そこで今回はスズキ新型スイフトハイブリッドの試乗を簡単にまとめたいと思います。
ハイブリッド化でスイフトの走りは進化したのか?スイフトハイブリッドの実燃費も果たして向上しているのでしょうか?既にノーマルスイフトの試乗記事はレビューしてるので、主に「ハイブリッドの加速感」などに焦点を絞って評価してみました。
ちなみに後で おすすめコンパクトカー国産ランキングや【比較評価】スズキ・スイフトvs日産・ノート、【比較評価】スズキ・スイフトvsマツダ・デミオなども参考。
スイフトハイブリッドの仕組み
まず試乗評価に入る前に、まず「スイフトハイブリッドの仕組み」を簡単に説明したいと思います。あくまで「試乗」がメインの内容だと思うので、興味がない方はズバッと下へスクロール推奨。
スイフトハイブリッドの仕組みをざっくり言ってしまうと、既に発売されていたマイルドハイブリッドの「駆動用モーターを強化」しただけ。
具体的にはマイルドハイブリッド版のスイフトの駆動用モーターより10馬力ほど強化されており、駆動用モーターの出力は13.6PS/3.1kgm(10kW/30Nm)と初代フィットハイブリッド並にパワーアップ。
一方、スイフトハイブリッドもリチウムイオンバッテリーは12Vのまま。室内空間を犠牲にさせないための配慮か。
ただし、スイフトハイブリッドでは変速機がCVTから5速AGSに変更されてるのが大きな特徴。
この5速AGSはいわゆるセミオートマチック(AMT)や2ペダルMTなどと呼ばれるもの。理由はよく分かりませんが、CVTよりAMTの方が割安かつコンパクトなサイズだからだと思います。
スイフトハイブリッドは変速ショックが減少し、加速がスムーズ
まずは「5速AGS」の仕上がり具合の評価。どうしてもセミオートマチックは変速時に加速のタイムラグ(カックンカックン的なショック)が気になってしまうもの。
結論から書くと、変速の切り替えやシフトアップは俊敏に行われるため、スイフトハイブリッドの加速感は滑らかで吹け上がりもスムーズに仕上がってる。変速時に速度が減少した瞬間、駆動用モーターが駆動輪を直接回転させて速度の穴を埋めてくれる。
同じ仕組みを採用しているソリオハイブリッドから制御ソフトも改善されており、スイフトハイブリッドではさらなる最適化によって変速ショックが減少。
渡辺陽一郎や鈴木直也の試乗では「実際に乗ってみると、これが予想以上にイイ!」「熟成された足回りと軽いボディで安定性も優れ、5速AGSと相乗効果でスポーティー感覚が強い」といった好意的な感想や評価が目立ちました。
他の試乗記事でも「ハイブリッドとは思えないスポーティーな走りが楽しめる」とスイフトハイブリッドの走りが高評価。ベストカーの試乗記事では「CVTよりもダイレクト感があってワインディングなどもけっこう楽しい」と変速の自然さが評価。
○【評判】ベタ踏みしないなら加速感も十分楽しめる仕上がり
例えば高速道路など「アクセルをベタ踏みにしない高速クルーズはいい感じ」と小沢コージの試乗ではスイフトハイブリッドを評価。負荷がかからない場面やゆっくりした加速においては、しっかりハイブリッド感を感じさせる走りを提供してくれる。
そのためノーマルのスイフトの操舵性や足回りの良さにスムーズな加速感・ダイレクト感がしっかり加わったことで、スイフトハイブリッドは「クルマとしての付加価値」を高めてくれている模様。
ソリオハイブリッドの試乗ではネガティブな評価もチラホラありましたが、スイフトハイブリッドの試乗に関してはあまり見られず。ここ半年か一年でスズキ版ハイブリッドのネガな部分が、地味に解消されつつある模様。
今後もスイフトハイブリッドに限らず、徐々に走りが改善されていくでしょう。
スイフトハイブリッドのネガティブな試乗評価
ただし、スイフトハイブリッドのデメリットやネガティブな評価もあります。
結論から書いてしまうと、やはりハイブリッド感が薄いこと。
