2016年12月23日金曜日

【2017】 ノートe-POWER vs アクア vs フィットハイブリッド 徹底比較まとめ【2018】



2016年11月に日産ノートがついにハイブリッド化。日産的には「ハイブリッド」という使い古された表現を使いたくないらしく、その名も「ノートe-POWER(イーパワー)」。ノートeパワーの実燃費など試乗記事も参照。

ノートe-POWER アクア フィットハイブリッド 比較画像
ニューモデル速報 2017年コンパクトカーのすべて
そこでようやく主要自動車メーカーのコンパクトハイブリッドが出揃ったということで、今回は三栄書房さんの「ニューモデル速報2017年コンパクトカーのすべて」などを参考に、日産ノート e-POWERとトヨタ・アクア、ホンダ・フィットハイブリッドの違いを比較したいと思います。果たしてどのハイブリッドカーがおすすめなんでしょうか?


実燃費で比較するとアクアとフィットがやや有利


やはりハイブリッド車で一番注目すべきは「実燃費」。カタログ燃費的にはノートもアクアもフィットも大差がありませんが、果たして実際に走行した場合はどうなるのか。比較記事としてはまさに本丸・本題から確認したいと思います。

ニューモデル速報 2017年コンパクトカーのすべて
結論から見てみると、三栄書房さんが計測した実燃費ではフィットハイブリッドが一番優秀だった模様。

市街地と高速道路を含めた具体的な平均燃費では、フィットハイブリッドが27.8km/Lアクアが25.0km/Lノートe-POWERが20.6km/L。最新のノートe-POWERがやや実燃費では見劣りするカタチ。

更に詳しく見てみると、高速燃費だとフィットハイブリッドが25.4km/L、アクアが25.9km/L、ノートe-POWERが22.8km/Lとやはりノートが二車から引き離される結果に。

ただ全車エコモードに設定した場合の実燃費では逆転。アクアの市街地燃費が28.2km/Lとやはり優秀だったものの、ノートeパワーの実燃費は27.3km/Lまで上昇。逆に実燃費トップだったフィットハイブリッドは23.4km/Lと二車から引き離されるカタチ。

冒頭のノートe-POWERの試乗記事でも触れましたが、あくまでノートe-POWERは市街地に特化させたハイブリッド車。走りや加速性能については後述しますが、ノートe-POWERは高速走行を不得意としてることが実燃費の比較でも特徴として現れた模様。



ノートe-POWERは寒さに弱いらしい?

ノートe-POWER アクア フィットハイブリッド 実燃費 比較
driver2月号
そこで更にdriverさんの比較記事を見てみると、コチラでもやはりアクアよりノートe-POWERの実燃費が見劣りするカタチ。総合燃費だとアクアが23.5km/Lに対して、ノートe-POWERが21.0km/L

ただどっちもエコモードとはいえ、二名乗車。しかも外気温がかなり冷えて、オートエアコンが作動してる状態。それでこの実燃費はアクアもノートも優秀と言っていいんじゃないだろうか。

そもそも先程の比較よりも実燃費の差が縮まってる。先程の比較記事では走行距離が100kmちょっと。driverさんの比較では走行距離が450km。距離を伸ばせば伸ばすほど、ノートe-POWERの肩が温ま…もといタイヤが温まるのか実燃費を伸ばす模様。

ここでdriverさんが面白い考察をされていました。寒空の下の試乗だったらしいんですが、ノートe-POWERの車内は必要以上にエアコンで暖められたそう。ご存知のように、エアコンの暖気はエンジンの排熱を利用してる。だから普通のガソリン車なら暖房をつけても実燃費には影響しないと言われてます。

ただノートe-POWERの場合はモーター走行オンリー。つまりノートe-POWERは真冬だと暖房機能が効き過ぎる結果、当然ムダにガソリンが消費されてる可能性が高い。実際、後日ノートe-POWERを試乗した際には、市街地燃費の実燃費はアクアに迫る23km/L前後だったそう。

ノートe-POWERの燃費性能はアクアに匹敵すると考えられるものの、まだまだセッティング不足の感もありそうです。




動力・加速性能や静粛性能はノートe-POWERが優勢


続いて動力性能や加速性能。ハイブリッド車がいくら実燃費が良くても、走りがダメダメだったら意味がありません。そこで結論から書くと、一番加速感や動力性能が高いのはノートe-POWER

