2015年1月15日木曜日

世界販売1000万台達成したトヨタとVWはどっちがスゴいか検証



2014年の世界の自動車販売台数で、トヨタ自動車が3年連続で世界一になる見通しとなった。トヨタを追い上げる独フォルクスワーゲン(VW)の1014万台を上回る1020万台程度。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO81855390S5A110C1TJC000/
2014年も、トヨタの新車販売台数が世界累計で1000万台突破。しかも3年連続の快挙。

一方、ドイツのフォルクスワーゲンも1000万台突破。フォルクスワーゲンは北米市場で伸び悩むだろうから1000万台の壁は高いと言われてましたが、特に中国市場で好調だったことから無事突破。

そこで同じ新車販売1000万台を突破したトヨタとフォルクスワーゲン、どちらがスゴいのかを少し検証してみた。



フォルクスワーゲングループとは?

まずは言っておくと、もちろんトヨタだったらトヨタ一社、フォルクスワーゲンだったらフォルクスワーゲン一社で1000万台を達成したわけじゃない。傘下のグループメーカーがいっぱいあって、その新車販売台数を含めた数字。

フォルクスワーゲン
アウディ
ポルシェ
ランボルギーニ
ベントレー
ブガッティ
セアト…スペインのメーカー(50万台前後)
シュコダ…チェコのメーカー(数万台前後)
スカニア…世界3位のスウェーデンの大型トラックメーカー 
そこでフォルクスワーゲングループを並べてみると、こんな感じ。

正直日本国内では全く聞いたこともないメーカーもありますが、ポルシェやアウディ、ランボルギーニやベントレーなど高級輸入車メーカーをフォルクスワーゲングループが多く抱えてることが分かる。

アウディは日本国内での販売も好調で、2014年の累計新車販売台数が31,413台。2013年の28,676台を3千台ほど上回る。しかも高級モデルにシフトした結果、革新的なヘッドライトを搭載したアウディA8を筆頭に、プレミアムSUV「Q3」「Q5」などが見事に当たる。この中の比較的お手頃な価格でもQ3のエントリーモデルが400万円前後ですから、それだけ利益率が高い。ちなみに関係ないけどアウディのサイトの文字が小さいのが気になりますが…。

最近ポルシェは600万円台から購入可能な新型マカンを発売。数千万円ばかりの超高級車を売ってるかと結構手が届く人も多そう。

だからと言って、最近2015北米カーオブザイヤーに輝いたゴルフなど大衆車も多く揃えてる。最近は所ジョージさんがアピールしてますが、フォルクスワーゲンでは金利0%のサービスも行っていて、本気でトヨタを追い抜こうとしてるギラギラ感が伝わってくる。

トヨタグループとは?

一方トヨタグループには、どういうメーカーが存在するのか。簡単に言うと、ダイハツと日野自動車のみ。広義ではレクサスも存在。日野自動車に至っては、生産したトラックは7割以上が海外向けに販売されてる。フォルクスワーゲンで言えばスカニアのように、トヨタの躍進を影で支えてる。

ただダイハツの利益率の低い軽自動車しか販売してない。利幅だけで見るとスズキより低い。2013年の国内累計販売が66万2718台でしたが、他の年を見ても、ダイハツの新車販売台数は大体コンスタントに60万台後半。

要するに、トヨタの世界累計販売台数の7%近い数字を「軽自動車」が占めてる計算。正直あまり喜べない気もする。ちなみにスバルはカムリや86の生産をしてますが、あくまで関連会社。この1000万台という数字に含まれてないはず。

でも逆に言うと、それだけトヨタ一社で残りの800万台900万台を販売してる計算。逆にフォルクスワーゲングループは色んな国のメーカーを吸収して合算してるイメージですが、トヨタはゴリゴリの国内企業だけで頑張ってる。そう考えると「トヨタの強さ」も改めて分かる。

中国に依存するフォルクスワーゲン

地域別ではアジア太平洋が11.3%増の406万台。このうち中国は12.4%増の368万台に達し、世界販売の36%を占めた。欧州は5.1%増の395万台。債務危機の影響から脱し回復基調が続く西欧がけん引し、中東欧の低迷を補った。 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK12H1X_S5A110C1000000/
じゃあフォルクスワーゲングループの新車はどの地域で売れてるのかと言うと、日本を含む、アジア太平洋全体で406万台。ただそのほぼ9割近い数字を占めてるのが、中国市場での販売。台数に置き換えると、約370万台。

Audiやポルシェなど色んな高級ブランドを展開できてるおかげで、それだけ需要を幅広く卒なく取り込めてるんだと思う。2014年の世界累計販売台数が11,020台と過去最高だったベントレー。実際、このベントレーも中国市場が自国アメリカ市場に迫る勢いだとか。それだけ中国の富裕層が多いという証拠。いわゆるコンチネンタルといった「THEお金持ち」という新車が売れてる。

ただ全体の売れ筋価格帯を考えると、そんな高級車ばかり売れてるかと言えばやや疑問ですが、フォルクスワーゲンは台数だけじゃなくしっかり利益も追求できてるイメージ。また逆にトヨタなど日本車メーカーは中国市場でかなり取りこぼしてることは間違いなさそう。隣国同士だからこそ、フォルクスワーゲンの躍進を見ると尚更もったいない。

15年の計画についてトヨタは新興国の成長鈍化などから販売計画を固めに見積もっている。同年は工場の新設を計画していないため、中国などで大規模投資を展開しているVWに世界販売トップの座を明け渡す可能性もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO81855390S5A110C1TJC000/
もちろんフォルクスワーゲンは中国市場に依存しすぎてる感は否めないですが、実際、今年2015年以降はトヨタが首位の座を明け渡す可能性が高いと言われてて、それも頷ける。

トヨタの社長は「国内回帰はしない」と断言してますが、もう少しちゃんと中国市場で日本車が売れてたら、地理的な近さを考慮すると、もっと日本から新車を輸出できるんじゃないのかなーと。