このミライースのライバル車種は、言うまでもなくスズキ・アルト。1980年前後に発売されてから、両者はずっとライバル関係を維持。もはやアルトとミラが「軽自動車」という存在を確立したとも言えるか。
そこで今回はダイハツ新型ミライースとスズキ・アルトを徹底比較してみました。
果たしてどっちの軽自動車がお買い得なのか。もしミライースとアルトの購入に悩んでいる方は、この比較記事を参考に使ってください。
見た目やエクステリアの違いを比較
まずは「内外装」を比較したいと思います。アルトもミラも軽自動車の中でも一番小さく and 価格が安い部類に入るものの、あまりに安っぽい車は購入したくありません。
上:ミライース 下:アルト |
新型ミライースはトヨタ・アクアとパッソを取り込んだような無難デザイン。逆に、アルトのデザインは良くも悪くも個性的。アルトのプラスチック感を遊び心と捉えるか、質感の低さと捉えるかによって評価は変わりそう。
上:ミライース 下:アルト |
例えば、ヘッドライト。
新型ミライースはサイドまで流れているのに対して、アルトは前方のみ。昔ながらのクルマを思い出させます。他にも全高は数cmほどアルトが低いものの、ホイールベースはアルトが新型ミライースより長かったりします。
特に「デザインの質感」という点で決定的な違いが出る部分はドアノブ。
新型ミライースは上下から掴める形状なのに対して、アルトは昔ながらの下からのみ。ちなみに今回のモデルチェンジからではなく、先代ミライースの最初からドアノブはこの形状。
アルトは角ばった箱型感のデザインをアピールしたかったのかも知れませんが、それでも「さすがに今時これはないよなぁ…」という感想は否めません。逆にアルトはヘッドライト周辺をオプションで加飾できたりするものの、そういう試みとは相反するようなギャップ感があります。
内装の質感はミライースもアルトも変わらないが…
続いて「内装やインパネ周りの質感」を比較。見た目では新型ミライースに軍配を上げたわけですが、これは内装の比較でも同じなのか。
上:ミライース 下:アルトターボRS |
下はアルトターボRSの内装画像を使ってるので少し赤色など加飾部分も質感はアップしてますが、基本的な部分でノーマルアルトと大きな違いはありません。
一方、先代ミライースのステアリングは細くて非力感があったものの、今回のモデルチェンジでステアリング径を太くしたり、グリップ部分に革シボ素材を採用するなど安っぽい軽自動車感が薄まりました。
他にも自発光式デジタルメーターは先代ミライースから継承されてるものの、新型ミライースではデジタル部分に白色LEDに変更したり発光部分を増やすなど、内装の質感がアップした印象を与えます。
とはいえ、アルトもミライースも同じ割安な価格帯の軽自動車。どっちかがどっちかを質感で大きく凌駕することもないと思います。強いて言えば、ミライースの方が落ち着いてて、アルトの方がポップといった雰囲気。
収納性の高さはミライースもアルトも互角?
ただ内装の比較で強いて言えば、アルトとミライースの収納性に違いが見て取れます。
例えば、新型ミライースのダッシュボード周りを見ると、スマホをポンと置ける「アッパートレイ」が設置。一方、アルトの典型的なダッシュボードのタイプではやや難しい。
パッと目の前にスマホを置いておけるのは、今の時代重要か。ちなみにアルトラパンだとミライースのようなダッシュボードをしてるので可能。
またドリンクホルダーの位置も異なります。
上:ミライース 下:アルトターボRS |
ただ一方画像では見えませんが、アルトはブレーキレバーの前にドリンクホルダーが2個設置されてる。位置的に飲み物が取り出しづらくないか?と思ったものの、アルトのドリンクホルダーは500ml紙パックドリンクも置けるぐらいデカい。
他にも、ドアの内側パネルに収納スペース(ドアポケット)が確保されているものの、新型ミライースもアルトも小さめでドリンクホルダーはなし。
ただアルトはブレーキレバーの背後に後席同乗者向けのドリンクホルダーも2個設置される。逆に、新型ミライースは後席ドアポケットにドリンクホルダーが内蔵されてる。
だから「どっちも収納性や実用性に関しては甲乙付けがたい」という無難な結論に至ります。新型ミライースもアルトもそれぞれの良さがある。
室内の広さはミライースが有利?