どうしても駆動用電気モーターで走行するイメージがあるハイブリッドですが、所詮スイフトハイブリッドに搭載されてるモーター出力は14馬力程度。とてもモーター単独で走行することは不可能。
またリチウムイオンバッテリーの容量が3Ah(マイルドハイブリッド版スイフト)から4.4Ahに強化されてる。トヨタ・アクアのバッテリー容量が6.5Ahのため、そこまでスイフトHVもバッテリー容量は小さくない。
でもISGが作る発電量が知れてるのか、割りとバッテリーがすぐ無くなってしまう。だからスイフトハイブリッドでベタ踏みで試乗したり、坂道や高速道路で試乗すると、すぐ変速ショックが蘇って滑らかな加速感が減退します。
○ハイブリッド車らしい電動走行ができない
要するに、せっかくのスイフトハイブリッドの良さが長持ちしないのは難。
例えばカートップのスイフトハイブリッドの試乗記事でも「高負荷領域となる登りのワインディングでは(中略)、やや加速時のギクシャクしたところが見えてくる」といった感想が書かれています。小沢コージの試乗でも「パワーの切れ目でどうしてもクルマがひと呼吸休んじゃう」とスイフトハイブリッドの走りに対して不満感がある様子。
この試乗記事では制御がどうこう指摘されてるものの、やはりスイフトハイブリッドのバッテリー容量がそもそも不足気味。もちろん価格との兼ね合いもあったんだと思いますが、いささかスイフトハイブリッドの中途半端感につながっている印象。
スイフトハイブリッドの実燃費はさほど伸びず
ラストはスイフトハイブリッドの実燃費。試乗記事では地味に忘れてはいけない部分。
カートップ10月号 交通タイムス社 |
一般道やワインディング、首都高速など様々な条件で試乗した上で走行距離は合計150km程度。実燃費の数値としては信頼に足りうると思われますので、正直、ノーマルスイフトの実燃費と大差なし。
だから個人的な感想を書くと、スイフトハイブリッドの燃費性能はぶっちゃけフツーです。
確かにスイフトハイブリッドのカタログ燃費は27.4km/Lから32.0km/Lまで大幅アップしてるものの、正直実燃費はほとんど現状維持に近そうです。【違い】スズキ・スイフト vs ホンダ・フィットの比較記事 も参照。
スイフトの車体がそもそもかなり軽量なので、+10馬力でもモーターのトルク感が加われば、もう少しスイフトハイブリッドの実燃費が伸びるかなーと期待してたんですが、まあ結果はこんなもんでした。
やはりモーターやバッテリーのスペックを考えると、言っても「マイルドハイブリッド」の領域を超えることはなかったと考えるのが妥当かなーと思わせる新型スイフトハイブリッドの実燃費でした。
スズキ・スイフトハイブリッドの試乗口コミ・評価・評判まとめ
以上、スズキ新型スイフトハイブリッドの試乗インプレッションまとめでした。
スイフトハイブリッドの加速感や走りという点では、概ね高評価が目立ちます。なめらかな加速感などノーマルスイフトよりは進化してると言えそう。確かに走りを重視するならスイフトハイブリッドの選択も有りと思わせる試乗でした。
ただし、ハイブリッド車の割に実燃費が特別向上するわけではないため、そもそもの「商品としての魅力」として評価するとスイフトハイブリッドは微妙かも。
やはりスイフトハイブリッド(HYBRID SL)の値段が割高。具体的には200万円近い価格帯になるため、他にも色んな選択肢(コンパクトカー)が視野に入ってくる。正直、ここまでお金を出すなら自分なら新型スイフトスポーツを購入したいです。
そのため敢えて「スイフトハイブリッドを選ぶ理由」を探すとそこまで強い動機も見当たらないのが個人的評価。スイフトは色んなグレードが増えすぎて、もう少し整理した方が良いかも。
ちなみに【評判】スズキ新型スイフトスポーツ 試乗評価まとめや【感想】新型ノーマルスイフトの試乗評価まとめ 、【評価】新型ソリオハイブリッド試乗まとめ【感想】なども併せてご参照ください。