そこでアウトランダーPHEVの試乗の感想をまとめてみました。ついでにガソリン車の試乗に関する情報もまとめてみた。
静粛性が大幅にアップしたアウトランダー
橋本洋平という方が試乗した「カーウォッチ」さんの記事。静粛性については、特にEVモードになった時に感じられる。クルマから発するモーターやインバーターの音も排除されている感覚があり、とにかくスッとクルマが動く感覚が高まったところがイイ!新型アウトランダーPHEVでは、遮音材やサイレンサーやダイナミックバンパーがふんだんに追加されていて、その数30箇所以上だそう。Dピラーや電池パック、シートベルトカバー、フロントドアロリムなど、とことん細かい部分まで静粛性にこだわってる。マフラーの構造も改良されてるんだとか。
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20150911_720539.html
例えば、ドアの閉まり方一つにしても全然音の質感が違うんだそう。確かに安っぽい音ってありますけど、ドア枠にスポンジを追加するといった改良で、そういう感じは一切しないらしい。「新生アウトランダーPHEVに乗ってみると、たしかに質感向上は五感に伝わってくる」とまで書かれています。
『ニューモデルマガジンX』10月号では、明らかに新型アウトランダーPHEVの方が静かと言わしめてます。「エンジン稼働時のうなり音、こもり音も抑えられていて、快適指数が上がっている」んだそう。
また同月号のよこ山昌一という読者ライターさんも「完全にエンジンが黒子としての役割に徹しています」と静粛性を評価。「乗り心地は(中略)荒れた路面でもいなしてくれます。これなら個人用途のみならず、公用車として使われるのも納得です」とのこと。
足回り系が進化して高級プレミアムSUVそのもの
『カートップ』さんの試乗記事。どちらも中谷明彦という方による試乗。10月号。走り出すとすぐ「足回りの改善を実感」。「リアのショックアブソーバーの径を拡大させダンピング特性を変えたことで、ストローク感あるしなやかさが増した」とのこと。段差を乗り越える時のショックや振動が大幅に減衰しているらしい。
ハンドリングは「より快適になった」とのこと。アウトランダーPHEVでは後輪に設置したモーターは前輪よりもトルクが大きいらしく、そのことがステアリングの応答性を旧型アウトランダーより高めてるんだそう。そのため旋回性にも優れてるっぽい。また「四輪駆動制御のS-AWCは引き継がれ、安定性とトラクション、旋回性は相変わらず高度に制御」されてるそう。
アウトランダーPHEVではアルミホイールが使われてるんですが、むしろ重量を増加させてきた。一見すると燃費に影響しそうですが、このことで却って全体の剛性感が高まって、結果的にロードノイズが低減されているそう。「燃費」だけを追求しないアプローチは歓迎されるべき。
一方、アウトランダーのガソリン車は「制振・防音技術でPHEVを上回る進化」を遂げてるとのこと。PHEVは足回り系が素晴らしいとお伝えしましたが、ガソリンモデルはバッテリーがないぶん車重が軽いので改良されたサスペンションはまさに「オーバースペック」とのこと。「乗り味は極めて質感が高く、上質で優れたレベルとなった」とべた褒め。先に書いておくと、他の試乗レポートでもアウトランダーはガソリン車の評価も高めです。
再びPHEVに戻りますが、『ザ・マイカー』10月号の高坂義信さんによる試乗を読むと、「シャーシの剛性アップがきちんと感じられ」、「ショックをしなやかにいなすフィーリングはプレミアムな高級SUV車を乗っている」気分だそう。前述の『ニューモデルマガジンX』10月号の記事でもそうですが、アウトランダーPHEVの「プレミアム感」は共通してる感想なのかも。
またアウトランダーPHEVではガソリンエンジンが更に出力パワーが2割ほどアップしてるので、0-40km/hの加速で2秒ほど短縮化されているらしい。だから「高速道路の合流などでスピードの乗りがグッと頼もしくなり、クルージングも余裕」だそう。
アウトランダーPHEVの高速性能は?
そこで『カートップ』11月号を見てみると、同じ中谷明彦さんがドイツのアウトバーンを試乗した記事を見てみます。アウトランダーPHEVでなんと時速170キロまで到達したそう。これはカタログ通りということですが、日産・リーフ然り、フォルクスワーゲン・ゴルフGTE然り、EVやPHEVはガソリン車を凌駕しつつあることを感じさせます。
アウトランダーPHEVはモーターのみのEV走行は時速120キロまでで、それ以上の車速となるとハイブリッド走行に変わります。日本の道路では時速120キロも出す必要は基本的にないので必要十分。ただインターチェンジを2つほど通過するとバッテリーを使い切ったそう。アウトバーン(日本の高速道路でも同じ)ではブレーキの回生エネルギーを回収できないので、特に顕著。
だからアウトランダーPHEVにもまだまだ改善の余地はありそうですが、日本の高速道路ではガソリンスタンドも減ってますので、これからPHEVの存在感はますます増しそう。モーターとエンジンの両方を上手く使いこなせたら、少なくともガス欠でJAFを呼ぶ事態は起きづらそう。
総合評価まとめ
試乗記事を読む限りは、とにかく「アウトランダーPHEVの完成度の高さ」が伺えます。単に燃費性能の良さだけではなく、走行性能や実用面でも折り紙つきであることは否定しようがなさそう。だからこそ車体のベースが同じ、ガソリン車のアウトランダーもクオリティーや質感が高め。前述の『ニューモデルマガジンX』10月号のよこ山昌一さんによると、「1480kgの車体に190Nmのエンジンを組み合わせていますが、加速は思ったより軽快」「目立った技術こそないものの、マツダCX-5に近い軽快感を備えていました」とのこと。
PHEVとは価格差が100万円以上もするので、敢えてガソリン車のアウトランダーという選択肢も全然アリ。CX-5以外でも、トヨタ・ハリアーや日産・エクストレイルにも引けをとらないでしょう。アウトランダーのガソリン車の販売台数は毎月数百台と伸び悩んでいますが、それはPHEVの存在感が強すぎるだけであって、決して実力的に見劣りするからではないと思われます。
ちなみに『ニューモデルマガジンX』10月号の編集者(?)による試乗記事では、車速60km/h以上で稼働する車線逸脱警報システムがやや過敏らしい。強いて、アウトランダーPHEVの欠点をあげるならこれぐらい?