2014年1月31日金曜日

2013年自動車生産販売輸出台数データ詳細、アベノミクスは成功か?



国内自動車大手8社は29日、2013年の生産、輸出、国内販売の実績をまとめた。8社合計の海外生産は6.5%増の1644万3216台と過去最高を記録した。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140130/bsa1401300504001-n1.htm 
2013年、日本国内の自動車生産販売輸出台数が発表された。アベノミクスが始まって一年以上。すっかり好景気と言われがちな日本。果たしてそれは本当なんだろうか。

まず、アベノミクスの主な中身は『円安』。自動車メーカーのような輸出企業が恩恵を被ってると評判。何故なら、円安が進むと日本のクルマが海外で格安で販売できるからだ。その分だけ海外の人は日本車を買いやすくなる。また、一台あたりの利益も拡大する。

しかし、それが誤りであることがそのデータから理解できる。まずは国内における自動車販売台数を見たい。

ちなみに、データはサンケイビジネスアイからの引用だが、あまりに見づらいのでコチラで勝手に改変させてもらった。ちなみにデータの見方としては▲がマイナス、☆が過去最高を現してる。


2013年自動車販売台数


トヨタ 158万4316台(▲6.4%)
日産    67万8824台( 2.9%)
ホンダ   76万3333台( 2.4%)

スズキ ☆70万1476台( 4.2%)
ダイハツ 66万2718台(▲2.1%)

マツダ 22万8256台( 4.5%)
スバル 18万0818台( 1.7%)
三菱  13万8992台(▲1.1%)

合計 493万8733台(▲0.9%)


トヨタとダイハツが減少。それ以外のメーカーの販売台数は、微増。

トヨタの落ち込みが激しいのは、ホンダの新型フィットの発売が影響か。ただそのホンダを見ると、そこまで大幅な増加ではない不思議。日産は軽自動車デイズのおかげだと思われる。

またスズキの販売台数は過去最高。スイフトなど普通車は落ち込んだようだが、新型スペーシアが牽引したカタチ。堀北真希に足を向けて寝られない。一方、そのライバルのダイハツは微減。新型タントの投入の遅れと生産トラブルが影響か。ただし、売上高は1兆3535億円と過去最高。インドネシアで好調のよう。

ただ合計を見てみると、2012年時よりマイナス1%近くも落ち込んでる。一昨年はエコカー補助金があったからだが、それにしても消費増税前の『駆け込み需要』としては弱すぎる。正直「これだけ?」といっていい。さすがに4月以降の反動が心配。

2014年はそこから更に10%も落ち込むという予想が出ており、これを台数に変換するとざっくり40万台前後。およそマツダ+スバルの二社分である。とんでもない数字。マスコミが騒がないのは、十分安倍政権の統制が取れてる証拠だろう。

ちなみに輸入車が好調だったため、トータルの自動車販売台数ではプラス0.1%でほぼ横ばい。台数にすると537万5513台。ただやはり心許ない数字に違いはない。

2013年国内生産台数


トヨタ 335万6899台(▲  3.9%)
日産  96万4546台(▲16.0%)
ホンダ   84万0650台(▲18.3%)

スズキ  97万5320台(▲8.2%) 
ダイハツ 77万4949台( 0.1%)

マツダ 96万6628台(14.3%)
スバル☆63万9756台(12.5%)
三菱  59万1893台(14.5%)

合計 911万0641台(▲3.5%)


そして私達の雇用に直接関係してくる国内生産台数を見てみる。

すると主要3社は軒並み激減。ホンダに至っては20%近くも減らしており、もはや異常。トヨタも割合的に少ないとは言え、もともと生産台数が300万台以上と巨大であるため見過ごせない。

そんな中、10%以上も生産台数を増やしてるのが、マツダ・スバル・三菱の三社。三菱は日産との合弁会社を作ったが、生産を一手に担ってるからだろうと推測できる。

ではマツダとスバルが生産台数を激増させた理由はどこにあるのか。先ほどのデータによると、二社の販売台数はせいぜい微増程度だった。ということは、その分だけ輸出が増えてるんだろうか。ともかく各メーカーの海外での生産台数を見てみる。

2013年海外生産台数


トヨタ☆553万5196台( 5.6%)
日産 ☆398万6378台( 6.6%)  
ホンダ☆345万7740台(12.2%) 