やはりノートe-POWERは全てモーターで走行するため、そのまま大トルクの加速感を体感できる。アクセルを踏んだら即加速してくれる。ガソリンエンジン特有(変速機特有?)の「ちょっとした間」や一呼吸が存在しない。プロから初心者まできっと満足させてくれる走り。

ノートe-POWERは高速道路上でも「巡航状態からアクセルを踏み込んだ際の中間加速」もアクアやフィットハイブリッドよりキレがある。ワンペダルで速度の加減速もできるため、長距離ドライブの疲労度や安全面でもアクアやフィットハイブリッドを上回りそう。

一方、アクアやフィットハイブリッドは速度が増せば、どうしてもガソリンエンジン中心の走行になってしまうなど、モーターとエンジンが同時に並行して走行するハイブリッドシステムのデメリットが顕著に現れてしまう。

特にアクアは高速道路上ではほとんどガソリン車に近い。だからといってアクアに搭載されてるエンジンは非力なので、どうしても加速しようとするとエンジン音が大きくなる。実燃費に優れてるものの、「走り」の点で評価したらアクアは一番パッとしないと言えます。

また遮音性に関してもノートe-POWERが一歩リード。意外と高速走行でもエンジン音はアクアほど耳障りではないらしい。マイナーチェンジにおける遮音材の追加などで、コンパクトハイブリッドカーの中ではトップクラスと表現して良さそう。

アクアやフィットハイブリッドも決して静粛性能がないとまでは言いませんが、どこかしたらで「ガソリン車らしいノイズ(エンジン回転数)」が現れるのは否めません。安定した実燃費の良さと天秤にかけて、どちらを選択するのかが消費者は迫られそう。

ちなみにノートe-POWERはバッテリー容量が知れてるので、基本的にガソリンエンジンは常に始動してるような状態であることを追記しておきます。



乗降性の比較はアクアがダメそう


続いて乗降性や運転のしやすさを比較したいと思います。長々とした文章が続いた上、ノートe-POWERに関してはエンジン以外についての変更点が乏しいので、ここからは画像を増やしてサクッといきます。

ノートe-POWER アクア フィットハイブリッド サイド画像 比較
ニューモデル速報 2017年コンパクトカーのすべて
サイドから確認してみると、後部ドアが比較的直角に開くノートやフィットがアクアよりも乗り降りしやすそう。ノートやフィットの開口部面積も広く、お尻に当たる部分が絶妙にえぐれてる。またステップ高はフィットは380mm、ノートは400mmと低床設計なのも乗降性に寄与。

逆にアクアは燃費性能や空力性能を意識したデザインのため全高や室内高が低い。そのため後部座席も助手席側も潜るように乗り込む必要があり、特に身長が高い人にとって乗り降りするのはやや苦痛。

しかもアクアのシート高は逆に低く後部ドアも直角に開かないなど、ノートeパワーやフィットハイブリッドと比較するとお世辞にも乗降性が良いとは言えないでしょう。ということで結論は、乗降性でおすすめするならフィットかノート



運転のしやすさや視界性の比較


続いて運転のしやすさや視界性の比較。

小回り性能を示す最小回転半径はノートe-POWERが5.2メートル、アクアが4.8メートル、フィットハイブリッドが4.9メートル。どうしても全長が4メートルを超えるノートがやはり小回り性能という点ではやや不利。

だから数字だけ比較するとアクアがノートとフィットより小回り性能に優れてるってことなんですが、気になるのは視界性。結論から書くと、そのアクアが視界性という点で一番ダメダメ

アクアはセンターメーターを採用するなど開放的な視界を確保してるものの、Aピラーが太いなど死角が多い。フィットやノートは三角窓を設けるなどして、比較的死角は少なめで視界性は良好。

特にアクアがダメなのが後方視界。空力性能を重視したデザインのためバックウィンドウが小さい。プリウスの後方視界性ほどヒドくないものの、ノートe-POWERとフィットハイブリッドはDピラーにも窓が設置されてるなど明らかにアクアは見劣りします。

ということで最小回転半径の小ささなど、総合的に評価すると運転のしやすさではフィットハイブリッドが一番おすすめと結論付けたいと思います。




室内空間の広さはノートとフィットが互角

続いて室内空間の広さの比較したいと思います。

ノートイーパワー フィットハイブリッド 室内の広さ 比較
driver2月号
まずノートe-POWERとフィットハイブリッドの室内を比較すると、どっちもほぼ互角。
後席アームレストも巨大で、厚めのシートなど乗り心地は良さそう。

