2017年6月28日水曜日

【将来性】自動車関連企業の意外なシェア率とランキング【就職・求人】



つい先日、エアバッグのリコール問題を尾を引き、自動車関連企業として有名な「タカタ」が1兆円の負債を抱えて倒産しました。今後は中国の自動車関連企業などの助けを軸に再建を図っていく模様。

さすがに色んな意味で規模が大きいので、個人的にドヤ顔気味に「倒産はしない」と語ったような記憶がありますが恥ずかしい限り。

ただタカタの負債額を考えると、それだけ自動車関連部品やカーパーツに関する自動車関連企業(いわゆるサプライヤー)の市場規模がいかに大きいかが分かります。

最近、自動車業界関係図一覧もまとめたので、そこで今回はエアバッグなど自動車部品に関する国内外のシェア率を確認したいと思います。果たして、どういった自動車関連企業が有望なのか。将来性があるのか。例えば就職や求人・転職時の参考にしてください。







ターボチャージャーで有名な自動車関連企業


まず最初の自動車関連部品はターボチャージャー(タービン)。タービンは羽や翼が付いた部品。そこに超高温の排気ガスを当てて回す。いわゆる自動車が走るために必要な回転運動を生むためのカーパーツ。

ベストカー7月26日号 講談社
このターボチャージャーの日本シェアを見ると、一位がIHI二位が三菱重工業三位がアメリカのハネウェル四位が日立AMS。ほとんど日本企業がターボチャージャーに関する部品を上位で占めています。ハネウェルに関しても埼玉県などに製造工場を抱えてるので、日本国内に出回ってるターボチャージャーは実質的にほぼ国産か。

ただ日本ではあまりターボチャージャーがそこまで主流ではないこともあって、世界シェアではハネウェルなどにやや後塵を拝します。それでも世界シェアでも三菱重工業が三位、IHIが四位と両者で約3割強のシェアを誇るので、自動車関連企業としては優秀。

かつてターボチャージャーとスーパーチャージャーの違いを記事化しましたが、スーパーチャージャーの部品についてはアメリカのイートン社がほとんどの生産製造を独占しているらしい。


運転席や後席シートで有名な自動車関連企業


続いては自動車の乗り心地を左右するシート。一般的な自動車は4人乗り5人乗りですが、シートの数え方としては全部で1台分(1セット)という数え方。クルマ一台に納品したからと言って4個分という数え方にはならないということ。

ベストカー7月26日号 講談社
シートのシェア率は一位がトヨタ紡織二位がタチエス三位が日本発条、四位が富士シート、五位がデルタ工業。

トヨタ紡織はトヨタ車の70%のシートを製造してるそうですから、納得の一位。トヨタ車はダイハツ製のクルマも多いこともあって100%にはならないのか。二位のタチエスはトヨタ、日産、ホンダと幅広い自動車メーカーに納品しているそう。三位の日本発条はバネを得意としたメーカーらしく、そこら辺の技術は乗り心地の良さに活かされてるんだと推察されます。

一方、世界シェアで見るとシートの生産シェア率ナンバーワンは、アメリカのジョンソンコントロールズ。なんと全世界の3割を占めます。元々はビル管理を得意としたメーカーだったらしいんですが、1985年の買収をキッカケに自動車関連企業として成長。他にもジョンソンコントロールズはバッテリーの製造に関しても世界トップクラスの模様。

ただトヨタ紡織も健闘。世界シェアでも二位。国内と同様にトヨタ車のシートの生産をほとんど担ってるため、こういった結果に繋がってるんだと思います。とはいえ全体で俯瞰すると、日本の自動車関連企業はシートの生産に関しては後塵を拝している印象です。




エアバッグで有名な自動車関連企業


続いての自動車関連部品はエアバッグのシェア率。順番はズレましたが、今回倒産したタカタはどれぐらいのシェアを誇っていたのか。ちなみにエアバッグと言っても色んな部品があるものの、例えばエアバッグモジュール(インフレーター+エアバッグ)という一般的に想像される部品を見たいと思います。

ベストカー7月26日号
エアバッグモジュールのシェア率一位は豊田合成二位がスウェーデンのオートリヴ三位がタカタ。四位が芦森工業。五位が日本ブラスト。この5社だけで日本車のエアバッグ全てを占める勢いというのが笑ってしまいます。

トヨタ関連の自動車部品メーカーはやはり強し。一方、例のタカタは世間で騒がれているほどのシェア率は普通の印象を受けます。

ただ世界のシェア率を見渡すと、タカタはグーンと伸びて二位まで上がります。日本では圧倒的に一位だった豊田合成は四位まで低下。それだけタカタは幅広い自動車メーカーにエアバッグを納品していたことが伺え、今回の1兆円という巨額の負債もうなずけます。

エアバッグ関連だとスウェーデンのオートリヴ社が世界的には圧倒。ただスバル・アイサイトに搭載するステレオカメラがオートリヴ社に変更されるのではないかというウワサもあるぐらい、オートリヴはエアバッグ以外でも有名な自動車関連企業。

