2017年9月27日水曜日

【解説】トヨタ・GRブランドとは何か?モデルの価格や経緯や理由etc



随分前にトヨタ・G'sブランドとRSグレードが消滅するという記事も書きましたが、ようやくトヨタが新しいスポーツカーブランド「GRブランド」というものを発表しました。

トヨタ GRブランドとは何か?
(カートップ11月号 交通タイムス社)
既にクルマ好きの間では話題になってるようですが、そこで今回は簡単にトヨタ・GRブランドとは何なのか解説したいと思います。



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GRの意味はGAZOO Racingの略


まずGRとは一体何を意味をするのか。何の略なのか。結論から書くと、既にトヨタが展開してるカスタマイズモデルやスポーツカーシリーズの「GAZOO Racing(ガズーレーシング)」の頭文字を取ったものになります。

GAZOO(GAZOO.com)という自動車サイトは1990年代から展開している老舗中の老舗。そのブランドが「GAZOO Racing」としてニュルブルクリンク24時間レースなど様々なモータースポーツに参加し始めたのが2000年代半ば。GAZOO Racingの自動車のテレビCMも割りと見かけた人も多いのではないか。

ただGAZOO Racingはあくまでプロが走ってるだけ。

そこでトヨタは「GAZOO Racing Company」という新しい子会社を設立し、一般人向けに作ったブランドが今回の「GRブランド」になります。つまり今回のGRブランドは「その市販車版」という位置づけと考えると分かりやすい気がします。

今後はGAZOO Racing(モータースポーツ)で活かした見地や経験などを市販車(トヨタ車)のカスタマイズモデルにフィードバックしていく。トヨタの中の人曰く、「新技術を導入しても一回失敗すると封印してしまうが、このGRブランドでは継続し続ける」と意気込みを語っておられます。

だからこそ社内カンパニー制を採用し、それぞれの責任を持って行動をさせていく。そのためGRブランドの目標としては、メルセデスベンツのAMGといった「海外の自動車メーカーのスペシャルチューンド版」と肩を並べるぐらいまで成長させていく予定とのこと。


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GRブランドのブランド構成は4つ


ただ既に冒頭でも少し触れましたが、トヨタはG'sなどスポーツカーブランドを展開していました。じゃあGRブランドではどういう位置付けにスライドしたのか、トヨタが公表してるピラミッドの図を見て確認したいと思います。

(カートップ11月号 交通タイムス社)
GRブランドの構成を絵で確認すると、こんな感じになります。

既にトヨタが展開していた最上位シリーズである「GRMN」を頂点とし、GR→GR SPORT→GR PARTSが続きます。ざっくり言えば、GRMNモデルから順番に性能やチューンド度合いが低下し、価格も安くなっていく感じになります。

GRMNはGRブランドでも変わらずですが、GRがかつてのG'sブランドであり、GRスポーツがかつてのRSグレードと考えると分かりやすいと思います。GRパーツに関しては、それぞれの車種に用意されているセットオプションの類いをブランド化したような位置付けか。

もし他の自動車メーカーのカスタマイズブランドで例えるなら、トヨタ・GRスポーツがホンダだと無限トヨタ・GRは日産自動車だとさしずめNISMOモデルといった位置付けで考えるとより分かりやすい?

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GRMNとGRとGRスポーツの主な違い


ざっくり上位三種の違いをまとめると、こんな感じになります。

まずGRスポーツはボディやシャシーが専用チューニングされ、足回りが主に強化される。例えば車体などはスポット溶接などを増打ちされるなど剛性感は高められるが、基本的にエンジンや変速機はそのまま。そのため爆発的に加速感が増すことはありません。

続いてGRは同じようにボディやシャシーをチューンナップされますが、市販車を軸に考えているためガソリンエンジンはそのまま手が加えられることはありません。ただしCVTといった変速機もキビキビしたシフト制御に専用チューニングされるため、走りは向上。ここがGRスポーツとの大きな違いか。

GRMNはガソリンエンジンまでチューンナップを施した「究極のスポーツモデル」を目指す。GRMNまで来ると、ほぼほぼ新しい車種と表現してもいいのかも知れません。後述するヴィッツGRMNなどはイギリス製の1.8L直4スーパーチャージャー(210馬力を発生)が搭載される予定。

