ただ、このストロングハイブリッドシステムはスズキが独自で開発したもの。スバルやマツダなどと違って、天下のトヨタから拝借しているわけではありません。だからトヨタやホンダ並のクオリティーに仕上がっているハイブリッドなのか不安を感じるのも実際。
ベストカー1月10日号 |
ソリオストロングハイブリッドの仕組みとは?
まずソリオストロングハイブリッドの簡単な仕組みを説明したいと思います。興味が無い方はスルー推奨。ベストカー1月10日号 |
ストロングハイブリッドと名乗るだけあって、モーターがパワフルなものに換装されてる。具体的には最高出力が3.1PSから13.6PS(10kw)に増加。およそ10馬力ほどパワーアップ。一昔前のホンダのハイブリッドエンジン並と考えると良いと思います。
ちなみにソリオハイブリッドにCVTが採用されてない理由は、シンプルでスペースを確保できなかったからとのこと。意外と変速機のサイズは大きくて、特にソリオのようなコンパクトカークラスでスペースを売りにしているような車種には厳しい。
逆に言えば、ソリオの売りである室内空間の広さは犠牲になってない証拠。アクアといったハイブリッド車には「室内の狭さ」といったイメージがありますが、そういうデメリットはほとんどない。ただ100Vのリチウムイオンバッテリーを搭載するために、残念ながら荷室の床下収納はなくなった模様。
ソリオハイブリッドのカタログ燃費は全て32.0km/L。約4km/L超ほど燃費が向上してる計算。ソリオハイブリッドの実燃費については、試乗インプレッション記事後半に後述してるので後でチェックしてみてください。
ちなみにそれ以外のスペックは変わらず。ソリオフルハイブリッドのスペックは標準のマイルドハイブリッドと同様に、3710×1625×1745mm(全長×全幅×全高)と同じ。エンジンスペックも最高出力が91PS/6000rpm、最大トルクが12.0kgm/4400rpmと変わらずです。
ソリオ フルハイブリッドの価格は割高か?
続いてソリオストロングハイブリッドの価格やグレード構成を確認したいと思います。既に知ってる方はやはりスルー推奨。まずエントリーモデルにあたる「ソリオ ハイブリッドSX」の価格が191万円。続いて「ハイブリッドSZ」の価格が206万円。「バンディット ハイブリッドSV」の価格が204万円。
そして以前から発売されていた、マイルドハイブリッドの価格をエントリーモデル順から見ていくと、「ソリオハイブリッドMX」の価格が169万円。「ハイブリッドMZ」の価格が184万円。「バンディット ハイブリッドMV」の価格が182万円。
ちなみにそれぞれの頭文字の「S」は「ストロング」のS、「M」は「マイルド」のMを意味してると考えられます。だから既に発売されていたソリオをそのままストロングハイブリッド化したってだけで、基本的な装備面では変化してないはず。
つまりストロングハイブリッド化でソリオの価格は+約22万円高になった計算。これを高いと取るか安いと受け取るか難しいところですが、ホンダ・フィットの場合はハイブリッド化で生まれる価格差は37万円とソリオより10万円以上もある。
具体的にはフォットのガソリンモデル「13G Fパッケージ」の価格が142万円に対して、ハイブリッドモデルの「ハイブリッド Fパッケージ」が179万円。またトヨタ・アクアの売れ筋グレード「S」の価格が188万円ってことも考えたら、ソリオフルハイブリッドの価格は十分魅力的と言える価格と言えます。
そこで更にソリオのライバル車種の価格を具体的に比較したいと思います。
まず現在一番売れてるプチバンのシエンタハイブリッドの価格は「ハイブリッドG」が232万円、「ハイブリッドX」が222万円。それに追随してる人気プチバンのフリードハイブリッドの価格は「ハイブリッドG」が249万円になります。
もちろんこれらの車種は三列シートありの6人乗りプチバンですから一概に比較できませんが、ソリオの最大のライバルになるであろうトヨタ・ルーミーとタンクはハイブリッドではないものの、ターボ車の価格が最高で196万円。
詳細は「ソリオ vs タンク・ルーミー」の比較記事を参考にして頂くとして、ソリオフルハイブリッドのエントリーモデルの方がタンク・ルーミーのターボモデルより価格がお安いという結果に。
もちろんソリオフルハイブリッドの価格は200万円近いので安いとは言いませんが、それでもソリオのライバル車種と比較すると決してお高いとは言えず、個人的には思ったより「安い」と感じたのが本音です。
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標準ソリオよりも一クラス上の高級感ある走り!!