それだけオートリヴは幅広く優秀な自動車部品を製造しており、自動車部品メーカーとしては最強クラスと言えそう。だからタカタのように一部品だけ特化していると、いざ事故やリコール問題が発生すると一転してピンチになるという示唆が読み取れます。


自動車用ガラスで有名な自動車関連企業


続いての自動車部品はガラス。フロントガラスなどクルマには様々なガラスが使われてる。

ベストカー7月26日号
自動車用ガラスの国内シェア一位は旭硝子二位が日本板硝子三位がセントラル硝子。世界シェアでも旭硝子は首位。二位も日本板硝子系。新車向けだけではなく、補修用ガラスでも食い込めてるのが大きそう。

ただ三位に中国の自動車部品メーカーが食い込むなど今回タカタの再建に関しても、やはり中国の自動車部品メーカーの台頭は著しい模様。「安かろう悪かろう」というイメージを持ち続けるのも、いかがなものなのか。





カーエアコンで有名な自動車関連企業


続いての自動車部品はカーエアコン。これからの暑くなる季節は必須。赤ちゃんや小さいお子さんを乗せているママさんパパさんは積極的にカーエアコンを使いましょう。

ベストカー7月26日号
続いてカーエアコンの日本国内シェア率一位はデンソー二位はカルソニックカンセイ三位はフランスのヴァレオ。四位は日本クライメイトシステムズ。五位は三菱重工業。

デンソーはちょいちょいテレビCMでも見かけますが、やっぱりすごい自動車部品メーカー。他にもデンソーはラジエーターやプラグといった自動車部品でも世界的にシェア率が高い。三菱重工業もシレッと上位に食い込んでいます。

カーエアコンの世界シェア率を見渡しても、デンソーが下位を突き放しての一位。もしかすると日本という気候風土がカーエアコンを作る素地になっているのか。ここまでのシェアを誇るとまず安泰かなーと思います。是非大学生の皆さんはデンソーに就職しましょう(笑)


パワステで有名な自動車関連企業


続いての自動車部品はパワステ。パワステの正式名称がパワーステアリングということからも何となく分かりますが、ハンドル操作を手助けしてくれる自動車部品。今では当たり前になりすぎたので気付きませんが、このパワステがないとハンドルがめっちゃ重くなる。昔のドライバーさんはきっと大変だったはず。

ベストカー7月26日号
このパワステの国内シェア率一位はジェイテクト二位が日本精工三位が日立AMS。四位がKYV。五位がショーワ。ジェイテクトが圧倒的なシェアを誇る模様。ショウワは大株主がホンダだけあって、主にホンダ車に供給してるのか。

世界シェアでも日本のジェイテクトがトップ。よく耳にするボッシュといったドイツの自動車関連企業はやや後塵を拝する模様。そこに日立AMSや日本精工が追随してることを考えると、日本国内ではマスコミなどに目立って評価されていないもののしっかり実績は残している模様。

日本精工はベアリングの生産でも世界トップクラスですから、割りと幅広い自動車部品を製造している模様。こういった自動車関連企業はなかなか倒産しないと思います。





タイヤで有名な自動車関連企業


続いての自動車部品はタイヤ。ホイール部分ではなくゴムの部分。

ベストカー7月26日号
タイヤの国内シェア一位はブリヂストン二位が住友ゴム三位が横浜ゴム。四位が東洋ゴム。五位がフランスのミシュラン。五位が韓国のハンコック。タイヤの世界シェアでも一位がブリヂストン。最初は海外企業かと勘違いする車名ですが、ブリジストンの由来は「石橋(創業者・石橋正二郎)」を英語にして逆さに読んだだけという。

他にもミシュランやアメリカのグッドイヤー、ドイツのコンチネンタルなど日本企業だけではなく、一度は誰もが耳にしたことがある自動車関連企業ばかり。タイヤは新興国を筆頭にどんな企業でも参入しやすいイメージ(安かろう悪かろうがまかり通るイメージ)がありますが、だからこそ実際には「ブランド力」が幅を利かせてる模様。

こういった自動車部品メーカーに就職すると安心といえば安心。


ヘッドライトで有名な自動車関連企業


続いての自動車部品はヘッドライト。こういったカーパーツにもそれぞれのサプライヤーが存在します。

ベストカー7月26日号
ヘッドライトの国内シェア一位は小糸製作所二位がスタンレー電気三位が市光工業。小糸製作所に至っては世界シェアでも圧倒的にナンバーワン。

いかにも海外企業っぽい車名ですが、スタンレー電気は1920年に創業するなどかなり歴史が古い自動車関連企業らしい。スーパーGTにも毎年参加するなど、クルマ好きには割りと知れた自動車部品メーカーかも知れません。

