やはり三菱自動車の販売台数は激減(対前年比45%減)だったんですが、実はそれ以上に日産自動車がひどい有様でした。
軽自動車の販売台数が10分の1
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それもそのはず。日産自動車からしてみたら、そもそも販売できるタマが存在しない。
日産の軽自動車は全て三菱自動車の工場で生産してもらっていたワケですが、そこでの生産が現在は全てストップしている状態。工場の再開はメドが立っていない以上、5月6月以降の日産自動車の軽自動車の販売はほぼゼロ。前述のNV100クリッパーやNT100クリッパーはスズキからOEM供給を受けているので問題ありませんが、所詮は商用車なので限界があります。
新聞やテレビでは三菱自動車ばかりに何故か焦点が当たってますが、今回の件で一番販売台数を減らしたのはやはり日産自動車でした。
日産は三菱に賠償請求を行うか?
そこで新聞やテレビでは機会損失がどうだらという理由で「日産自動車が三菱自動車に損害賠償を請求する」という煽り立てて騒いでますが、これも疑わしいです。何故なら、日産は自分たちの工場で軽自動車を生産開発してないから。
じゃあ自分のところで製造すればいいやん?って話ですが、軽自動車を作る工場のラインがないので無理。海外生産を進めているカルロス・ゴーン社長が許さないでしょう。そんなことできてたら最初から軽自動車の製造してるはず。最近でこそ北米向けローグ(エクストレイル)の生産を日本国内へ戻したそうですが、あくまで北米市場における日本車やSUVがゴリゴリに安定して人気だからこそ。
じゃあスズキに製造を再び依頼すればいいかといえば、当然袂を分かったからこそ日産は三菱自動車と連携した。お互いにシコリはあるはず。商用車こそスズキからまだOEM供給をされてますが、さすがに今からワゴンRをデイズとして売り出すワケにもいかない。
やはり日産も何やかんやで軽乗用車だけは商品開発に加わりたい。実際、今回の騒動が発覚したのも、NMKVで次期モコを共同開発を行っている最中。そこら辺の思惑の違いもあって可能性としては少ない気はします。
ライバルのホンダに依頼するとも考えにくい。日産と同じくOEM供給を受けているマツダやスバルも論外。残りはダイハツ自動車ってことになりますが、こちらも最近トヨタ自動車の完全子会社になったばかり。可能性としては高くないでしょう。
そもそもNMKVを存続させつつ、同時に他社に軽自動車の製造を依頼すること自体がありえません。日産の軽自動車は月販1万台以上という数字は魅力的ですが、逆にそこがネック。他社が代わりに製造するとしても5~10年単位の規模の長期的な契約でも結ばない限り、新たな製造ラインを増やすのはあまりにリスキーすぎて対応できません。
日産が三菱に資金援助する?
以上を見ていくと、新聞やテレビが伝える「日産自動車は被害者」という単純な構図が存在すれば三菱自動車に損害賠償を行う可能性はなくはないですが、言うまでもなくそんな短絡的な話ではありません。三菱自動車が潰れれば日産自動車は軽自動車の販売を維持できなくなる事実は重く、わざわざ損害賠償を請求して自分で自分の首をしめるようなもの。ましてやこのゼロからの出発を考えると、日産単独で這い上がるのは相当しんどいでしょう。日産はどこかと手を組まざるを得ないのが現実。
もちろん日産自動車が軽自動車市場から完全に撤退するなら別ですが、むしろ可能性としては日産が三菱自動車に資金援助する方が高いでしょう。結果的にそのことで三菱から飛び火的にブランドイメージ悪化する可能性もありますが、少なくとも日産は三菱自動車にそこまで強くは出てこない気がします。
だから三菱グループの「金曜会」がどうたらこうたらと言われてますが、三菱自動車に一番存続して欲しいのは日産自動車だったりします。
三菱自動車はガソリン代の差額を請求される?
あと面白い予想が産経新聞(笑)に載ってましたが、今回の件で三菱自動車はユーザーから「ガソリン代の差額」も請求されるのではないかということ。もはや妄想の類いと言ってもいいと思いますが、もし訴訟を起こされるとしたらきっとそれは三菱自動車だけに留まってはいない。何故なら、カタログ燃費と実燃費に乖離があるのは他の自動車メーカーも同じだから。特にハイブリッド車を多く発売しているトヨタやホンダあたりは危なそう。
そもそも実燃費と乖離があるのは周知の事実ですし、カタログ燃費を公式に決めて認可してるのは日本国や政府。もし訴訟が実現化されるとしたら、それこそ巨大な国家賠償訴訟に発展しかねません。
でも裁判所は政府のポチですから、きっと「JC08モードに合理性はある」という判決が99%下されるはず。じゃあ、その合理性がある燃費モードで計測した自動車メーカーに責任が及ぶのか?という話。
この可能性も低そうな気はします。