2016年9月22日木曜日

【NOREL】月額5万円で中古車乗り放題はお得なのか考察した【おすすめメリット・デメリット】



レンタカーともカーシェアリングとも異なる、クルマの「定額制乗り換え放題」が誕生した。
IDOM(旧ガリバーインターナショナル)が8月に1都3県の100人限定で始めた「NOREL」は、月額4万9800円(税別)で中古車を自由に乗り換えられるサービスだ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/032500047/091300046/
最近「IDOM」という会社から月額5万4千円(税込み)で中古車を乗り換え放題というサービス「NOREL(ノレル)」が始まったらしい。

この「IDOM」の社名は聞いたことがない人も多そうですが、元は中古車店で有名な「ガリバーインターナショナル」と言い換えると知っている人も多いはず。引き続き店舗名は「ガリバー」のままだそうですが、今年7月に社名を変更したらしい。その一環に今回の「月額5万円で中古車乗り換え放題」というサービスが始まった模様。

でもこの「NOREL」という乗り換えサービスは果たしてお得なのか損なのか?メリットデ・メリットは何なのか?おすすめできるのか?などいろいろと考察してみました。



色んな中古車を乗れるのはメリット

真っ先に「NOREL」のおすすめポイントを考察しておくと、やはり色んなクルマに乗れるのはメリットが大きいと思われます。普通の人生を送っていたら死ぬまでに乗るクルマの数は、多くて8台9台ぐらいが関の山でしょう。自動車はスマホなどのように頻繁に買い換えるものではありません。

だからいくら中古車で一年間で何台も乗り換えることができたら、カーマニアに限らず、魅力的なメリットと言えます。中古車でも別のクルマに乗ると、それぞれ特徴が違うので面白いもんです。クルマを買い換えれば、それだけで日常がどこか新鮮にリフレッシュされると言ってもいいでしょう(どこかの三文広告文風)。

改めて確認しておくと、「NOREL」の利用金額は月額約5万円。消費税を含めると5万4千円。いくら「定額制で中古車を乗り換え放題」とは言っても、お値段はそこそこします。ただ自動車税や任意保険の保険料も含まれてるので、実際問題としては中古車をいろいろ乗り換えるメリットを考えたらそこまでお高いとは言えないかも知れません。


新車リースと負担額や維持費は変わらない

たださっそく前言撤回して悪いですが、やっぱり月額5万4千円はお高い。やはり維持費という点では、最近流行りの新車をカーリースする方が全然お安い

NORELと同じくリースには自動車税などが価格に含まれていますが、それでも高級ミニバンをリースも月額5万4千円はしなかった気がします。同じ「借りる」にしても新車と中古車とでは全然違うのに、下手すると中古車の方が借りる金額が高いのではおすすめしにくいのは言うまでもありません。

また新車をローンで購入した場合を考えても、なかなかの新車を購入しないと月額5万4千円の支払いはしない気がします。5年で完済するとしても、単純計算に年額60万円×5年の300万円。

もちろん頭金やボーナス払いも含めると、下手したら400万円の新車を購入するのと変わらない。それこそ中古車として下取り・買い取りしてもらうときの「リセールバリュー」を考えたら、なおさら普通に新車を購入する方が負担額や維持費が安くて済むはずです。

最近は新車を購入する手段に「残価設定型クレジット」が利用されることも多いです。むしろカーディーラーの方から残価設定型をおすすめしてくることもザラ。その場合だと3年後ぐらいにクルマを返却する必要がありますが、輸入車でも月額1万円程度の支払いで済むこともあります。


不動産屋のおとり物件と同じことは起きない?

中古車店の元ガリバーが運営していることもあって、この「NOREL」のサービスを始めた目的を推察してみると「在庫の活用」が考えられると思います。中古車に限った話ではありませんが、駐車場に店晒しにしてた所でその中古車は何の利益も生まない。そこで何とか少しでも利益を出そうと考えたのが乗り換え放題というサービスなんだと思います。

ただ逆に考えると、あくまでガリバーが抱える在庫の中古車がベースである以上、必ずしも自分が乗りたい中古車が確保されてるとは限らない点。仕入れ状況や販売状況によって、毎日借りることができる中古車のラインナップが変わるそう。当然いつ自分が乗りたい中古車が入荷されるか不透明。

また人気の中古車がラインナップされていたとしても、そういった中古車ほどいち早く予約が埋まっていくと容易に想像されます。一方で運良くそういった人気の中古車を借りることができたとしても「クルマごとに利用期限がある」んだそう。良くも悪くも独り占めできない仕組みが導入されているのも微妙か。

それに中古車ディーラー・中古車店からしてみたら、前述の考察も含めて考えもらえるといいんですが、基本的には「貸す」よりも「売る」方が利益が出るはず。中古車が売れないから出た苦肉の策とも言えるので、果たして不動産屋のおとり物件のような事態は起きないのか?

例えばポルシェやBMW、メルセデスベンツの高級モデルの中古車は単なる釣り餌で、いざ借りようとしても「すいません予約がいっぱいでお貸しできないんです」とウソを付かれることはないのか。中古車を商品としている以上、そういった言い逃れされる余地は残ります。


年最大4台までしか乗り換えできない

新車中古車に限らず、一度乗ってみると「アレ?何か違う?」というパターンは往々にしてあります。だからこそ冒頭で自分が考察したように、頻繁に乗り換えられるのが「NOREL」のメリットとも言えます。先程の日経の記事や運営会社のIDOMもアピールされています。

ただ中古車乗り換え放題と謳っているものの、実際には一度借りた中古車は「最低でも3ヶ月は乗る必要」があるらしい。つまり最大で年間4台までしか中古車を乗り換えすることができません。だから一車種5万円で乗れるかと思いきや、実際には最低でも15万円(税込みで約16万円)はかかる計算。

しかも次の中古車を予約できるのが「90日間乗車後」に限られてる点もデメリット。そして予約から納車されるまで「最短で24日」と意外と時間がかかる。中古車だからすぐさま納車してくれるのかと思いきや、おそらく平均1ヶ月程度はかかりそうな雰囲気。だから年間4台も乗り換えできない可能性が高いでしょう。

こういう状況を考えたら、心理的に簡単に中古車に乗り換えすることができない。メルセデスベンツやレクサスといった高級車なら構いませんが、言葉は悪いですが、たかだかヴィッツやフィットの中古車を15万円で借りたいと思う人は少ないでしょう。

色んなクルマに乗りたいのであれば、それこそレンタカーやカーシェアリングなどで十分。リースと同じく所有できるメリットはありますが、あくまで中古車。本当にクルマを所有したいのであれば、新車のリースを選択する方がおすすめか。

これだと下手したら悩んでるうちに中古車を何も借りられないまま、月額5万4千円だけが取られていく可能性もあります。月額制の問題は「中古車を借りなくても料金が発生」してしまうこと。確実に俺は中古車を毎月借りてやるんだ!という強い意気込みがなければ「安物借りすらできずの銭失い」になりそうです。