でも一番特筆すべきは、スズキの自動ブレーキ・レーダーブレーキサポートが進化したこと!なんと軽自動車にもかかわらずカメラを二個搭載!!
しかも、高性能な日立製のカメラ。先日登場したスバル・エクシーガクロスオーバー7に搭載してるアイサイト2と同じだそう。そして名前も「デュアルカメラブレーキサポート」に改名。思わず期待ばかりが膨らむ。
そこで先日同じく進化したダイハツの自動ブレーキ・スマートアシスト2と比較してみたYO!!二大軽自動車メーカーの自動ブレーキはどっちが優秀なのか!?
自動ブレーキの種類と違い
まず両者の自動ブレーキの違い・方式を知っておきたいと思います。ダイハツ・スマートアシスト2は「赤外線レーザー+単眼カメラ(カメラ一個)」。スズキ・デュアルカメラブレーキサポートは「ステレオカメラ(カメラ二個)」。だからスズキは赤外線レーザーを捨てて、スバル・アイサイトの方式を取ってきたカタチ。ちなみに軽自動車では赤外線レーザーのみのタイプが一番多い。
一般的に自動ブレーキの性能差は、カメラ>ミリ波レーダー>赤外線レーザーの順番。もしカメラ=3点、ミリ波レーダー=2点、赤外線=1点と仮定すると、単純に数値化したら「スマアシ2は4点」で「デュアルカメラは6点」みたいな感じ。
自動ブレーキの特徴まとめも参照してもらうとして、この『2点差』が如実に現れてる結果となってます。
自動ブレーキが作動し始める速度
真っ先に比較したいのが、自動ブレーキとして性能差が最も現れる部分。果たして「時速何km/hで車が止まれるのか?」ということ。ダイハツのスマートアシスト2を見てみると「時速50km/h未満」で作動する。ただし「時速差が30km/h以内」という条件もあるため、実質的にはあまり進化していないという指摘も。
要するに「先行車との速度差」のことを意味してると思うんですが、逆に言うと、停止した障害物相手では結局時速30km/のままで変わらずということ。
しかも、先行車と完全に衝突回避できるのは「20km/h未満」まで減少。
自分はスマアシ2の記事で賞賛しましたが、確かに国沢光宏氏が指摘したようにスマアシ2の肩透かし感はやや否めない。だからスマートアシスト2が進化した点としては、「前方で走行する車両にも対応した」という表現にとどめるのが正確。
一方、スズキの自動ブレーキ・デュアルカメラブレーキサポートは時速50km/h未満。要はスマアシ2のように、前方車両との速度差は無関係で緊急ブレーキが作動。
後述しますが、スズキ・デュアルカメラブレーキサポートは歩行者にもバッチリ緊急ブレーキが作動する点も大きい。トヨタセーフティーセンスCでも時速差30km未満だったことを考えると、デュアルカメラブレーキサポートは正直軽自動車のレベルを超えてる。
ちなみにアイサイト2は自車の速度は関係なく、速度差が30km/h未満であれば自動ブレーキが発動する模様。最新ではなくても、このレベル。やはりくさってもアイサイト。
前方車両に対する警報
続いての比較は、走行中に前方車両に衝突しそうになると警告してくれる機能。要するに「どれだけ危険性を認識・把握できているか?」という部分。ここの性能差が緊急ブレーキの作動時速に直結してると言えそう。スマートアシスト2の作動条件を見てみると、「時速4~100km/h未満」、「前方車両との距離が80メートル以内」「前方車両との速度差が時速60km/h以内」と条件がやや多い。時速100km/hで走行してても、相手車両が時速20km/hだと反応しないということ。
ただスズキのデュアルカメラでは、「時速5~100km以内で走行中」という条件のみ。つまり、前方車両との速度差や距離は関係ない。デュアルカメラの方が軽自動車の自動ブレーキとしては一歩二歩先を進んでる。
歩行者への対応
