2014年9月15日月曜日

マツダ ディーゼルハイブリッド 燃費40キロ超えは本当に可能?3つの懸念



マツダは、軽油を燃料とするディーゼルエンジンと電動モーターを組み合わせたディーゼルハイブリッド車(HV)を2016年度にも日本と欧州で発売する方針を固めた。(中略)ディーゼルHVの軽油1リットルあたりの走行距離は、40キロ・メートル程度を目指している。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140812-OYT1T50096.html
ディーゼルエンジンを搭載した新型デミオの発売を発表したマツダですが、再来年の2016年にはディーゼル+ハイブリッドを組み合わせたクルマを発売するらしい。

ただでさえ燃費が良いディーゼルエンジン。そこにハイブリッドモーターも加わると、そりゃリッター40kmもさもありなん。かなり期待してるドライバーさんも多いかも。やや古いニュースですが、新型デミオの燃費も分かったので「これ本当なの?」とちょっと考えたいと思う。

ディーゼルハイブリッド第一の懸念

やはりクルマの燃費を考えると、トヨタ・アクアを筆頭にコンパクトカーに近い方が良いはず。だからマツダの場合、一応新型デミオがベースになるんじゃないかと思う。

じゃあ、その新型デミオ(以下ディーゼルエンジンのグレードであること前提)のカタログ燃費を見ると、燃料タンク容量が35Lのモデルでリッター30km。燃料タンク容量が44Lまで増やすと、リッター26.4kmに落ちる。ただいわゆる減速エネルギー回生システム「i-ELOOP( アイ ・イーループ)」を搭載したモデルでは+0.2kmのリッター26.6kmまで上がる。

だから燃費面を重視するなら、おそらくきっと燃料タンクは35L未満にはなりそう。トヨタ・アクアの燃費はリッター37km近くありますが、燃料タンク容量は36Lとやや小ぶり。ホンダ・フィットに至っては、タンク容量を32Lまで減らして、ようやくリッター36.4kmを達成してるぐらい。

じゃあ、そこにハイブリッドモーターをポンと新たに積みます。そうしたらあとリッター10kmも上がります…なんてことがあり得るのかどうか?

だから、マツダが開発するディーゼルハイブリッドの第一の懸念は、「燃料タンク容量」。新型デミオの場合、タンク容量を35Lまで減らして、ようやくリッター30kmを達成。このタンクが更に減らされる可能性は、むしろ高い。

そうするといくらカタログ燃費が良くても、実用性という点でなかなか選びにくくなりそう。買い物にしか使わないとかなら、別ですが。

ディーゼルハイブリッド第二第三の懸念

ちなみにリッター30kmのグレードは、MT。実はATより燃費が優れてる。この理由はMTではエンジンのパワーを落として、車重も軽くしてるから。clicccarさんが数日前の記事で分析されてました。

だから第二の懸念は、「トルクが細くなる」という可能性。トルクの太さがディーゼル車の魅力のはずなので、そこを落としてまで燃費を達成するというのは本末転倒。新型デミオの燃費を見ると、やっぱりエンジンのパワーを弱めないとリッター40kmは達成できなさそう。この可能性も高いと思う。

また車重を軽くすると言っても、既に新型デミオの車重は6MTのグレード(リッター30km)で1080kgで、6ATのグレード(リッター26.4km)で1130kg。コンパクトカーとしては、そこそこ重い。

例えば、フィットハイブリッドの車重が1080kg~1160kgだから、新型デミオはハイブリッド車と既にほぼ同レベル。当然、そこへハイブリッドモーターを積むと、更に車重が重くなる。じゃあ、どうするの?っていう話。

第三の懸念は、デミオより更に小振りなコンパクトカーを作る?という可能性。先代モデルより、新型デミオでは車体がやや大きくなりましたが(全長が約17.5cm、全高が2.5cmアップ)、これを再び小さくすることはまずないと思う。ということは、既存の車種ではなかなか達成できなさそう。

しかも、再来年2016年の話。もっと言えば今年も既に9月半ばですから、ほぼ1年ちょっと後の話。果たして、ディーゼルハイブリッドで燃費リッター40キロが可能かどうか。ちょっと期待半分不安半分。

ただリッター35キロ未満でも無理せず達成できてたら、ディーゼルハイブリッドの発売そのものはかなりインパクトあると思いますが(笑)