2015年10月22日木曜日

【解説】4WDシステム 実は「5種類」の違いがあるらしい【自動車】

自動車の駆動方式には「2WD」と「4WD」があります。

2WDとは「二輪駆動」のこと。前輪タイヤか後輪タイヤを回転させることで走行します。前輪を駆動させるFFタイプは、一般的に燃費が良く、室内空間も広く確保できるのが特徴。

一方、「4WD」はいわゆる「四駆(四輪駆動車)」。4つ全てのタイヤを回転させて走行させるため、自動車メーカーによっては「AWD」と呼ぶことも。

4WDは全てのタイヤを駆動させるので燃費が悪くなるデメリットはありますが、オフロードや雪道など力強く走破できる特徴がある。

でも、この4WDシステムですが実は「色んな種類」があるらしい。だから車種によって搭載されてる4WDシステムには違いがあるんだとか。そこで『driver11月号』を参考にまとめてみました。


【解説】センターデフ式フルタイム4WDとは?

 まずは「センターデフ式フルタイム4WD」から解説。

そもそもセンターデフ(センターにあるディファレンシャルギア)とは、前輪と後輪で生じる回転差を埋める装置。例えばトラックを想像すると分かりやすいですが、車がカーブを曲がるときにはどうしても内輪差が生まれてしまう。

でも左右どちらかのタイヤに動力を伝えないことで、せっかくのオフロード性能が失われてしまうデメリットも生まれます。そこで一時的にディファレンシャルの機能を奪うのが「デフロック」と呼ぶそう。

つまり、センターデフ式フルタイム4WDの特徴は「常に四駆の能力」を発揮できること。おそらく一般的に4WDと聞いて想像されるシステム。

ただし、反面としてセンターデフ式フルタイム4WDのデメリットは「車重が増加」すること。また4WDのシステムも複雑化してしまうため、車両コストが高くなりがち。

だから本格的なSUVに採用されていることが多いため、具体的にはトヨタ・ランドクルーザーなどに採用されている4WD。

【解説】パートタイム4WDとは?

 「パートタイム4WD」の特徴は2WDと4WDを使い分けることができます。切り替えはレバーやスイッチで手動で行うアナログっぷり。

ちなみに四輪駆動車は前に配置されてるエンジンの動力を後輪に伝えるため、車体の下にはプロペラシャフトという装置が設置されてます。このプロペラシャフトと「クラッチ」を繋げることで、エンジンの動力を後輪に伝えたり(4WD化)、切り離したり(2WD化)できます。

そのためコストも安上がりで済むため、軽自動車向きの4WDと言えます。具体的には、スズキのジムニーなどがパートタイム4WDに該当します。

ジムニーには4WDモデルしかラインナップにないため、どうしても燃費面が心配な人も位相ですが、そんな時でも「安心してください!2WD走行できますよ!」と、とにかく明るくアピールできます。

ちなみに自動車ブログ・カーギーク【車種比較】ジムニー vs ジムニーシエラ【評価】スズキ新型ジムニー試乗レビューなども参照。

【解説】アクティブオンデマンド4WDとは?

「アクティブオンデマンド4WD」は、やはり同じように2WDと4WDを使い分けられます。ただクラッチで行うのではなく、「電子制御カップリング」を使って後輪にエンジンの動力を伝えるシステム。

仕組みは電磁ソレノイドがどうたらこうたらと難しいものの、電子制御で行うので前述のパートタイム4WDとは異なり、アクティブ4WDは走行状況に合わせて全て自動で行ってくれるので手動でわざわざ切り替える手間がありません。

前後のトルク配分は「約50:50」で完全な2WD化は無理なようですが、その反面として動力を後輪に伝えるまでのタイムラグが生じないのがメリット。雪道や滑りやすい路面もかなり走りやすいはず。

具体的な車種は日産エクストレイルの「All Mode 4×4i」や、スズキ新型エスクードの「オールグリップ」などがこの4WD。お手頃な本格派4WDだけど、意外と実用的なSUVに多く採用されてるって感じでしょうか。

【解説】パッシブオンデマンド4WDとは?

「パッシブオンデマンド4WD」は、やはり以上の二つと同様に2WDと4WDを使い分けられます。ただアクティブオンデマンド4WDと異なる点は、後輪へ動力を伝える機構が粘性カップリングという装置へ変わってます。

この粘性カップリングは機械的にどう動くのか理屈は理解できませんが、とにかく軽量でコストが安いのが特徴。だから四輪駆動車の多くは、このパッシブオンデマンド4WDを採用してるらしい。

でもデメリットがありまして、基本的に2WD走行を強いられること。

「Passive(受動的・消極的)」という言葉のニュアンスからも分かりますが、四駆としての機能が発揮するのはタイヤが空転した時など限定的。しかも後輪を駆動するにはタイムラグも発生するなど、何とも微妙な4WD。

言っちゃえば「なんちゃって四駆」といったところ?

【解説】電動独立式(電気式)4WDとは?

ラストは「電動独立式4WD」。電気式4WDと呼ぶこともあります。

これまでの説明からも分かってもらえると思いますが、四輪駆動車はエンジンの動力を後輪に伝えるため、車体の下にプロペラシャフトやセンターデフなどの装置が必要でした。でも、この電動独立式4WDではそれらが不要。

何故なら後輪を駆動させるための専用モーターが設置されてるから。

主にハイブリッドカーやプラグインハイブリッド車に採用されてる4WD。トヨタの新型プリウスの4WDモデルでは「E-FOUR」と呼ばれていて、つい先日フルモデルチェンジしたレクサス新型RXもこの4WDシステム採用してる。

他にも三菱・アウトランダーPHEVも電動独立式4WDを採用。ただアウトランダーPHEVは全てのタイヤにモーターが入ってるので、ちょっとニュアンス的には少し異なる感じもしますが。

つまり後輪専用のモーターを緻密にトルク制御できるので、前述のアクティブオンデマンド4WDよりも駆動力を配分する自由度が高い。

また電動独立式4WDは、減速時に発生する回生エネルギーを回収する効率が高いのも特徴。新型プリウスの4WDモデルが低燃費なのも、この電動独立式4WDが貢献してる面が強いはず。

そのため電動独立式4WDが一番最先端の4WDと言えそう。

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