スマートアシスト2では軽自動車初の機能として話題になりましたが、お次は「歩行者への対応」の比較。自分はスマアシ2の記事では賞賛した気がしますが、ただスマアシ2は警告どまりだった。でもスズキのデュアルカメラは歩行者に対しても自動ブレーキが作動。実際にブレーキがかかるのと、警報止まりという差はかなり大きい。カメラ一個と二個で対応できる差は、想像以上に大きかったと言えます。
停車位置を見てみると、ちゃんと距離があるので安心。ただし、自車の速度が50km/hではなく30km/hまで精度が落ちるようですが、スマートアシスト2が停止車両でも時速差30km/hということを考えると全然問題はない。
ブレーキアシスト機能
続いての比較は、ブレーキアシスト機能。前方車両に衝突事故を起こしそうになったと判断された場合、緊急ブレーキが作動して完全にストップすることはないけど、ブレーキそのものの制動力を高めてくれる機能。衝突事故予防は0か100かという極端な話ではないので、こういうアプローチもすごく重要。
スズキのデュアルカメラの作動条件は「時速10~100km以内」で走行中、一方緊急ブレーキと同様にスマートアシスト2では「時速4~50km/h未満」で走行中。つまりほぼ倍近い差。
軽自動車でも高速を走行する人も多いはずですから、デュアルカメラの方が安心できる。しかもデュアルカメラでは事前に自動的に弱いブレーキもかけてくれるので、控えめに見てもスマートアシスト2はやや分が悪いか。
先行車発進お知らせ機能
例えば、信号待ちをしてる時に先行車が発進したことに気付かないこともある。そこで先行車が発進したことをお知らせしてくれる機能がある。それが「先行車発進お知らせ機能」。スマートアシスト2の作動条件は「先行車との距離は10メートル以内、そして先行車が3メートル以上離れた」場合。一方、デュアルカメラの作動条件は「先行車が4メートル以上離れた」場合という条件のみ。条件としてはデュアルカメラがシンプルに作動。
ただどれだけ先行車と距離が離れていたかはあまり重要な部分とも思えないので、こちらはどちらも甲乙付けがたい。
車線逸脱防止支援システム
お次の比較は、車線からのはみ出しを防止する機能。デュアルカメラもスマアシ2も同じく搭載。作動条件はどちらも「時速60km/h以上」と変わらず。ここではどちらも性能差がないと言えます。ただし注意したいのはハンドルを自動的に制御することはなく、どちらも警報してくれるだけ。最終的には自分でハンドル操作はしなきゃいけない。
ちなみにアイサイト2の作動条件は時速40km/h以上からで、しかもハンドル制御してくれるのでやはり優秀。それでも軽自動車の自動ブレーキもここまで進化したかと感慨深いものもあります。
ふらつき警報機能
続いての比較は、ふらつき警報機能。何かしらの体調変化や初心者ドライバーさんなど、ふらふらと蛇行して運転しちゃうケース。こういう危ない運転を知らず知らずのうちにしてると、警報音が鳴ってドライバーに注意を促す機能。
スズキ・デュアルカメラだと「時速60~100km以内」で作動する。要するに高速道路上でのケースを想定してる機能。でもダイハツのスマートアシスト2にはない。トヨタセーフティーセンスCにもなかったはず。
つまりデュアルカメラブレーキサポートが軽自動車として初めて搭載した機能。前述の車線はみ出し防止機能も含めて、カメラを一個増やすだけでスマートアシスト2とここまで差が生まれるものかと驚き。
誤発進抑制システム
続いては「誤発進抑制システム」のち外。スズキの古いレーダーブレーキサポートなど、赤外線レーザーを起用してる軽自動車の自動ブレーキの大半で採用されている機能ですが、要するに「前方に障害物があるとアクセルを踏み込んでも進まない」というもの。
ダイハツ・スマートアシスト2の作動条件は「障害物との距離は4メートル以内+時速10km/h以内の徐行中」。スズキのデュアルカメラはレーダーブレーキサポートと同等レベルということなので、作動条件はスマアシ2と同じ。つまり性能差はない。
ただし、スマートアシスト2には後方へも対応してる。リヤバンパーあたりにソナー(赤外線レーザー?)を設置してて、バックでも急発進を予防してくれる。ここはスマートアシスト2に軍配が上がる。
