農家の方も多いですから、軽トラックは収穫した農作物を運ぶ場面では大活躍。実際、軽トラック全体で毎月1万数千台以上は最低でも販売されてるらしい。例えば、スズキ・スペーシア一台の月の売上分程度。
軽トラックを生産してるのは3メーカーのみ
ただし、国内で実質的に軽トラックを生産しているメーカーは「スズキ」「ダイハツ」「ホンダ」の三社だけ。スバルやマツダ、トヨタも軽トラックを販売してますが、それら三社からOEM供給を受けているだけ。
具体的に軽トラックメーカーを見てみると、「マツダ・スクラムトラック」と「三菱自・ミニキャブトラック」はスズキのキャリイ製、「トヨタ・ピクシストラック」と「スバル・サンバートラック」はダイハツのハイゼットトラック製。
ベストカー8月10日号 |
キャリイ VS ハイゼット VS アクティ
まず今回比較する軽トラックの情報をおさらい。スズキのキャリイは2013年8月にフルモデルチェンジ。ダイハツのハイゼットトラックは2014年9月にフルモデルチェンジ。ホンダのアクティトラックは2009年にフルモデルチェンジ。
だからダイハツ・ハイゼットトラックが一番が新しく、ホンダ・アクティトラックが一番古い軽トラック。
ただし、軽トラックのモデルチェンジ周期は長い。そのため、どの軽トラックもほとんど年式の違いはないと考えて構いません。おそらく次にフルモデルチェンジするのは2030年前後だと考えられるか。
オートマでも軽トラックは運転可能?
ちなみに「MT車ばかり」というイメージが強い軽トラックですが、基本的にはオートマモデルも用意されております。そのため運転免許は「AT限定」でも軽トラックは運転が可能です。例えば、スズキ・キャリイにある変速機「AGS」はセミオートマ。だからMTではないので、オートマ限定免許でも乗ることが可能です。もし若い人が軽トラックを購入する場合、心配ならディーラーさんに確認してください。
【軽トラック】荷台の横幅など容積・最大積載量
まずは軽トラックと言えば「積載性能」の有無。果たして、軽トラの荷台にどれだけ荷物の量を積み込めるのかが重要。結論から書くと、どの軽トラックも最大積載量は「350kg」と同じ。ただ荷台の大きさや形状が意外に違うらしい。
具体的に荷台の寸法を見ると、キャリイトラックは縦1942mm×横幅1401mm。ハイゼットトラックが縦1936mm×横幅1400mm。アクティトラックは縦1920mm×横幅1410mm。
縦幅ならキャリイトラックが広く、横幅だったらアクティトラックが一番広い。とはいえ、微々たる違いか。
ただし、荷台の運転席背面などには「えぐれ部分」がある。このえぐれがあることでより大きな荷物が積載可能。
このエグレが一番大きい軽トラックが、スズキ・キャリイで7cm。一方、ハイゼットトラックが5cm。アクティトラックに至ってはゼロcm。アクティトラックは車両設計の古さが影響か。
このえぐれも加味した上での荷台スペックは、キャリイは縦2080mm×横幅1460mm。ハイゼットが縦2060mm×横幅1460mm。アクティは縦1950mm×横幅1470mm。横幅はアクティに負けてますがキャリイの荷台が一番広いと結論付けられます。
また荷台高もキャリイが290mmに対して、ハイゼットトラックが285cm。荷台床面地上高もキャリイが650mmに対して、ハイゼットトラックは660mm。積載性能という点では、やはりキャリイが優勢。
○実際に荷物を積載する場面では大きな違いはない?
