driver7月号 |
そこでできるだけ詳しく情報をまとめてみました。
エンジン制御でシャシー性能をアップ!
簡単に言うと「シャシー性能をアップ」させる技術のこと。でも、この方法が前代未聞でキテレツですごい。普通は足回りの性能をアップさせるにはダンパーやサスペンションといった特定の部品が想起されますが、このGVCはなんと「エンジン制御だけ」でシャシー性能を高めてくれる。
一瞬何を言ってるか分かりませんが、コーナリング時などにステアリングを動かすと、車体には横向きのG(重力加速度)がかかります。そうするとそれぞれのタイヤの接地荷重が不安定になる。
でもエンジン出力を弱める(減速)ことで後ろ向きのGが発生するので、横向きだったGが「斜め後方の向きのG」へ変わる。そうすると今度は接地荷重が前方向に移動して前輪タイヤのグリップ力が増すので、結果的にシャシー性能がアップするという理屈。
逆に車線変更後などはエンジン出力を強めることで、後方に荷重移動させることで後輪タイヤのグリップ力を高めて、本来だと外側へ滑りそうになることを防いでくれる。ざっくり言えば、左右に車体が振られる度合いが減って揺り戻しが少なくなるそう。
これには緻密なエンジン出力の調整や制御が求められるんですが、スカイアクティブの直噴エンジンの高い技術があってこそ成せた技だそう。あくまで既存の技術の延長線上にあるので、そこまでコストアップもしないはず。
説明だけだと分かりづらいと思いますが、Gベクタリングコントロールを英語に直すと「G Vectoring Control」。高校の数学や物理で「ベクトル」という矢印を習いましたが、それをコントロールするみたいなもんと考えれば分かりやすいかも。
評価と評判
最後にGVCの評価や評判をまとめておきます。まずは車線変更を実験されたケースですが、「ハンドルの修正舵が減った」とのこと。自動車が左右に曲がるときには前輪タイヤを動かすので、前輪タイヤのグリップ力が高まればステアリング・ハンドリングの応答性も自然とアップ。要は曲がりやすくなる。
このデータの画像は省略してますが、確実にクルマの挙動が安定したことが数字としても現れています。つまりシャシー性能だけではなく、ハンドリング性能や応答性もアップするということ。
マツダ曰く、GVCは未舗装路など荒れた路面で評価を発揮するという触れ込みですが、自動車雑誌driverさんの感覚としても「運転がうまくなった感覚に陥る」や「いいダンパーに変えたのかな?」という実感が得られたそう。
別の自動車雑誌では「未舗装路でも舗装路をまっすぐ走っている感覚」とのこと。車体の振り幅が小さくなれば、後席や助手席の同乗者の快適性もアップします。いくらすごい技術やテクノロジーを開発しても、結局ドライバーに感覚的に伝わらないと意味がありません。まさに人馬一体で素晴らしいと思います。
このGVCは「SKYACTIV-VEHICLE-DYNAMICS」という新世代車両運動制御技術の第一弾とのことですので、マツダはまだまだ大きな隠し玉を持っているらしい。これからもマツダの発展を楽しみにしたいところです。
ちなみにGVCが最初に搭載されるのは7月にマイチェンする新型アクセラとなります。もちろんその後はデミオやCX-3といった車種にも搭載されます。時期こそ不明ですが、最近は販売台数が落ち着いてきてるので今年中か来年2017年の早い段階までにテコ入れを図ってくるでしょう。