快に走れる」とムーヴキャンバスを評価されています。
でも少し注意したいのが「ムーヴキャンバスはNAエンジンのみ」ということ。要するにタントやノーマルムーヴには当たり前に設定されている「ターボエンジンがない」らしい。
前述のようにNAエンジン同士ではムーヴキャンバスの方が全体的に優れているわけですが、じゃあタントのターボと比較した場合はどうなるのか?それを考えたら言うまでもなく、タントターボの方が軽快に走るでしょう。
だから何を持って良し悪しを評価するのは難しいですが、選択肢を広げれば決してタントが走りで見劣りするわけではありません。スライドドアの軽自動車にこだわらないのであれば、「初めてのクルマのおすすめランキング」というのも参考にして下さい。
静粛性はムーヴキャンバスがおすすめだが…
走りを比較したので、続いては静粛性。こちらも結論から書くとムーヴキャンバスの方が静かな走りをしてくれます。
やはり先程書いたようにムーヴ譲りのDサスペンションで剛性感を高めてる。室内の広さもタントよりは狭いですが、その分だけドアに厚みがあったり吸音材などが多用されていている。
だからムーヴキャンバスはアクセルを踏み込んで走っても室内はとても静か。CVT特有の摩擦音がシュイーンと聞こえるだけ。ロードノイズも低減されていて、車内での会話はとてもクリアに聞こえるんだそう。
タントが圧倒的にうるさいってことはないと思いますが、あくまで比較するとムーヴキャンバスの方が静からしい。ちなみに【試乗】ダイハツ新型ムーヴキャンバス評価感想まとめもご参照。
先進安全装備の比較ではどっちも互角
続いて自動ブレーキといった「先進安全装備」の比較。
例えば、ムーブキャンバスには軽自動車初の「ステアリング連動ヘッドランプ」が設定されてました。いわゆる「AFS」と呼ばれるもので、カーブなどでハンドルを動かすとその方向に向けてヘッドランプの向きも動く。
国内ではスバル・フォレスターに初めて搭載されたらしいですが、ムーヴキャンバスはそれに続いての二例目。日本は市街地など曲がり角が多いので便利な機能。先代コンテは自動ブレーキすらなかったわけですから異次元的に進化したと言えます。
他にもスペーシアやデイズルークスなどには既に設定されている全方位ビューモニター(パノラマモニター)もダイハツ車では初めてムーブキャンバスに設定されているなど、全般的にタントよりも安全装備が充実。
2019年時点で、タントもムーヴキャンバスもステレオカメラタイプの「スマートアシスト3」を搭載済み。当初はタントの自動ブレーキの性能が勝っていたものの、現時点で総合的に比較するとどっちも互角と結論付けられます。
維持費や燃費面でほぼ違いはないものの…
続いて維持費と燃費面の違いを見ていきたいと思いますが、結論から書くと両者で大差はないと考えられます。
同じ軽自動車ですから税金面は同じ。またカタログ燃費もムーヴキャンバスは28.6km/L、タントは28.0km/Lとほぼ互角ですから、やはりエコカー減税の点においても差はありません。車検等の必要不可欠な維持費も大差は生まれないでしょう。
ただ走りの比較でも言及しましたが、ムーヴキャンバスの方が全高が低く車重もタントより10kg軽い。大人数で乗る機会もタントより少ないはずですので、実際の実燃費に関しては数字以上の違い程度は現れそうです。
価格やコスパの高さは実はタント?
ラストは価格差やコスパの高さを見ていきたいと思います。ムーヴキャンバスはノンターボ車のみですので、タントのターボ車は省いています。またスマアシ2(SAⅡ)無しのグレードもありますが、こちらも売れ筋ではないので省いてます。
まずムーヴキャンバスの価格。ノーマルグレードは価格順に、「L SAⅡ」が125万円。「X SAⅡ」が136万円。「Xリミテッド SAⅡ」が142万円。「G SAⅡ」が149万円。内装の質感を高めたカスタム系「メイクアップ」は+5・6万円割高。
そしてタントの価格。ノーマルグレードは価格順に、「L SAⅡ」が128万円。「X SAⅡ」が142万円。「Xホワイトアクセント SAⅡ」が148万円。「G SAⅡ」が153万円。
つまり両者の価格差は3~6万円程度の違いしかありません。ということはムーヴキャンバスとエヌボやスペーシアの価格差もほとんどない。ついでにノーマルムーヴの価格差を見ておくと、キャンバスの方が5万円ほど割高。
だからムーヴキャンバスがコスパが高いかは正直微妙。特にタントは唯一無二の「ピラーレス(ミラクルオープンドア)」があるので、そのアイテムを4万5万円程度の価格差で見捨てていいのか?特に女性視点で考えると悩ましいと思います。もしキャンバスを売っていくつもりなら、今後はタントの価格を露骨にアップさせないと「住み分け」という点でも差別化が難しいか。
【違いまとめ】ムーヴキャンバスとタントの比較総括
以上、ダイハツ新型ムーヴキャンバスとタントの比較記事でした。
結論をまとめると、基本的にはダイハツ・タントの方がおすすめです。
例えば、ムーヴキャンバスのデザインは完全に女性ウケに割り切ってる。逆に言うと、男性はムーヴキャンバスを買いにくい。一方、タントはカスタム系モデルを用意するなど幅広い年齢層にウケるデザイン。
それだけタントの方が購入しやすいデザイン。
またピラーレスという武器がムーヴキャンバスには存在しない。もし子育て世代がタントと比較した場合、敢えてムーヴキャンバスを選択する理由を見出すのは少し難しい気はします。
走りに関してもムーヴキャンバスは全高が低く、車両も軽量で有利な点は多いものの、タントと違ってターボエンジンが搭載されてない。だからあらゆる面において、意外と両者は競合しそうで競合してない。
まさにムーヴキャンバスは「良くも悪くも割り切った軽自動車」。だからダイハツも最初から女性以外のユーザーは無視しており、タントを比較対象にするのはあまり適切ではない。
実際、ダイハツのミラココアの売れ筋価格が140万円程度。ほぼムーヴキャンバスの値段と変わらない。そのためミラココアあたりを買うぐらいならムーヴキャンバスは実用性の高さを含めて断然アリでありましょう。
ちなみに【比較】ムーヴキャンバス vs ルーミー・タンクや【車種比較】タント vs N-BOXや【車種比較】タント vs スペーシア、【ダイハツ】おすすめ人気軽自動車らンキングまとめなども併せてご参照ください。
また新車情報サイト「カーギーク」の【最新】ダイハツ新型タント フルモデルチェンジ情報などもご覧ください。どうやら2019年中に次期タントが発売されるという噂。モデル末期のタントを買う前に一度チェックしてください。
【スポンサーリンク】