ということで、ここからがようやく本題。ソリオフルハイブリッドの試乗インプレッションについて簡単に情報をまとめてみました。ベストカー1月10日号 |
変速機がCVTではなくセミオートマだからこそ、ソリオフルハイブリッドの走りはダイレクト感が楽しめる。ホンダハイブリッドの変速機DCTを想起すると分かりやすいか。ダイレクトのある切れ目のない加速感はまさにハイブリッド車のそれと言えそう。
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ザ・マイカー2月号 |
AMTとの組み合わせで走りが改善されるというのは、意外かつ面白い発見ではなかろうか。渡辺陽一郎という方は「変速時にモーターの駆動力を高めて半クラッチ制御を巧みに行う」ので「シングルクラッチトランスミッションとは思えないほど変速は滑らか」と、やはりソリオハイブリッドのシフトフィーリングはなめらかだと評価。
トータルするとソリオハイブリッドの走りは予想以上にスムーズでエレガントと賞賛されてます。特に高速道路での走行は微調整がしやすいとのこと。
「さすがに全開加速では駆動モーターのトルク(3.1kgm)が不足してトルクの谷が埋めきれなくなっちゃう」そうですが、それでも日常の速度域においては走りという点でソリオハイブリッドに不満感を抱くことは少なそうです。
ただだからこそ、ベストカーの試乗記事では「パドルシフトの採用」といった提案もされていました。「ソリオのおすすめ人気グレード」でバンディットが一番人気と書きましたが、フルハイブリッド版ソリオでもバンディット人気は固そう。
だからこそ、やはり200万円以上もする価格を考えたら見た目や内装面でのテコ入れももう少し必要になってくると思います。
エコモードでは実燃費に貢献
またソリオハイブリッドの試乗記事ではエコモードに設定しておくと、積極的にモーター走行してくれるので実燃費に貢献と指摘。またエコモードだとアクセルから足を離すとMGUのモーターでクリープ走行してくれるので、さながらAT感覚というのも嬉しいか。他にもアイドリングストップ機能が停止しないのも嬉しい。
ただモーターの出力は知れてるので、エコモードに設定しててもエンジンは頻繁に再始動を繰り返す。それでも前述のようにISGは変わらず搭載されてるので、頻繁なエンジン始動における不快な音や振動は少なく不快感を感じさせない。
トヨタほどの技術力はないにしても、スズキが持ちうる技術の中で最大限加速性能と燃費性能の向上に努めたのがソリオフルハイブリッドと言えそうです。
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ソリオストロングハイブリッドの実燃費は意外にも…?
そこで実際に気になるのは実燃費。やはりソリオが本格ハイブリッド車を謳う以上、無視できないのが実際の燃費性能。結論から書くと、ソリオストロングハイブリッドの実燃費は市街地燃費で21km/L、高速燃費は23km/L程度とのこと。カタログ燃費が32km/Lであり、本格ハイブリッド車として売り出すにはやや物足りない実燃費か。
ただ走行距離が30kmと短く、一般道では信号も少なかったらしい。ハイブリッド車の醍醐味といえば言うまでもなくストップアンドゴーの連続で回生エネルギーを充電して、その発電力で行うモーター走行。
だからアクアといった一般的なハイブリッド車では、高速燃費より市街地での実燃費が上回ることが多い。でもベストカーさんが計測したソリオフルハイブリッドの実燃費では市街地の方が見劣りしてます。
このことから推察すると走行距離をもっと伸ばせばソリオフルハイブリッドの実燃費は25km/L前後までは迫れそうな気がします。前述のエコモードも信号が多い市街地でこそ活きるはずですから、少なくともソリオハイブリッドはアクアやノートe-POWERの実燃費に負けないぐらい優秀なんじゃないかなーと思います。
ソリオHVの試乗感想&実燃費まとめ
一言でソリオHVの試乗記事をまとめると、実燃費や走りでもかなり質感や性能面でアップしてる。思ったより商品として仕上がってるソリオフルハイブリッドの評価を見てると、思ったより「買い!」と言えそうです。もちろんソリオだけに留まるはずがないので、 新型スイフトやイグニスや軽自動車のワゴンRなどへの応用・転用も自ずと期待値が高まるってもんです。特にダウンサイジングターボとの組み合わせも含めて、かなり商品力を高めることはできるんじゃなかろうか。
ちなみに【比較】ソリオ vs ルーミー・タンクや【比較】ソリオ vs イグニスなどの記事もソリオに興味があればご参照。