7月10日、コンパクトカー「フィット」と小型SUV「ヴェゼル」のハイブリッド車(HV)について、意図しない急発進などを起こすとしてリコール(回収・無償修理)を発表。昨年9月に発売されて以来、今月7月10日でホンダ・フィットHV・ヴェゼルHVのリコールがなんと4回目。
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今回も販売されたほぼ全てにあたる17万5356台がリコール対象と、かなり大規模。今年2月には数週間規模の出荷停止もしたにも関わらず、わずか半年足らずでリコールが再発したカタチ。
そのリコールの中身を見てみると、三菱が凋落した時と同じ臭いがしてヤバそう。
過去3回と同じ「プログラム」部分の不具合
その肝心のフィット・ヴェゼルHVのリコール…というより「不具合」の中身を見てみると、なんとほぼ同じ部分。それが『制御プログラム』。トランスミッション(変速機)やエンジンの制御など種類こそ違うものの、毎回同じプログラミングに関する部分。だから、「バグ」と言い換えた方が分かりやすいかも。
その結果、発進や停止を制御しきれず、フィットやヴェゼルHVでは急発進が起きるケースがある。2月のリコール以降も、既に20件近くのトラブルが発生。物損事故や人身事故も起きてる。
ハイブリッドエンジンは普通のガソリンエンジンよりも複雑なんだろうが、ホンダとしては、このバグを発見して修正しきれてないわけです。
ホンダ大規模リコールの背景
ちなみに東洋経済オンラインによると、度重なるフィット・ヴェゼルハイブリッドのリコールの背景には、ホンダの「世界同時開発」という戦略が関係してる模様。これまでは日本で先行販売した後、世界に展開してた。ただフィットハイブリッドの場合、日本も世界も同時販売した。モデルの鮮度を損なわず、部品の共通化によるコストダウンも目論んだそう。
ただその結果、根幹であるハイブリッドエンジンに対して開発リソースを割けなかったんだそう。
今後もフィットのリコールが起きる可能性は高い
ただ同じプログラムのバグで3回もリコールしてる以上、「また発見できませんでした」という言い訳はなかなか通用しない。そもそもプログラムのバグは、不具合の内に入るのか？
普通どんな商品を製造しようとしても、どこか数カ所で欠陥が発生して100％のクオリティーを維持することは難しい。シートベルトやライトといった部分の不具合は、比較的分かりやすい。
ただプログラムは、データ情報。コピーすれば、全部同じ。そこに一台だけ間違ったデータが紛れ込むことはない。つまり『ウッカリ』した人為的なミスは起きづらい。
結局のところ、新型ハイブリッドエンジンを動かす「元のプログラム自体のクオリティー」が低いんだと思う。だから小手先でこちょこちょ修正しても、次から次へとバグが発生する。
つまり、今後もフィットやヴェゼルでリコールが発生する可能性は低くないと思う。特にフィットはファミリーカーとしても愛用されてるはずだから、二の足を踏む子育て世帯も増えてもおかしくない。
フィットもネットに繋がる時代が到来？
例えば、パソコンのOSなどで同じようなバグが発生しても、ネットに繋がってるので「更新」すればバグを修正することが可能。ただ自動車の場合、それは難しい。
もし今後も続くようであれば、プログラムの更新を定期的に行える環境整備なども必要だろう。正直バグが発生する度にリコールを行っていたら、きりがない。
ここまで自動車の家電化が進めば、フィットやヴェゼルをネットに繋げたっていい。だから走行してる最中に自動的に修正プログラムをダウンロードしてくれる、なんて時代がいずれ到来するのかも。
ホンダは「信頼」を回復できる？
三菱はリコール隠しで『信頼』を失った。ただ『信頼』という点では、ホンダの対応も十分とは言えない。リコールを出すってことは、同時に「不具合が修正」されなければいけない。またホンダにとって、エンジンの評価は『ホンダの根幹全部』に対する評価そのものにも繋がってる。昔で言えば、シビックが好例。あまり高性能すぎてエンジンだけ盗まれることもあった。
それだけ新型ハイブリッドエンジンの不具合が一向に改善される兆しがないのは、ホンダにとってかなり致命的。むしろ何度も裏切ってる分だけ、三菱よりホンダの方が質が悪いとすら言える。元来のお得意様ほど失望落胆してるんではないかと思う。
影響力が強いテレビであまり取り上げられてない分だけ助かってますが、フィットだけにとどまらず、いい加減ホンダのブランド自体もヤバそうで心配。
リコールを出せば信頼が回復するってもんでもないので、いっそフィットとヴェゼルのハイブリッド車の販売は一年ぐらい停止して、一から総点検ぐらいの意気込み・覚悟がホンダには必要かも知れない。