http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/ |
ちきりんが書いた記事をざっくり要約すると、「日本の自動車メーカーはもっと海外で生産しろ」という内容。ただちきりんの記事は間違いだらけのデータと的外れの考察ばかり。もっと言えば、姑息なミスリード満載。
新型車のフルモデルチェンジ記事を書こうと思ってたんですが、とりあえずテキトーにツッコミを入れておきます。一時間程度で書き上げた記事なので細かいツッコミは不要。
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生産台数-販売台数=輸出台数?
ちきりんが用いたデータが各国の生産台数と販売台数。引用元は「グローバルノート」という国際的な統計データを扱った専門サイト。数字そのものに反論の余地はありません。そこでちきりんは「自動車生産台数-販売台数=生産超過台数」という方程式を持ち出す。この2015年のデータだけ信用すると、確かに日本は生産超過が多い国にあたります。日本以下の国を見ても、どうやら「生産超過台数≒自動車輸出台数」とちきりんは言いたげです。
このちきりんの論法を用いると、まさかの日本とアメリカは正反対の結果。どうやら日本は自動車の生産超過が多い国で、アメリカは生産超過台数が少ない国という位置付けになるようです。
そして、ちきりんはこの独自理論を持って、「トランプは正しい!日本の自動車メーカーはアメリカで自動車を生産しろ!」という結論を導き出している様子。
ただ残念ながら、生産超過台数と自動車輸出台数とは全く別物。何故ならエントリー中にchikirinも認めてますが、販売台数の中には「輸入車」が含まれているから。chikirinが用いているデータは「データとして不完全」。
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自動車輸出台数の世界一は実はフランス
つまり、ちきりんのエントリー記事で一番必要なデータは「海外への自動車輸出台数」そのもの。それ以外のデータは不要と言ってもいい。じゃあ自動車輸出台数のデータは存在しないのか?もちろんそんなことありません。アホでも簡単にググれます。http://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/car_ex.html |
確かに日本だけ見ると、生産超過台数と海外輸出台数は概ね合ってますが、それでも先程の生産超過台数が全く無関係という結論が導き出せます。
ちなみに何故、フランスの自動車輸出台数が一番なのか?フランスの自動車生産台数は200万台前後。販売台数は230万台前後。アメリカと同様に、むしろ生産超過台数がマイナスの国。数が全く合いません。
これは至ってシンプル。フランス経由で自動車を輸出してるメーカーが多いから。後述する自動車輸出金額ランキングだと、フランスが世界9位にランキングが落ちることからも明らかでしょう。あくまでフランスは中継地。
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アメリカが海外へ自動車輸出してないわけがないwww
…と少し話は脱線しましたが、ちきりんの考察記事で面白…根本的に間違ってるのは、「生産超過台数がマイナスだと自動車を輸入してる」と推測してること。アメリカがあれだけ生産台数と販売台数に開きがあるんだから、さも「アメリカ産自動車を海外へ輸出していないに違いない(キリッ」という口ぶりであります。でも改めて先程のデータを貼っておくと、そんなことはありません。むしろアメリカは世界5位。年間220万台以上も世界各国へ自動車を輸出してる。アメリカのトランプ大統領が批判しているメキシコ合衆国はどこ?状態。
フツーに考えれば分かりますが、アメリカ合衆国が海外に向けて自動車を輸出してないわけがないwww
例えば、アメリカのフォード社が量産してるフィエスタやフォーカスなどのコンパクトカーは、主にヨーロッパを中心に大人気。それこそトヨタのカローラを凌ぐほど売れてる。しっかりアメリカも日本の自動車メーカーと同様に海外へ輸出して儲けてる。
実際、ちきりんが引用した「グローバルノート」を参考にすると、例えば自動車輸出額ランキングが好例。自動車の販売台数や輸出台数ではなく、自動車を輸出した販売金額のデータ。単位はmillion USドル。
この2015年のランキングを見ると、1位がドイツ(235,815)。先程の輸出台数で2位だったので納得。続いて、我が日本は2位(132,449)。そして3位は、今回ちきりんが被害者と主張してるアメリカ(123,433)。
つまり実はトランプ大統領が批判する日本と同じぐらい、アメリカもしっかり海外へ自動車を輸出して稼いでる。日系自動車メーカーが加害者なら、アメリカの自動車メーカーも立派な加害者ということに。
ちなみにトランプ大統領が同じく批判するメキシコは4位で89,966。やっぱりアメリカの方が儲けてるというオチ。
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そもそも海外輸出台数=アメリカへの輸出台数ではない
そもそも自動車輸出台数にしても、ちきりんが言う超過台数にしても、結局そこからは「日本がアメリカへ輸出した自動車の台数」を読み取ることはできない。あくまで全世界に輸出した自動車の総台数にすぎないから。だから、ちきりんが長々と講釈をたれてるものの日本とアメリカの関係性を語るだけであれば、結局「日本がアメリカに自動車を何台輸出したか?何台生産してるか?」というデータを貼るだけでいい。まさにちきりんのエントリー記事の致命的なミスであり、勘違い。
一応上記のデータから考察しておくと、ドイツと比較すると明らかですが、日本は輸出台数の割に自動車輸出額はかなり少なかった。そこからは日本はアメリカへ輸出してるのではなく、主に単価が安い新興国へ輸出してることが推測できます。これぐらいちきりんには頑張ってほしかったです。
ちなみに2014年に日本の自動車メーカー8社が、海外で生産した自動車台数は1700万台以上になります。つまりアメリカ合衆国が一年間で販売する全台数分を、日本メーカーだけで生産してる計算です(笑)
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ちきりん(chikirin)の間違い考察まとめ
他にも間違いやツッコミどころはありますが、ちきりん(chikirin)をあまりイジメても仕方ないので、簡単に総括に入ります。確かに愛国主義的なマスコミの論調にはヘドが出るばかりですが、少なくともアメリカが被害者というchikirinの主張は大間違い。日本の自動車メーカーや日本市場が特殊であることは否定しませんが、それ以上にアメリカの市場も特殊。
ちきりんの根本的な問題は、自動車産業に対する知識が欠落してること。いくらデータを考察・読み取る力があったとしても、その背景にある知識が圧倒的に不足。「日本の自動車産業が直視すべき現実」という大げさな記事の割に、あまりに中身が空疎。正直、ちきりんは自動車メーカーの名前すらまともに答えられないのでは?
例えば、ちきりんの記事では日本車がアメリカの消費者に選ばれてるりゆうを「燃費と品質」を挙げてる。ただアメリカで一番売れてるトヨタの車はカムリとRAV4。しかもアメリカの市場全体で売れてるのはピックアップトラック。燃費が受けてるとは程遠い状況。
他にもトヨタとフォルクスワーゲンを比較して「日本とドイツガー」とちきりんは語ってるんですが、フォルクスワーゲングループにはシュコダ(チェコ)やランボルギーニ(イタリア)などドイツ以外の自動車メーカーも数多く傘下に収めてる。
ましてや日本の日産自動車もフランス・ルノーと合弁会社を作ってることは、あまりにも有名。アメリカのGMにしてもドイツのオペルを傘下に収めてるなど、これだけグローバル化が進んでる中、自動車メーカー同士で国家間を比較するのは単細胞。
まさに今回のちきりんの記事は、自動車産業に詳しくないシロートが大雑把なデータを、テキトーに考察して、無理くりに書いた記事以上でも以下でもない。こういうアホな考察がもてはやされてる時点で、日本人がいかに自動車に興味がないかが分かる事例でした。
そんじゃーね(chikirin風)。