スズキ ☆187万0865台(  2.1%)  
ダイハツ☆47万8781台(14.5%) 

マツダ 29万7545台(▲13.4%) 
スバル 16万9163台(▲ 8.5%)
三菱  64万7548台(  9.5%) 

合計☆1644万3216台( 6.5%) 


先ほどの国内生産台数のデータとは打って変わって、各メーカーは軒並み海外での生産台数を増やしてる。もはや激増と表現して構わない。数字の横の☆マーク(過去最高)が、これほど憎らしいと思ったことはない。

おいおい、アベノミクスによる超円安効果で国内の生産台数が増えるはずではなかったのか? むしろ民主党時代の超円高だった当時と変わらないか、それ以上に工場の海外移転が加速している。

世界一のトヨタはひとまず横に置いておくにして、日産とホンダの海外での生産台数の多さ。日産に至っては、もはやトヨタに迫る勢いである。良くも悪くも、グローバル企業と言ったところか。ダイハツが意外に海外で生産してることに驚くが、おそらくトヨタ車を作ってるんではなかろうか。国内でも例えばシエンタはダイハツが作ってる。

そして国内生産台数で言及したマツダとスバルは、まさかの海外では生産台数を減少させてる。なんだか期待できそうだ。では、本丸の自動車輸出台数を見てみよう。

2013年自動車輸出台数


トヨタ 189万9648台(▲  2.4%)
日産  54万2415台(▲19.6%)
ホンダ 12万5478台(▲41.5%)

スズキ 15万9285台(▲18.7%)
ダイハツ   7789台(▲20.1%)

マツダ 78万7683台(17.3%)
スバル☆47万1072台(24.2%)
三菱  34万3251台(▲6.9%)

合計 433万6621台(▲2.8%)


やはり!

僕らのマツダとスバルだけが、20%前後も輸出台数を伸ばしている。スバルに至っては、過去最高。☆マークに興奮したのは、つのだ☆ひろ以来では初めてだ。これこそがアベノミクス超円安が描いた理想。

しかし、まさかたったの二社だけとは…。

トヨタはこの中では健闘してると言っていいものの、ホンダに至っては40%近くも激減させている。軽自動車が販売の大半を占めている、スズキにすら大敗。ガッカリだよ~!(故・桜塚やっくん)

アベノミクスで工場海外流出は止められない!

ここまで劇的な落ち込んだ輸出台数を見て、さすがに『アベノミクス(もとい超円安)で工場の海外流出が止まった』と公言する人はいますまい。円安誘導していけば海外へ移転した工場が国内回帰する、と言ってはばからなかった経済評論家は今頃息をしてるんだろうか。

ただ、これは仕方ないことでもある。何故なら、東日本大震災を思い起こすといい。ある部品工場が被災し、全ての生産が止まったことがある。日本国内に生産拠点を集中させることは、為替がどーのこーの以前にリスクでしかない。だから、日頃から海外へ生産拠点を分散させておく必要があるのだ。

思わずマツダやスバルを見習えと言いたいが、それはある程度の高価格な車種も販売してこそ可能。スバルは好例。スズキはインドでトップシェアを誇るが、日本国内で製造した高いクルマを低所得者層がまだまだ多いインド人が買えるかは微妙。現地の庶民が買える価格帯のクルマを作るなら、結局現地の人間が製造するしかないのだ。

ただ、やはり重要な事は『商品作り』。そもそもから高い金を出しても購入したいと思わせるクルマを作っていたら、為替相場の影響などハナから受けないのだから。とは言え、もちろん全てのメーカーでそれが可能なはずがない。前述のスズキが好例。

円安が貿易赤字を増やす

つまり「円安が進めば、無条件で好景気をもたらす」というのは明らかに間違い。

むしろ石油やガソリンなど燃料を輸入するコストが増えるだけで、却って貿易赤字が拡大してるのが現実。つい原発が止まったせいで、火力燃料の輸入輸入量が増えたからだと思いがち。

ただ実際は違う。「統計上も原油の輸入量増加は認められない」のが現実。それも当然。国内での生産台数が減ったということは、それだけエネルギー消費量も少なくなっている。それにも関わらず、どうして火力燃料の消費が増えるんだろうか。

結局、アベノミクスの一部は幻想なのだ。

…となんとなく評論家っぽく記事を書いてみたの巻。