ただノートの助手席下にリチウムイオンバッテリーを搭載してるので、助手席下に足先が入らない。ニークリアランスはどっちも余裕があるものの、足が長い高身長の人が乗るとノートの方がやや窮屈さを感じるかも。

ということで居住性も含めて比較すると、室内の広さではフィットハイブリッドがノートe-POWERをやや上回るか。

ノートイーパワー アクア 室内の広さ 比較
ニューモデル速報 2017年コンパクトカーのすべて
続いてノートe-POWERとアクアの室内の比較。明らかに後席はアクアの方が狭い。下手したら、アクアはイグニスといったAセグメントカー並。女性の足の伸ばし具合からも明らか。

ちなみにフィットも同様の写真が三省堂の本に掲載されてるものの、やたらと露出度が高かったので割愛。気になる方は購入して確認してください。

運転席も頭上空間もノートe-POWERがアクアを圧倒。またノートにはシートリフターが付いてるので、どのような身長の方が乗り込んでも大丈夫でしょう。居住性の良さも含めて考えると、やはりアクアよりノートe-POWERの方が室内空間は広いと評価できます。

ということで室内の広さをおすすめ順で並べると「フィットハイブリッド>>ノートe-POWER>>アクア」になります。




内装の質感の比較


続いて内装やインパネ周りの質感の比較。インパネ周りの比較ってことで、先程の視界性の良さも合わせて確認してください。

ノートeパワー アクア フィットハイブリッド 内装インパネ 比較
上:ノート、中:アクア、下:フィットハイブリッド
どれもコンパクトカーとしては比較的質感が高めと言えるのではないか。ノートのステアリングはスポーティー。アクアは「トヨタ=無難に安っぽい」といったイメージもありますが、割りと細部まで手が込んでて好印象。シフトレバーもそれぞれ特徴的。

強いて言えば、フィットハイブリッドが「良くも悪くもコンパクトカーらしい質感」って感じです。

それぞれの売れ筋モデルの価格帯で比較すると、アクアは190万円前後でフィットハイブリッドは180万円前後。フィットの割安価格が内装の質感で現れているのか。フィットの内装の質感は悪く言えば、価格相応。良く言えば、コスパが高い。


荷室の使い勝手、ラゲッジスペースの広さ比較


ラストは荷室ラゲッジ空間の広さや使い勝手の比較。

ノートeパワー アクア フィットハイブリッド 荷室比較
ニューモデル速報 2017年コンパクトカーのすべて
上からノートeパワー、アクア、フィットハイブリッドの荷室になります。

画像を見るとノートが一番広そうなんですが、実は数字だけ比較するとアクアの荷室が割りと広め。通常時では荷室の奥行きが710mmもあってトップクラス。荷室高もノートより10cmも高い。荷室の奥行きもフィットハイブリッドより9cmも長い。

ただ多分誤植だと思うので基本的にフルの5名乗車時でも大型スーツケース2個積載可能な、ノートe-POWERに荷室ラゲッジスペースの分野では軍配が上がりそう。

とはいえ三省堂さんの比較記事では「パッケージングの妙」とアクアを評価されてましたが、確かに意外とアクアは後席空間を犠牲になってなかったのは驚き。逆にフィットハイブリッドの荷室ラゲッジは意外とビミョー。

だからアクアはあくまで「1人乗り2人乗り」に割り切って作られていて、フィットハイブリッドは「4人乗り5人乗り」の室内の広さに重きを置いてる違いが出てる模様。一方、ノートe-POWERはどっちも犠牲になってないのがすごい。




ノートvsアクアvsフィット おすすめ比較まとめ


以上、多少今更感もあるノートとアクアとフィットハイブリッドを比較してきたわけですが、三者ともに様々な個性があって面白いと思います。実燃費は走行条件などによって多少のバラツキはあるものの、コンパクトハイブリッド車としてはトヨタ新型アクアがやはり一番安定してる印象。

そこで簡単に色分けするのであれば「実燃費ならアクア」、「加速性能や走りならノートe-POWER」、「その中間を全てでそつなくこなすのがフィットハイブリッド」といった感じか。

ただアクアはハイブリッドカーとしては今でも色褪せず優秀なものの、実燃費に特化してる故の室内の狭さなどデメリットも目立ちます。素直にBセグメント用のファミリーカーとして評価した場合、総合的にはノートeパワーやフィットハイブリッドの方が選びやすいかも知れない。

ちなみに「ノートe-POWER vs デミオディーゼル」や「ノート vs 新型スイフト」などは既に比較済みですので、興味がある方は良かったらどうぞ。