でもカメラタイプではないので、後方にいる歩行者や人間までは認識できない。欲を言うとそこまで対応していると、実は知らずに自分の子供をひいちゃった的な悲しい事故も防げたはず。
追従クルーズコントロール機能
だから、スマートアシスト2の記事では「アイサイト3に追いついた!」とか書いたものの、どちらかと言えば、むしろスズキの・デュアルカメラブレーキサポートの性能の方がよりアイサイトには近い。冒頭でも書いたように、スズキ・デュアルカメラブレーキサポートはほぼほぼアイサイト2の機能をそっくり搭載してる。
ただしアイサイト2ではある機能でも、スズキのデュアルカメラにはない機能もある。それが追従クルーズコントロール機能。要するに、先行車と自動的に車間距離を保ってくれる機能。
詳細はACC(追従クルーズコントロール)とクルーズコントロールの違いを参照。
でも残念ながら、デュアルカメラブレーキサポートにACC(追従クルーズコントロール)はなし。もちろんスマアシ2にもないですが、このレベルまで軽自動車が到達すると「時代はいよいよ」という感じがします。
ちなみに「何故デュアルカメラがアイサイトより性能が落ちるのか?」も参照。
デュアルカメラとスマアシ2の価格の違いまとめ
ラストは価格の比較。スマートアシスト2の価格は6.5万円。デュアルカメラブレーキサポートは7万円。デュアルカメラの価格は5万円台半ばというウワサもありましたが、さすがにカメラ1個のスマアシ2を下回ることはなかった。
一概にどちらが上か判断するのは難しいですが、性能差を考えると5千円の価格差は少ないと言えます。またアイサイト2の価格が10万円前後であることを考えると、性能がやや落ちた分だけ安くなったと思えば、デュアルカメラブレーキサポートの価格はむしろ安い。
デュアルカメラの性能を考えると、正直スズキ車全車に標準搭載してもいいぐらい。ラインナップ全体が多少割高になったとしても、SUZUKIというメーカーのブランド力がアップしそう。軽自動車の価格もどんどんアップしてますから問題はないはず。
【比較】デュアルカメラ vs スマアシ2 総合評価
まとめると、スズキ・デュアルカメラブレーキサポートが軽自動車の自動ブレーキとしては優秀です。細かく比較したら尚更その良さに気付きましたが、おそらくドライバーの多くは「コレ!」を待っていた感じではないでしょうか。今後のJNCAPの安全評価でもスズキ車が上位を占めそうな気配。
スマートアシスト2発売の記事で「スズキ大丈夫か?」と書いたものの、むしろスズキはスマートアシスト2の詳細を知ってたとしか思えないほど、今回のマイナーチェンジでスペーシアが進化。
デュアルカメラの性能差をイヤミったらしいほど見せつけてくれており、満を持してスマートアシストを改良させたダイハツとしては辛いところ。
強いて言えば、スズキのデュアルカメラブレーキサポートのダメな部分を指摘するなら、名前。
どう略していいのか分からない。アイサイトと同じカメラやソフトウェアを使ってるなら、普通に「デュアルアイ(ブレーキ)」とかで良かった気がする。イメージ戦略という点でスズキはまだまだか。
ちなみに、ホンダ新型N-BOXや新型N-VANはホンダセンシングを搭載済み。
ミリ波レーダー+カメラで自動ブレーキとしては高性能。いずれNシリーズにも搭載してくると思うので、デュアルカメラのライバルが現れるとしたらきっとホンダセンシングになりそう…という筆者の予想は見事に当たりでした。
そのため今解説したのは2015年時点の情報。既にスズキの自動ブレーキもダイハツの自動ブレーキもそこから数年で進化を遂げております。
もし興味があったら最新自動車サイト・カーギークの【比較】スズキ・デュアルセンサーブレーキサポート vs ダイハツ・スマートアシスト3や【人気】スズキ軽自動車おすすめランキングなどもご参照ください。