とりあえず、どのブランドも共通して言えるのは、スポーティーに仕上げたセッティングがされるという点。

例えば86にも採用される小径ステアリングやホールド性の高いスポーツシートなどを搭載し、スポット溶接を増やしたり車体フロアに補強ブレースを追加してボディ剛性を高める。大径アルミホイールがデザイン性を高め、ブレーキやハンドリング性能を強化して「意のままに操縦できる楽しさ」を実現させる模様。

GRブランドはあくまで「市販車のチューンドカー」ではあるため大きくデザインが変わるわけではないものの、フロントグリルをスクエア型に拡大させてエンジンの冷却機能を高めてるのがGRデザインの特徴。他にも大型のアンダースポイラーを採用することでダウンフォース性能を高めるなど、走りの性能面に特化させたデザインの変更が施されます。

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GRブランドのざっくりした価格一覧


ということでラスト。まだ全ての車種が展開されてるわけではないものの、GRブランドのざっくりした価格一覧をチェックしたいと思います。

まずはトヨタ・ヴォクシーGRスポーツ。こちらの価格は325万7280円。先代ヴォクシーG'sの価格が311万円程度だったことを考えると、ヴォクシーGRの価格は更に値上がりすると予想されます。その分だけチューンドっぷりは増すと思いますが。

トヨタ・ノアGRスポーツの価格は同様に325万7280円。GRスポーツは先代RSグレードに位置するため、やはり先代G'sから大幅な値上がりが予想されます。

続いてはトヨタ・ハリアーGRスポーツの価格は339万8760円トヨタ・ハリアーターボの試乗の評判は上々でしたが、価格的にはガソリン車の上級グレード並。金額は安いといえば安い。あくまでハリアーGRスポーツの搭載エンジンはNAエンジンになりそうですが、確かに「入門者レベル」の価格設定で手は出やすそう。

トヨタ・プリウスPHV GRスポーツの価格は371万1960円。プリウスPHVのミドルグレード「A」よりお安めと意外と良心的な価格かも。新型プリウスPHVの試乗評価はやはり上々でしたから期待は持てそう。プラグインハイブリッド車はこういう方向性の方が意外とウケそう。

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GRスポーツとGRの価格差は25~50万円程度か


トヨタ・マークX GRスポーツの価格は380万9160円。デザインがムダにカッコ良くなってるのは気の所為?先代のマークX G'sの価格は430万円近かったことを考えたら、GRスポーツ(旧RSグレード)とGR(旧G's)の価格差は約50万円程度と考察されます。

ちなみにトヨタ次期マークXはフルモデルチェンジすることなく消滅する予定。もしマークXの購入を考えてるのであれば、このGRスポーツも含めてお早めにゲットして下さい。

続いてはトヨタ・ヴィッツGRスポーツの価格は208万7640円。旧ヴィッツRSグレードの値段が196万円だったことを考えると10万円ほどの値上がり。

そしてトヨタ・ヴィッツGRの価格は230万3640円。ヴィッツGRスポーツから約25万円ほどの値上がり。

先程のトヨタ・マークXの件も考慮して考えると、GRとGRスポーツの価格差は25万円から50万円程度と予想されます。エントリーモデルであるGRスポーツも全体的に値上がりしてることを考えたら、GRブランドはそれなりに趣味としてお金は必要になってくるらしい。

ちなみにトヨタ次期ヴィッツのフルモデルチェンジ最新情報も気になる方は参照。2020年前後を目標にフルモデルチェンジを予定してるらしく、割りと近々。2018年4月頃にはヴィッツGRMNが初めてのGRMNブランドとして発売されるなど、次期型モデルも考慮されてGRブランドの中でいち早くヴィッツが投入されたと予想されます。

(プレイボーイ41号 集英社)
既にトヨタ・86GRも出版社などでは試乗会が行われており、2017年12月頃に発売を予定しています。LSDトルコンの採用やローダウンサスなどで走りの性能をアップさせてくる模様。金額は不明ですが400万円前後と予想してみる。ちなみにトヨタ新型86のフルモデルチェンジ情報も興味があれば御覧ください。

このトヨタ86GRと同じタイミングでプリウスα GRスポーツやアクアGRスポーツも展開される予定。2018年以降も続々と着々とトヨタはGRブランドを展開していく模様。冒頭でも触れたように子会社化するなど、豊田章男ちゃんの意気込みは本気のため息が長いブランドとして成長してくのでしょう。