2015年9月5日土曜日

スリランカでワゴンRスティングレー爆売れの怪! そして安部総理がすべき規制緩和



中古の軽乗用車の日本からの輸出は2013年以降拡大傾向にあり、今年7月には過去最高の4255台を記録した。特に目立つのがスリランカ向けで、7月は2185台となり、京都府や岩手県など28府県での軽の新車販売を超える規模だった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150902-00000514-san-bus_all
2014年後半以降、日本の中古軽自動車が発展途上国で売れ始めてるそう。一つの国と一つの都道府県を比較すること自体がどうかと思われますが、データを見る限りは日本の中古軽自動車が売れてるのは確かっぽい。

その中でも何故かスズキ・ワゴンRスティングレーがスリランカでは多く販売されてるらしい。



未使用車を作りすぎたせい?

でも輸出が増え始めた時期を考えると、未使用車(自社登録)の存在は無視できない。ダイハツと共に熾烈な販売競争を繰り広げていた時期とちょうど重なります。

実際スリランカでは登録から2年以上経過した自動車は輸入できない。業者さんの立場で考えたら、わざわざスリランカに新しい年式の中古車だけ輸出する必要性はないわけですから。

結局、日本国内で未使用車が増えすぎたので中古車業者さんにも売りづらくなった。そこでメーカーさんが現地の新車販売にも影響を与えにくい、スリランカに止むに止まれず輸出してみた…というのが実際ではないでしょうか。

ただ結果的にはそれが功を奏して、日本の中古車平均価格よりも大きく上回る150~220万円という新車並の価格で販売できてるっぽい。

例えば、インドで発売してるアルトK10の価格が40万ルピー(70万円ちょい)。ワゴンR(日本で発売してるのとはデザインなど違う)の価格が最高で48万ルピー(86万円ちょい)。日本の未使用車スティングレーで130万円ちょい。

スリランカはインド南東にある人口2000万人の小さな島。ただ日本とは違って、天然ゴムや宝石など天然資源などは豊富らしい。インドより一人あたりのGDPは高めとはいえ、それでも平均月収は1~2万円のようですから、スリランカ国民は軽くボッタクられてる感じもしなくはありません(笑)

確かにスズキの場合ですが、海外で生産販売してるアルトやワゴンRは、日本国内で販売してるデザインよりも古くさい。こういった部分も影響してるのかも。

安部総理は指をくわえて眺めてるだけ?

とはいえ、日本の新車販売が落ち込んでいるのは事実。特に軽自動車税がアップしたことで、心理的に買い控えてる消費者が多い。ましてや中古車ではなく、自動車メーカーは新車を輸出しないと意味はない。

でも今回の産経新聞では、「日本の中古車が発展途上国で支持されてるよアハハ」で終わってる。それじゃあ単なるブログ(個人の日記)の延長線上。これから日本はどう対応していくの?という分析や提言が新聞社として足りない。

例えば、スリランカで急激に日本の中古軽自動車が売れ出した理由として、記事では「日本と同じ左車線で、右ハンドル車」であることが挙げられてます。これは逆に考えると、右ハンドル仕様の日本の国産車が輸出の弊害となっている証拠。

左ハンドル国産車が日本市場を救う根拠が目からウロコ』という記事を前に書きましたが、どうやら日本国内には「国産車は左ハンドル仕様にしてはいけない」という規制があるらしい。

だから、もし左ハンドルの軽自動車が日本国内で増えたら、スリランカ以外の諸外国でも多く輸出できるということ。結果、日本国内の中古車市場の供給が逼迫して、中古車の下取り・買取価格が上昇。新車に買い換える人も増える可能性がある。100万円台後半のワゴンRスティングレーが売れてる現状を考えたら、そもそも新車として「左ハンドル軽自動車」を輸出したら良い話。

またワゴンRスティングレーを例に考えると、このグレードはターボとハイブリッドの二車種のみなんです。おそらく前者のターボグレードが輸出されてるんだと思いますが、やっぱり660ccのNAエンジンでは力不足感が否めないことの裏返し。

何故ならスリランカに限らず、世界的にはエンジン排気量800~1000ccが主流。つまり単純に日本と同じように販売したら軽自動車が売れるかと言えば、それも微妙。

車体の大きさだってそう。狭い路地が多いヨーロッパでは小型車のフィアット(500など)が売れてるので、日本の軽自動車が付け入るスキあるやん?と思いがちですが、それでも軽自動車の車体は小さい。衝突安全性や耐久性といった面ではやはり劣るので、日本の軽自動車がヨーロッパで走るのも難しい。

つまり軽自動車がガラパゴスでズレてるんじゃなく、日本のルールだけがズレてる。だから産経新聞は相手国の変化(1000cc以下の中古車関税が下がったetc)だけ分析するんじゃなく、そういった諸々の事情を勘案すれば車格やエンジン排気量の拡充など、もっと軽自動車を海外に販売しやすい規制緩和策を安部総理に促すべきだった。

結局、安倍さんがしたことは株価が中国経済に釣られて上がった(今は激下がりしてますが)だけですから。これでは『産業「経済」新聞社』の名前が泣いてます…という記事でした。