ベストカー6月26日号 |
ちなみにこの記事では三菱eKワゴンのみですが、外装エクステリアが違うだけなので「eKワゴンの実燃費≒日産デイズの実燃費」と思ってくれても構いません。
比較車種
まず実燃費を計測した車種を見てみると、初期型のeKカスタム(走行5万km)。そしてダイハツの先代ムーヴ(走行4万km)。どちらも2013年頃に発売された軽自動車。eKワゴンはカスタム系ですが、どちらもカタログ燃費は同じ29.0km/L前後ですので、比較するには問題なし。むしろ最適。ちなみにどちらもレンタカーでの計測となります。自動車雑誌とはいえ、全車種を常に保有してるワケでもないんですね。
一般道
まずは一般道の実燃費がこちら。eKワゴンの実燃費が15.3km/Lに対して、ムーブの実燃費が18.3km/L。カタログ燃費達成率がeKが5割に対して、ムーヴが6割。走行距離が短いので何とも言えませんが、それでもeKワゴンの方が下回ってることに違いはなさそう。特に後者の計測では更に差が開いています。この理由はアイドリングストップの作動時間や回数による違いが、そのまま実燃費の差に繋がっている様子。それだけアイストの回数が雲泥の差。回数にすると両者で10回前後、時間にすると10分前後の違いがあったそう。もちろんeKカスタムの方が少ないし短い。
またeKワゴンの場合、アイドリングストップが解除(エンジンが再始動)されるのも早いなど、そういった調整不足の差がモロに実燃費として顕著に現れている様子。こういう実燃費記事では毎回のように自分は触れてますが、それだけアイドリングストップの重要さも伺えます。
高速道路
続いて高速道路。eKカスタムの実燃費は17.2km/Lに対して、ムーヴは20.6km/L。JC08モード燃費達成率だとeKが6割に対して、ムーヴは7割。やはり実燃費の差が見て取れます。後者の計測は下り坂が多かったらしく、そこでの両者の差はほとんど見られません。この理由は「動力性能の差」から来るものだと推察できます。
例えば0-50km/h加速性能の差を見ると、eKカスタムが8.2秒だったのに対して、ムーヴは7.0秒。自動車といった速度を出す乗り物における「一秒の差」は相当大きい。もしヨーイドンで並べて走らせてみると、両者の距離だと10メートル近い差が出てるはず。
だから記事だと、ムーヴは「一人乗り乗車であればエアコンがオン状態でも動力性能に不満はなし」「夜間早朝の幹線道路でもエンジンが唸りをあげるほどアクセルを踏み込むことは皆無」と概ね高評価。
一方、eKカスタムは「中低速トルクの乏しさとエンジン回転を執拗に下げようとするCVTのダブルパンチで一定の速度を保つのが大変」「アクセル全開は当たり前でようやく流れに乗れる」「運転フィーリングも悪い」など散々な評価。極めつけは「乗っている限り、良い所は見つけられない。とにかく力がない」とのこと。
じゃあ、eKカスタムの動力性能がここまでヒドいかというと、シンプルに結論付けるとやはり「カタログ燃費をアップさせたい」から。自動車メーカーさんでは燃料タンク容量を減らす以外の方法では、エンジンの動力性能を落とすといった方法もしばしば選択されます。
何故ならノロノロと走行した方がアクセルを踏み込まなくて済む。もちろん実際の運転ではイライラしてしまって、逆にアクセルをグイッと踏み込むことが多々。それ故に実燃費では見劣りしてしまうのは、以上の結果からも明白です。
ちなみに、そのダイハツのエンジンもスペックだけ見たらスズキやホンダ以下なので、三菱自動車(日産自動車)の軽自動車がどれだけヒドいかは言うまでもありません。
ベストカーさんの記事では郊外路とワインディングロードでの計測も載ってるんですが、結果はあまり変わらないので割愛します。どちらの計測でもeKワゴンの実燃費の方が悪いです。
総合評価
ラストに総合平均燃費を見てみると、三菱自動車・eKワゴン(日産・デイズ)の実燃費が21.1km/L。ダイハツ・ムーブの実燃費が23.9km/L。三菱は「5~15%ほど偽装してた」と言ってましたので、まさにベストカーさんの調査結果で概ね正しいと証明されたカタチ。6月21日に国交省もこの結果を追随しましたが、良くも悪くも言葉通りの結末でした。ちなみに、意外にどちらも実燃費で健闘してると思っちゃいますが、これは割愛した郊外路やワインディングロードが下り坂だったため、そこで異様な低燃費を計測したから。だから実際には両者ともに2km/Lほど減らして考えるとちょうど良いぐらいか。
ただそれでもeKワゴンもデイズも実燃費は言うほど悪くはありません。前に「実燃費とカタログに乖離がある自動車メーカーはどこ?」という記事も書きましたが、意外にも三菱自動車がカタログ燃費との乖離が一番少なかったですからね。