2015年7月8日水曜日

日産 自動ブレーキ (エマージェンシーブレーキ)の3種類の違い・特徴とは?



日産は「ノート」をマイナーチェンジし、7月7日より発売開始した。
http://autoc-one.jp/news/2257208/
日産ノートがマイナーチェンジ。残念ながらエクストレイルと同様にハイブリッド化はされませんでしたが、「エマージェンシーブレーキ」という日産独自の自動ブレーキが標準装備化。

ただ各車種に搭載される「エマージェンシーブレーキ」は名前こそ全部同じなんでですが、実は車種によって性能や中身が全く違う。およそ3種類。そこでその3つの違いや特徴、ノートも含めて何の車種にどんな性能の自動ブレーキが搭載されてるかまとめてみました。



もし日産の自動ブレーキが気になるドライバーさんは是非覚えておきたいところ。

デイズなど軽自動車バージョン

一つ目は、デイズやデイズルークスといった軽自動車に搭載されるエマージェンシーブレーキ。

こちらは赤外線タイプの自動ブレーキ。ルームミラー付近に赤外線レーザーを発射する装置が隠されていて、反応可能な速度は自車速度が30km/hまで。ただ確実に自動ブレーキが作動するのは時速差20km/h未満。他のメーカーでも言えますが、乗車人数などによって時速差20km/h未満でも完全に止まれるかはやや怪しい。

だから自動ブレーキとは言っても完全にストップすることはあまり期待できず、あくまで「被害の軽減」程度にとどまると思います。それでも30km/hで障害物や歩行者とぶつかるのと、10km/hでぶつかるのとでは与えるダメージや受けるダメージは違いますから、決して効果や意味がないということではありません。

他には誤発進抑制システムなども装備。コンビニでよくブレーキとアクセルを踏み間違えてドッカン!みたいな事故はほぼ防げるなど、赤外線タイプの自動ブレーキでも確実に予防できる事故はあります。

ノートやセレナなど普通車バージョン

二つ目は、今回のノートといった普通車に搭載されているエマージェンシーブレーキ。ノート以外だと、ミニバン車・セレナやSUV・エクストレイルといった車種に搭載。

種類としては、単眼カメラタイプ(カメラが一個)の自動ブレーキ

ちなみにスバルの自動ブレーキ「EyeSight」シリーズはステレオカメラタイプ(カメラが二個)、ホンダの自動ブレーキ「ホンダセンシング」は単眼カメラ+ミリ波レーダー
となってますので、残念ながらこれらより性能は劣るかたち。

だからノートのエマージェンシーブレーキは、単眼カメラだけのダイハツの自動ブレーキ「スマートアシスト2」よりは若干優れてて、単眼カメラ+赤外線レーザーのトヨタ「セーフティーセンスC」よりは若干性能が劣るラインかなーと思います。

具体的に予防安全の性能を見てみると、自車速度が約10~80km/h以内まで反応可能。ただしブレーキが働く時速差は30km/h未満。赤外線レーザータイプのエマージェンシーブレーキよりは相対速度が10km/hアップしたものの、スマートアシスト2の評判のように「あんま変わらなくね?」という声もありますが、動いてる車両などにも対応できるなった意味は大きいはず。

そして車線逸脱警報(LDW)が新たに装備。高速道路上などで車線をはみ出しそうになると警報がビービーと鳴ります。ただし標準装備されるとはいえ、この車線逸脱警報はLDWがないグレードもあるらしいので注意。

同じ単眼カメラのダイハツの自動ブレーキとの違いとしては、後方から近づいてくる車両にも対応して警告してくれる。ダイハツの場合は後方にも赤外線レーザーが発射されるものの、誤発進抑制システムだけだった気がする。間違ってたらすいません。

スカイラインなど高級車バージョン

三つ目はスカイラインといった高級車に搭載されているエマージェンシーブレーキ。他にはシーマやフーガ、ティアナといった主に高級セダン車に標準装備。

種類としては、ミリ波レーダータイプの自動ブレーキ。普通だったら前述のEyeSightシリーズやホンダセンシングのように、あくまでカメラを軸に自動ブレーキの性能を高めてくるんですが、ミリ波レーダー一本でここまで予防安全性能を高めたのは珍しい。

これが、なんと二台前の車両まで把握してくれる!EyeSight3やホンダセンシングといった自動ブレーキでは、せいぜい前方の車両の一台のみですから、ミリ波レーダーの特徴を最大限活かしてると言えます。

スペックを見ていくと、自車の速度は5km/h以上だったら反応可能。ただし停止している車両に対しては自車速度70km/h未満まで。衝突回避能力は約60km/h以下とのこと。

でもこれが時速差のことを言ってるのかはちょっと不明。完全に自動的にストップできるのは、EyeSight3とほぼ同等の50km/h前後までかなと予想。実は、この自動ブレーキとして一番重要な情報が隠されてることが、日産に限らず多かったりするのは残念。

そして車線逸脱防止機能はノートのエマージェンシーブレーキと同じく搭載されてるものの、あくまでアチラは警報止まりでしたが、こちらはハンドル操作も自動的に行ってくれる。これはEyeSight3にもある機能で、もし眠っていた場合だとアラーム音が鳴るだけでは車線をはみ出す可能性が高い。

そして、先行車と距離が縮まると自動的にブレーキを滑らかに作動させてくれたり、またACC(アダプティブクルーズコントロール)も装備。いわゆる時速を一定に保つクルーズコントロールを更に応用させたもので、自動的に先行車に対して付いて行ってくれる。

自動ブレーキに応じてシートベルトもキュッと締めてくれたり、性能としてはかなりの部分で網羅してくれてると言っても良いと思います。さすがにスカイラインやシーマといった高級車に搭載されるだけあります。

まとめ

日産の自動ブレーキをまとめると、スカイラインなどに搭載されるエマージェンシーブレーキは最強の部類。まさに至れり尽くせりの予防安全性能。ここまでの機能を提供してくれて、ようやく「安心」と言えるのかも?

そして今回標準装備されたノートやセレナのエマージェンシーブレーキは、まずまずのクオリティー。これで防げる事故は多いものの、「あともう一歩」という部分も多い。やはり単眼カメラだけでは自動ブレーキとしての性能には限界があって、いずれトヨタ・セーフティーセンスCやホンダセンシングのように、赤外線やミリ波レーダーなどが追加されると思います。

軽自動車のエマージェンシーブレーキは「無いよりはマシ」というレベル。ダイハツ・ムーヴが最初に搭載して話題になったものの、今となっては赤外線タイプの自動ブレーキに目新しさは特にありません。

ただ自動ブレーキとしての性能は物足りないとはいえ、誤発進抑制システムはマジで意義がある機能。当然あった方が安心に決まってます。心なしか、最近ブレーキの踏み間違えの事故を見聞きしない気もします。でもコチラもいずれスズキやダイハツのように日産の軽自動車も、赤外線タイプの自動ブレーキから脱却する可能性は大いにアリ。

とりあえず日産では他の車種も今年の秋までに、電気自動車リーフなども含めて完全にエマージェンシーブレーキが標準装備化されるそうです。ぱちぱち。