続いては「室内空間の広さ」を比較したいと思います。
結論から書くと、室内空間は新型ミライースが広いと思います。
何故ならサイド比較画像を改めて確認するとアルトの全高が低い。特に運転席部分が顕著。それだけ新型ミライースは運転席の天井部分が高い。そのためドライバーの圧迫感という点ではアルトよりも少ないと考えられます。
またバックドアの形状もアルトは独特すぎる。デザインを重視しすぎた結果か、バックドアは「カックン」と角度が付いてる。やはりその分だけ荷室スペースでも新型ミライースに軍配が上がるはずです。
○荷室積載性ではアルトが有利?
ただ荷室開口部はアルトの方が広いので、積載性はミライースより有利か。 また後席シートの足元空間もミライースよりも、アルトの方が若干程度余裕があります。シートの厚みは薄いものの、座り心地もアルトの方がおすすめ。
アルト 荷室床下アンダーラゲッジ |
走りの比較ではどっち?
続いて走りの比較。新型ミライースもアルトも走りを重視するような軽自動車とは思えませんが、果たしてどっちが上回るのか。
結論から書くと、新型ミライースもアルトもそこまで走りでは大差ないと思います。
ミライースは先日のフルモデルチェンジでムーヴ譲りの「Dモノコック」を採用。サイドアウターパネルにハイテン材を採用して軽量化+剛性アップを図られた。でもアルトも2014年のモデルチェンジで、高剛性プラットフォーム「ハーテクト」を既に採用済み。
またアルトのエンジンスペックは最高出力が52PS/6500rpm、最大トルクが6.4kgm/4000rpm。一方、新型ミライースのエンジンスペックは最高出力が49PS/6800rpm、最大トルクが5.8kgm/5200rpm。
あくまで2WDグレード同士の比較に限ると、アルトの車重は610~650kg。一方、新型ミライースの車重は650~670kg。スペック上は今でもアルトが若干程度ではありますが、今でも新型ミライースを上回ってることが分かります。
とはいえプラットフォームは数字ではなかなか現れない部分。またダイハツさん曰く、今回のテコ入れで燃費よりも走りや乗り味の質感に割り振ったとのこと。例えば変速制御を見直すことでアクセル開度に伴う加速感を高めた点など、今回のテコ入れでアルトの走りに肉薄しているのではないか。
燃費性能はやはりアルトが有利か?
続いては燃費性能や維持費を比較したいと思います。新型ミライースは燃料タンクに樹脂パーツを採用するなどして、先代ミライースと比較して80kgほど軽量化されました。果たして、そのことが実燃費にどう影響するのか?
結論から書くと、燃費性能ではアルトも新型ミライースも大差ないと思います。
カタログ燃費でこそアルトが未だに上回っているものの、新型ミライースの空力性能を重視したデザインは大きい。逆にアルトのデザインは「面」が主体。アルトにはアイストを補助するエネチャージシステムがあったりするので、ストップアンドゴーが多いと有利か。
ちなみに航続距離に影響するのが燃料タンク容量。そこで具体的に比較するとスズキ・アルトの燃料タンクが27Lに対して、新型ミライースの燃料タンクは28L。そのため若干航続距離ではミライースが有利。
ただ新型ミライースは先代モデルと比較して2Lほど減少されてる。そのため新型ミライースはカタログ燃費が一切向上してなかった理由は、そもそも先代ミライースがかなり無理して燃費を引き上げてた可能性が高そうです。
自動ブレーキや安全性はどっちもおすすめ
続いては「自動ブレーキ」や安全性の比較。どっちもお手頃軽自動車とはいえ、やはり安全性は無視できません。
結論から書くと、新型ミライースもアルトも自動ブレーキの性能差は少ないです。
当初、新型ミライースが発売された当初はいわゆるステレオタイプ式の自動ブレーキ(スマートアシスト3)を採用してた。一方、アルトの自動ブレーキは古臭い赤外線センサータイプのままだった。