とはいえ、やはり微々たる差。
実際メーカーが公表してる具体例を見てみると、キャリイは「みかんコンテナが54個」「りんごコンテナが48個」「ビールケースが60個」「20Lポリタンクが40個」を積載することが可能だそう。
ハイゼットトラックは「みかんコンテナが54個」「りんごコンテナが48個」「20Lポリタンクが40個」。ビールケースが載っていないので、もしかしたらキャリイより下回ってる可能性が高そうですが、それでも実際の積載性はほぼ同じと考えて良いでしょう。。
ただアクティトラックに至っては、「りんごコンテナこそ両者と同じく48個」ですが「みかんコンテナだと52個」まで減ります。ちなみに、どの軽トラックでも畳を縦置きで積載することが可能。
ちなみにキャリイトラックは荷台だけを取り外して交換できるなど、引越業者さんなど商用目的で使う上でも便利そうです。
例えば果実や野菜などは土だらけだったりして、荷台が汚れやすいはず。海産物などを積めばサビにも繋がる。荷台だけ交換できればわざわざ買い換える費用が不要になるので、こういった配慮は嬉しいのではないか。
内装やシートスライドや乗り心地を比較
続いて「内装面」の比較。結論から書くと、どの軽トラックも内装はどっこいどっこい。価格帯などを考えると、質感や乗り心地は推して知るべし。ただドリンクホルダーや小物入れなど、どの軽トラックでも比較的充実しています。
一方、室内高を比較すると、キャリイが975mm、ハイゼットが990mm、アクティが975mmとハイゼットトラックが優勢。ちなみにキャリイとハイゼットにはハイルーフ仕様の軽トラックも販売されております。
他にも、運転席の「シートスライド量」に違い。キャリイトラックもハイゼットトラックも140mmですが、キャリイの方が14段階に細かく調節可能と実用性で上回る。アクティトラックは110mmとやや寂しい。
最小回転半径はどの軽トラックも3.6メートルと運転しやすい。
ただホイールベースに違い。キャリイトラックは1905mm、ハイゼットトラックは1900mm、アクティトラックは1900mm。キャリイの荷台が広いのも納得。
開口部や乗り降りのしやすさ
続いて「乗り降り」のしやすさ。軽トラックユーザーの年齢層を考えると、やはり乗り降りしやすいに越したことはありません。そこで最低地上高を見てみると、キャリイトラックとハイゼットトラックが同じく160mm。それに対してアクティトラックが185mm。アクティがちょっと不利なように思えます。
キャリイ アクティ ハイゼット |
ドライバーが男性女性という違いはありますが、キャリイトラックのドアが一番ぐわっと開いている印象を受けます。だから一人だけドアに手が届いてない。その分だけ乗降性で優れるのはキャリイトラックと評価できるか。
エンジン・動力性能ではどの軽トラックがおすすめ?
続いて「エンジン」などの動力性能を比較。軽トラックは積載車ですから、やはり重い荷物を大量に運ぶ場合において動力性能は無視できません。結論から書くと、スペックだけで見るとキャリイトラックが優勢です。
スズキ・キャリイは最高出力が37kW(50PS)/5700rpm、最大トルクが63Nm(6.4kgm)/3500rpm。
ダイハツ・ハイゼットトラックは最高出力が5MTだと34kW(46PS)/5700rpm、4ATだと39kW(53PS)/7200rpm。最大トルクが60Nm(6.1kgm)/4000rpm。
ホンダ・アクティトラックは最高出力が33kW(45PS)/5500rpm。最大トルクが59Nm(6.0kgm)/5000rpm。
ただし、アクティトラックは唯一のMR方式を採用してる。これはエンジン位置はやや後方に配置する駆動方式。他の軽トラックはいわゆるFR方式。
また4WDのシステムにも違い。
キャリイもハイゼットトラックもパートタイム4WDを採用してるのに対して、アクティトラックだけはリアルタイム4WDを採用。前者のパートタイムは2WDと4WDを手動で切り替えるのに対して、後者のリアルタイムは自動的に2WDと4WDを調整してくれる。
そのためアクティトラックが何気に走りでは優秀。そのため一概に走り心地や乗り味では評価しづらいんですが、鈴木直也という自動車ジャーナリストによれば「アクティ>キャリイ>ハイゼット」の順番でおすすめらしい。
燃費・航続距離でおすすめの軽トラックは?
