でも意外と分からないのが「気筒」の違い。日本だと3気筒エンジンは軽自動車が主流だったんですが、世界的にはアウディやBMWといった高級車メーカーでも多く搭載されるようになってきました。
そこで今回は一般的に新車で販売されてることが多い3気筒エンジンと4気筒エンジンの違いを徹底的に解説してみようと思います。
気筒が多くなるメリットとデメリットまとめ
気筒とは英語で「シリンダー(Cylinder)」のこと。このシリンダーに空気を取り込んで、ガソリン燃料を爆発させることでピストンが動く仕組み。ピストンが動くエネルギーを自動車を動かす動力に変換する。
つまり、気筒の数が多いほど大きなエンジンが出力が生まれる仕組み。
しかしながら気筒数が増えると、エンジンの構造が複雑になってしまう。また部品の数も増えてエンジンの重量が重くなるという弊害が生まれるので、逆に燃費性能は悪化してしまう。
一方、今度は気筒の数を減らすと振動が大きくなってしまって、自動車の乗り心地が悪化するという別のデメリットが理屈上生まれてしまう。果たして、実際に3気筒エンジンは静粛性が悪いのか?4気筒エンジンは燃費が悪いのか?
騒音性・静粛性の違い
まずは騒音性や静粛性。ベストカーさんがフォルクスワーゲン・ポロの「1.0L 3気筒ターボエンジン」と「1.2L 4気筒ターボエンジン」を比較したそう。
最大トルクはどちらのエンジンも16.3kgmと同じですが、最高出力は3気筒 1.0Lターボは95PS、4気筒 1.2Lターボが90PS。カタログ燃費も3気筒 1.0Lターボが23.4km/Lと、4気筒 1.2Lの22.2km/L。
スペック的には3気筒ターボの方が上回ってる部分が意外にも多いんですが、騒音性でも意外な結果が出てました。
ベストカー4月26日号 |
ボンネットを開けて騒音計で計測した状態ではあまり差が見られませんが、室内で計測すると騒音の違いが顕著。1000rpmでは6dBほどの差。3000rpmでは4.4dBほどの差。車内は決して広くはないので、平均5dBの差はかなり大きいはず。
ただ実際にポロで走ってみると、数値の程の差は見られなかったそう。
4気筒の1.2Lターボの方が高回転域でスムーズなエンジンサウンドを奏でて、不快ではなかったらしい。アイドリング時のエンジン回転数も500rpmほど3気筒の方が高いらしく、全体的には振動感がやや強いという評価も。
気筒数が多い分だけエンジンの爆発する間隔も短いので、アイストからの再始動時間も短いとか。カタログ燃費は3気筒エンジンが上回ってるわけですが、稼ぐために自動車メーカーは無理しがちだったりしますから、そういった側面の影響もありそう?
でも他にも色々と騒音性について実験されてたんですが、少なくとも3気筒の方が4気筒より目立ってウルサイってことはなさそうです。まだまだ発展途上とも言えると思うので、これからの3気筒エンジンのブラッシュアップされつつあるのか。
加速性能の違い
続いて加速性能。冒頭でも書きましたが気筒数が多ければ多いほど動力性能が上がりますが、こちらも意外な結果でした。全ての面において、3気筒 1.0Lターボエンジンの方が加速性能で勝ってるらしい。
具体的には、0-100km/h加速だと3気筒の方が4気筒よりも1秒近く速いらしい。低速からの再加速においても、やはり3気筒の方が上回ってます。これは30kgという車重差も効いているのかも。
ヒルクライムテストでも、やはり3気筒の加速性能の良さが際立ちます。どの山道かは書かれてませんが、カタログのスペック通り、3気筒ターボの加速性能の高さが出た結果と言えそうです。
3気筒と4気筒の燃費性能の差は、ポロの実燃費記事を参考にして下さい。一般道レベルでは大差ないものの、高速燃費では目立った差が見られます。加速性能の差がそのまま現れている模様。
まだまだ3気筒エンジンが4気筒より不得手な部分もありそうですが、加速性能などで健闘している現状を見れば世界的なダウンサイジングの波が進むのも頷けます。
それだけに軽自動車文化を根付かせた日本の自動車メーカーの先見性の高さが分かると同時に、そこで培われた3気筒エンジンの技術で是非世界でも勝負して行って欲しいと感じさせます。