2015年10月15日木曜日

いずれステレオカメラ方式の自動ブレーキだけになるかもしれない理由



トヨタ・アクアや新型プリウスにも自動ブレーキが搭載される時代。自動ブレーキはすっかり定着したと言ってもいいと思いますが、主に「赤外線」「ミリ波レーダー」「カメラ」の三種類に大別されます。アクアやシエンタのようにカメラと赤外線レーザーが組み合わせた混合タイプもあります。

でもいずれ赤外線やミリ波レーダーが消滅して、カメラ方式だけが生き残る可能性が高いと思います。特にスバル・アイサイトのようなカメラ二個を搭載したステレオカメラタイプだけになるかも知れません。

レーザーでは歩行者を認識できない

何故なら、赤外線レーザーもミリ波レーダーも「歩行者」を検知できないから。まだ歩行者にも対応してなくても良いんじゃね?とつい思ってしまいますが、自動車メーカーさん的にはそうもいかない。

何故か?クルマの自動ブレーキの性能をチェックしてる予防安全性の試験が、いわゆる「JNCAP」。NASVAという独立行政法人が運営主体。他にも衝突安全性などもチェックしてる自動車アセスメントですが、ここに来年2016年から「対歩行者」に関する項目も増える

要は2016年以降、赤外線レーザーやミリ波レーダー方式の自動ブレーキは無条件で点数が低くなる。例えば、日産スカイラインの全方位ミリ波レーダータイプは相当優秀。JNCAPでもアイサイトに並んで満点。でも、やはり歩行者は認識できない。対歩行者に対応できない穴は大きく、自動車メーカーさんからするとJNCAPで点数が低いことはデメリットでしかありません。

ちなみに今年2015年は「後方視界情報」に関する項目が新たに追加済み。また再来年の2017年からは「車線逸脱防止」が追加されます。つまり自動ブレーキを評価する基準は年々厳しくなっている状況。来年の「対歩行者」の項目もまだ警報を出せるだけで点数をもらえると思いますが、いずれしっかり歩行者相手でも停止することを求められるはず。

つまり赤外線レーザーやミリ波レーダーは明らかに力不足。またミリ波だと100メートル先も検知できますが、その一方で誤検知や誤作動も多い。トヨタ・セーフティーセンスを見ても、赤外線やミリ波はカメラの性能を高める付加価値的な役割として実は機能してない。

だから歩行者だけではなく車線や白線も識別できるなど、いろいろと応用性も高いカメラ方式だけが残り、レーダータイプの自動ブレーキはカメラとの混合タイプも含めて、市場から自然淘汰されていく可能性は高そう。

ステレオカメラ方式はお手頃価格

でもステレオカメラの唯一のネックは「価格」。実際スバル・アイサイトは10万円以上と高価格。

ただ、ステレオカメラタイプのスズキの自動ブレーキは6万円もしない。赤外線レーザータイプと比較して、1万円2万円程度の価格差でしかありません。意外にもお手頃価格。

何故安いのか?という理由ですが、これはカメラの性能差。スバルはカラーで認識するのに対して、スズキはモノクロでしか認識しない。でもスズキの自動ブレーキは前方車両との時速差は50km/hでも停止可能。トヨタのセーフティーセンスよりも性能は上。

決して高価ではないカメラでも二個搭載するだけで、これだけの性能を出せるわけですから、今後ステレオカメラ式が自動ブレーキの主流にならないわけがない!カメラ1個(単眼カメラ方式)の自動ブレーキも消滅する可能性は高いです。

…とはいえ、赤外線レーザーは夜でも対象物を認識できるメリットは小さくない。また近づいてくる後続車を検知する程度だったら、赤外線レーザーで十分。実際ダイハツ・ムーヴや、スバル・アイサイトのアドバンスドパッケージは赤外線レーザーを使って後方へ対応させてる。

そういったステレオカメラを「あくまで部分的に補助」する役割としては、今後も赤外線やミリ波も生き残っていく可能性はあります。