市光工業は更に創業は古く、まさかの1903年に創業。電動格納ドアミラーを世界初で開発するなど技術力は定評があったそうですが、最近フランスのヴァレオの参加に入ったらしい。そのこともあって世界シェアでも市光工業は堂々の二位。

日本ではイカリングヘッドライトといった自動車文化が定着してるので、国内の自動車部品メーカーは強いのかも知れません。考えてみると青色ダイオードを開発したのも日本人でした。液晶テレビなども含めて、光る系の開発力には優れているのか。

ただ製造そのものは中国あたりか。





変速機・トランスミッションで有名な自動車関連企業


ラストの自動車部品は変速機。いわゆるATやMT、CVTと呼ばれる種類があるトランスミッション。エンジンで作った動力をタイヤに適切な伝える装置。このトランスミッションがないとクルマは遅くも走れないし、速くも走れない。

ベストカー7月26日号 講談社
まずはCVTの国内シェア率を確認すると一位がジヤトコ二位がトヨタ三位がホンダ。四位がスバル。五位がダイハツ。世界シェアでも一位がジヤトコ、二位がトヨタなど日本企業が大半を占めている印象。

やはりCVTは日本国内でしかほとんど使われていないことが影響。各自動車メーカーは自社で開発してるっぽい。だからCVTの品質や特徴にもバラツキがあって、割りと評判は良いのはスバルのCVT。

ちなみにジヤトコは日産自動車系の自動車部品メーカー。日産自動車以外にもスズキのほぼ全てのCVTがこのジヤトコ製。だからもっと性能が良いCVTを作って欲しいもんです。

続いてはDCTやAMTと呼ばれる、いわゆるセミオートマチックトランスミッションのシェア率。DCTなどの国内シェア一位はホンダ。二位はスズキ…。ただやはり元々の搭載台数が少ないこともあって、販売個数はかなり少なめ。

ただ世界的には需要があるため、DCT(AMT)の世界シェア一位はホンダ二位はフォルクスワーゲングループ三位が日産。四位がダイムラー。もっとドイツ勢が強い分野かと思いきや、意外と日本メーカーが強い模様。

ベストカー7月26日号 講談社
続いてMTの国内シェア率一位はアイシンAI二位がマツダ三位が三菱自動車。四位が明石機械工業。五位が富士機械。MTは絶滅しつつあるとは言われながらも、販売個数だけ見るとDCTなどよりは売れてるように見えますが、基本的には輸出用らしい。

ただ日本国内より世界でMTが親しまれていることもあって、世界シェア一位はドイツ勢がやはり強いものの、それでもアイシンAIが健闘の三位。

続いてATの国内シェア率一位は、こちらもアイシンAW。アイシンはトヨタ参加の自動車部品メーカーだけあってやはり強い。それにも関わらず、トヨタ自動車はトヨタ自動車でATを内製している不思議。きっと国内向けと国外向けに生産を振り分けてるのか。

AT国内シェア二位はまさかのマツダ。これも同様に輸出用ATも含まれているから。そりゃあ全世界のマツダ車のATを製造するとシェア率はこんだけ高くなるのか。地味にジヤトコも食い込んでます。

ただ日本国内ではATは死に体状態ということもあってか、世界シェアで見るとドイツ勢のATが他の自動車部品メーカーを圧倒。とはいえ、アイシンAWやジヤトコも健闘しているレベルに入るか。

トランスミッションに関しては走りや燃費に直接影響することもあってか、自動車メーカーが関連企業に外注はせず、基本的に内製してることが多いらしい。今後電気自動車が台頭すると考えられることも手伝って、影響は少ないか。





自動車関連部品メーカーまとめ


以上、自動車関連部品メーカーのシェア率に関するまとめでした。

別にホルホルつもりはありませんが、日本の自動車関連企業は世界的には割りと強いことが分かりました。日本とEUがあらゆる関税を無くそうとしていますが、自動車関連企業にとってはかなり有利に働くと言えそうです。

つまり今後日系の自動車部品メーカーは激しい競争に晒されながらも、ますます売上を伸ばしていくものと考えられます。日本国内でこそ新車販売はパッとしませんが、それでも関連部品メーカーは就職先としては割りと安泰。特にトヨタ系列は最強。日本の自動車市場がダメでも海外に市場を開拓できる強みも大きい気がします。

他にも車載用バッテリーだとパナソニック、車載用カメラだと日立オートモティブシステムズといった電気機器メーカーも自動車関連市場に参入してますが(いわゆるBtoB)、それだけこのジャンルやカテゴリに旨味があるという証拠ではなかろうか。

今後は更に自動運転やコネクテッドカーといったシステムやソフトウェアに関する自動車関連アイテムも求められてくるので、その分野で日本企業が強いかはさておき、少なくとも自動車関連市場はどんとん拡大していくことは想像にかたくなく就職先としては安泰でしょう。

ちなみに自動車最新情報サイト「カーギーク」では【最新版】自動車業界関係図まとめなども執筆済みなので是非ご参照ください。きっと自動車業界を深く知る上で更に参考になるはず。