続いて「燃費性能」。軽トラックは当然経済性も重要になってくるのでパワフルなだけでは意味がありません。結論から書くと、スズキ・キャリイの燃費性能が一番高そう。
スズキ・キャリイのカタログ燃費は5MTが19.8km/L、3ATが17.2km/L、5AGSが20.2km/L。4WDモデルはそれぞれから0.2km/Lずつマイナス。ホンダ・アクティトラックのカタログ燃費は5MTが18.4km/L、3ATが16.2km/L、4WDが18.2km/L。
ダイハツ・ハイゼットトラックのカタログ燃費は、エアコンパワステなしモデルはMTが19.6km/L、ATが18.4km/L。エアコンパワステありだと19.0km/L。車重が重い「ジャンボ」や「ハイルーフ仕様」はMTが18.6km/L、ATが17.4km/L。
ハイゼットトラックは唯一4速ATを採用してるので燃費面で貢献しそうですが、ハイゼットトラックが農業モデルだと810kgに対して、キャリイは740kgと非常に軽量。
この車重差などを考えると、キャリイの実燃費が一番優れている結果になりそう。とは言えハイブリッドのような飛び道具もありませんから、基本的にどの軽トラックも大差は見られないと考えられます。
ただし、航続距離では明確な違い。
何故なら燃料タンク容量がそれぞれ違うから。具体的にはキャリイが34L、ハイゼットが38L、アクティが37L。実燃費で大きな違いが出たとしても、航続距離ではハイゼットが一番長距離を走れると考えられます。
軽トラックの価格・維持費はほとんど違いはなし
続いては「維持費」の比較。ただし、結論から書くと軽トラックという枠ですから、どの車両も税金面では違いは出ません。また前述のように燃料費でも大きな差は生まれないと考えられるので、どの軽トラックも維持費は変わらないはず。
そこで「価格」を比較したいと思いますが、ただ一長一短。
例えば、キャリイの値段を見てみると「KC」というグレードが68万円から購入できるものの、パワーステアリングやエアコンが搭載されてません。ハイゼットトラックでも似たような廉価グレードが設定されており、単にモノを運ぶだけの軽トラックには必要ない機能らしい。
そこでパワステが設定されるモデルの価格を見ると、値段は87万円(4WD・5MT)にアップ。意外とパワステのお値段って高いんだなーと痛感させられます。
更にエアコンが搭載されるモデルは95万円(4WD・5MT)に価格がアップ。ちなみにエアコン・パワステ付きでも、2WD・5MTだと80万円、2WD・3ATが88万円、4WD3ATが103万円という価格設定になります。
農業向けモデルの「KC 農繁仕様」は4WDの5速MTのみに限定されて、価格は約90万円から。エアコン付きだと98万円から。近年は猛暑日が続くのでエアコンは是非搭載しておきたい所。
ハイゼットトラックはエアコンパワステレスの「スタンダード」は5MTが65万円、4ATが75万円。4WDモデルは15万円アップ。エアコン+パワステ付きは更に価格が15万円アップされます。
農業用の「スタンダード農用スペシャル」は同じく4WDの5速MTで98万円。エアコンやパワステやUVガラスが標準装備。キャリイと比較するとハイゼットトラックがやや割安ですが、農家向けのグレードに限ると価格差はほとんどありません。
一方、アクティトラックの廉価グレードの「STD」は79万円から。「ATTACK」という農業向けモデルは99万円(4WDの5MT)から。明らかにキャリイとハイゼットより割高。
この理由は全グレードで電動パワーステアリングが標準装備されてるから。つまり、アクティトラックは装備をガッツリと省いた最廉価グレードがないというだけ。
ということで全体で比較すると、アクティもキャリイもハイゼットも価格差は見られないと言えます。
キャリイが若干お買い得?
でも強いて言えば、キャリイは若干お買い得。何故ならボディー表面積全てに防錆鋼板(亜鉛メッキ加工)を採用されているから。しっかり中塗りもプラスした三層塗装でがっちりサビ対策が行われてる代物。しかもサビ保障は3年間と充実。
ダイハツ・アクティもサビ保障は3年ですが、防錆鋼板は荷台やドア部分など70%程度に留まる。特に漁師さんなどが軽トラックを利用する場合、キャリイのサビ対策は心強いと考えられます。
一応、ハイゼットも充実したサビ対策はあるもののセットオプションというのが残念。
ちなみに、ダイハツ・ハイゼットトラックは8色から選択可能なのが嬉しい。キャリイは5色、アクティトラックは4色からしか選択できません。
おすすめ軽トラック 総合評価・評判・口コミ
以上、おすすめの軽トラックを見てきたわけですが、基本的に甲乙はつけがたいです。見た目と同じく、中身もそこまで大きな違いはありません。◆積載性能や乗り降りのしやすさ、コスパの高さでは、スズキ・キャリイ(マツダ・三菱自)
◆乗り味や走行性能では、ホンダ・アクティトラック
◆航続距離やカラーバリエーションや室内空間では、ダイハツ・ハイゼットトラック(トヨタ・スバル)
ただ敢えて分かりやすく区別化してみると、こんな感じに評価してみた。
農業や引越業者など商用目的で使うのであれば、何となくキャリイが最適解のような気はします。でもカラーバリエーションが豊富など、仕事目的以外で日常的に軽トラックを使うのであればハイゼットトラックも魅力的と言えます。
ちなみに新車比較ブログ「カーギーク」の【比較】キャリイトラック vs ハイゼットトラック、【スズキ】軽自動車人気おすすめランキングや【ダイハツ】軽自動車人気おすすめランキングなども参照。