そのため自動ブレーキの性能差は歴然とあったものの、2018年12月にスズキ・アルトは単眼カメラ+赤外線センサーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」に刷新。【解説】自動ブレーキの特徴まとめも参照。
筆者の予想よりもスズキ・アルトの自動ブレーキが改善される時間まで長かったのは残念でしたが、現時点ではアルトもミライースも「動く歩行者」を認識して停止することも可能。
速度作動域も大差はなく、自動的にロービーム・ハイビームを切り替える機能が搭載。アルトもミライースに追随して、フロントやリアのバンパーにコーナーセンサーを標準装備化するなど、どっちを選んでも問題ないと思います。
当初の比較記事では「まさに最新 vs 最古」と表現していたものの、2019年時点ではアルトもミライースもどっちも予防安全性能は高い軽自動車だと思います。
強いて言えば、やはりどっちも軽自動車だけあって「車線はみ出し防止機能」は警告止まり。さすがにハンドル操作までは自動で行ってくれず、またホンダ新型N-BOXのようにACC機能がないことか。
【アルト】社用車・営業車としてはどっちがおすすめ?【ミライース】
ラストは社用車・営業車としてはどっちがおすすめか比較したいと思います。個人需要だけではなく、法人需要(フリート需要)が意外と市場全体で多くを占めているのが現状。そこで新型ミライースとアルトはどちらがお買い得なのか。
結論から書くと、営業車としては新型ミライースがおすすめか。
やはりミライースの見た目が落ち着いてて無難。良い意味で悪目立ちしないデザインは、法人向けのクルマとしてはアルトより扱いやすいはず。どっちも燃費性能に大きな違いはないと思いますが、燃料タンク容量が1Lではあるもののアルトより大きい新型ミライースはそれだけ給油頻度を抑えて移動できる。
安全性能の高さも労災の関係を考えると、社員さんが交通事故を起こさない方が良い。特にコーナーセンサーなどがあれば、かすり傷程度の自損事故も減らせるはず。社員の安全や負担減を考えたら、営業車としては使いやすいか。たまにニュースでも仕事中の大きな交通事故も報道されます。
またドリンクホルダーに関しても、エアコンの吹き出し口前の方が飲みやすさの点で便利かなと思います。さすがに外回り中の営業マンがちょっとした休憩に500mlパックのドリンクを大量にガブガブと飲まないでしょうから(笑)
【違い】アルト vs 新型ミライースの比較・評価・口コミまとめ
以上、スズキ・アルトとダイハツ新型ミライースの比較でした。
結論をまとめると、ぶっちゃけ新型ミライースはコストパフォーマンが高いというのが正直な感想。
廉価グレードこそ消滅して、全体的に割高になった新型ミライースですが、それでも安全性能の高さだけを考えたらコスパは抜群。アルトに用意されていない装備が盛り沢山で、価格帯がほぼ同じ。特に法人向けの需要に関しては訴求力が高いか。
ただあくまでノーマルグレード同士の比較の話。
一方、アルトはここ数年は「アルトワークス」や「アルトラパン」といった派生車種を頑張っている印象。新型ミライースよりかは、見た目やスポーティーさで勝負してる。だから本家のアルトはややおざなり気味になっているものの、逆に敢えて個人レベルで購入したいと思う軽自動車はアルト(派生の軽自動車)の方かも知れません。
そこで個人的な意見を最後に言わせてもらうと、ノーマルアルトのデザインは法人需要を意識して、もっと大人しく設計すべき。ノーマルワゴンRと共通させてもいいか。逆に可愛い系はアルトラパンに任せて、スポーティーなアルトワークスは現行アルトを更に角ばったデザインに仕上げて販売し続ければ減価償却もしやすいか。
ちなみに自動車比較サイト「カーギーク」の【比較】ミラトコット vs アルトラパンや【人気】ダイハツ軽自動車おすすめランキング、【人気】スズキ軽自動車おすすめランキング、【比較】歴代アルトとミラの新車販売台数の違いなども併せてご覧ください。